トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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独裁に倒れ、36年ぶり安眠=チリ人歌手ビクトル・ハラ/「平和に生きる権利」/ニュースから

2009-12-07 23:36:59 | 民衆の歴史
 あの忌まわしい1973年9月のチリでの軍事クーデター。民主的に選出されたアジェンデ政権は、アメリカCIAにバックアップされたピノチェット将軍に指揮された軍隊により、暴力的に倒された。多くの人の命が失われた。
 民衆を歌で励まし続けたビクトル・ハラは、クーデター直後軍隊に拘束され、クーデターに反対する人々と共にスタジアムに拘束され、そこでも、歌を歌って励まそうとしたが、9月16日に虐殺された。

 今月5日、やっと、首都サンチィアゴで公式に葬儀が開催され、数万人の市民が参加した。死後36年めの事であった。現在のバチェレ政権の閣僚や、各政党の幹部も参加した。
 ハラの遺体は、今年の6月に真相解明のために掘りだされ、調査が進められている。葬儀の時には、ハラの遺体を乗せた車が4時間にわたり、市内をめぐった。
今後は、彼を虐殺した責任者を割り出し、責任を取らせる必要がある。未だ、彼を虐殺した者の罪は問われていない。

 現在、チリをはじめ、中南米は変革の波の中にある。しかし、不幸にもホンジュラスでは、軍事クーデターにより、反動的な大統領が選出された。中南米諸国は、米国や少数の国を除いて、その選挙自体を認めておらず、追放されたセラヤ氏の大統領復職を求めている。

 あのチリやアルゼンチンなどで起った悲劇は、2度と繰り返してはならない。

独裁に倒れ、36年ぶり安眠=チリ人歌手ビクトル・ハラ(時事通信) - goo ニュース

victor jara El derecho de vivir en paz


Victor Jara - El derecho de vivir en paz - Full Version



自虐史観という見方を乗り越えて/『学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史〈上〉』

2009-10-04 11:20:37 | 民衆の歴史
学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史〈上〉1492~1901年
ハワード ジン,レベッカ ステフォフ
あすなろ書房

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 アメリカの歴史学者ハワード・ジンによる若い人向けのアメリカの歴史の本である。民主主義国家として、世界をリードするというアメリカ人の思い込みに反して、アメリカの歴史における影の部分を、インディアン、黒人、農民、労働者といった人々への視線を無視することなく描いた歴史書である。
 歴史は、一握りのエリートや天才によって作られたものではない。歴史を単眼で観ることなく、複眼で観ることが大切である。
 
 アメリカ史が血塗られた歴史であることを記述することは、我が国の自由主義史観論者が言うように、「自虐史観」ではない。ありのままの歴史を知り、自国の犯してきた間違い理解することは、未来の明るい歴史を作りだす上で不可欠なことである。

 本書で描く歴史上のヒーローと呼ばれる人物も、コロンブスがジェノサイドを行った諜報人であること、リンカーンも当初は、奴隷解放推進論者ではなかったことなど、一般の人が共有するイメージを破壊するものであろう。

 しかし、メキシコ戦争の時に、領土拡大のための侵略戦争を起こしたことも、フィリピンを手中にするために、多くの住民を虐殺したことも、あまり、これまでの歴史書では触れられることがなかった。

 原点というべき、独立宣言をめぐる人物模様も、意外と思われることが書かれていることに驚く人もいるであろう。

 女性問題、人種問題、プアホワイトの問題も、歴史を通して理解すべきなのである。

 今まで、あえて表面に出てこなかった「書かれなかった」歴史の部分に光を当てたものである。

 我が国における自由社・扶桑社の歴史・公民教科書を批判する上でも、有意義な本である。

三宅一生さん、米紙に原爆体験寄稿 大統領演説が触発/気になるニュース

2009-07-16 00:42:33 | 民衆の歴史

(共同通信)

 三宅一生さん

三宅一生さんが米紙に原爆体験 「倫理的責務」と(共同通信) - goo ニュース

三宅一生さん、米紙に原爆体験寄稿 大統領演説が触発(朝日新聞) - goo ニュース

三宅一生さん、被爆体験告白=オバマ大統領の広島訪問期待-米紙(時事通信) - goo ニュース

 三宅氏が7歳の時に広島で被爆していたことは、初めて聞くことであった。
今までは、『原爆を生き延びたデザイナー』と呼ばれたくなかったために、広島に関わる質問は避けていたそうだ。オバマ演説に感銘を受けての、核兵器廃絶と世界平和の実現を呼び掛けた。「もし世界から核兵器をなくそうと思えば、(被爆体験は)議論されなければならない問題である」との表明は、平和の願う気持ちの表れで、核兵器の廃絶を進める運動に力を与えるものであろう。
 自らの被爆体験(「目を閉じれば、誰もが決して体験してはならないことが今でも見える)を通じて、自分が被爆者であると声を上げることが、個人としての道義的責任とも表明している。
 また8月がやってくるが、原爆の記憶を風化させてはならないし、我が国における核兵器配備論者にも警戒を怠ってはなるまい。

「草の乱」 秩父困民党と武州困民党

2008-05-11 21:08:13 | 民衆の歴史
 透析ベッドシアターは、色々な映画を上映します。最近は「それでもぼくはやってない」。もうじき裁判員制度が始まりますね。マイノリティな人に関するものは、「メゾン・ド・ヒミコ」(ゲイの老人の共同ホームが舞台)、「ジョゼと虎と魚たち」(障害者との恋の顛末)、「風の歌が聴きたい」(ろうのトライアスロン選手の生き方)※良く似た題の「風の歌を聴け」は村上春樹原作の作品です。
 興味深かったのは、トルコ映画「イラク―狼の谷―」でした。イラク戦争をアラブの世界から観た作品です。当然、アメリカ本国での上映は禁止です。
 秩父事件120周年を記念して作られた、神山征二郎監督の「草の乱」は、最近の映画には珍しい民衆運動を描いた作品でした。
 1884年(明治7年)に起こった民衆の武装蜂起の話です。「圧政を変じて良政に改め自由の世界として人民の安楽ならしむべし」がスローガンでした。原因は、松方デフレ政策・軍備拡大の増税・世界恐慌による生糸輸出の激減による、養蚕農民の生活破綻でした。農民に破産が続出し、負債も増える一方でした。地元の自由党員と名主、侠客などが指導者となり、①高利貸に対する負債据置年賦返済②県への学校の3カ年の休校③内務省に雑収税の減少④村吏に村費の減少などの要求をもって秩父困民党を組織します。彼らは郡役所や警察に何度も請願を出しますが却下され、高利貸との個別折衝も決裂します。そこで11月1日夕刻に、秩父郡下吉田村椋神社に、埼玉・群馬・長野の農民数千人が集結して、埼玉県庁打ち破り、東京での世直しを決行しようとします。しかし、明治政府から軍隊が派遣され、秩父困民党は壊滅します。官憲に囚われた者のうち、死刑12名(執行8名)・無期徒刑はじめ懲役刑約140名・罰金、科料3600名超。
 指導者の1人に秩父の生糸や絹を商う商家の主人だった井上伝蔵がいましたが、彼は包囲網を突破して行方不明になりました。大正7年、北海道の北見国の村で、伊藤房次郎がいまわの際に自分の妻や子供を枕元に呼び寄せ、実は自分は秩父騒動の時に天皇の政府に反抗し、死刑判決を受けた井上伝蔵で、今まで35年逃げ切ったが、もう隠すことはない、秩父へ電報を打て、井上伝蔵はここにいるぞ、と遺言をして亡くなったそうです。映画でもこの史実を冒頭で描いています。彼は死ぬまで、自分の行動の正当性を確信していたのです。映画の中で、官憲が騒動を抑えないと八王子の農民に波及するという事を言っています。事実、その歳の8月10日に武州困民党の騒動が起きていたのです。
 八王子困民党も松方財政のために経営破綻に瀕していた民衆の窮乏を救おうとした民衆運動でした。それに対して、明治政府は非常に激しい弾圧を加え、横浜から増援部隊を繰り出して八王子困民党を押さえつけ、200余名を逮捕しました。この時の川口村の塩野倉之助らの運動方針は、穏便に請願行動をやろうとするものでした。しかし、警察が先制攻撃をかけ、書記の町田克敬を八王子警察に拘引してしまいます。そのため、農民たちがひよどり山に集結し、自分たちの代表を奪え返しに行こうと叫ぶのを、頭取の塩野倉之助が自分一人で行くと言って、自分が犠牲になるのを覚悟して歩き出すわけです。そのあとを農民が追った。結局八王子警察は人でいっぱいになった。220数人全員が逮捕され、剣道場に押し込められ、警官(鹿児島出身の士族)に暴行を受け、釈放されて出てきた人たちは、ほとんど障害者状態だったそうです。若き日の北村透谷もその当時、川口村近辺にいたので、そういう状態を見ていた可能性があるといわれています。
 その後、8月10日の武州困民党の騒動が起こります。今の神奈川県の原町田の農民も含め、数千人の農民が御殿峠に集結して、いよいよ八王子の金貨会社を襲う事になる。結局は弾圧されますが、秩父事件と違うのは、自由党員がこうした動きを抑えようとしたことです。

 今の日本人は、怒りを行動で示すことが無くなった。民主主義を手に入れたのにもかかわらず。地元の名も無き人の運動も含めて、色々な事を考えさせてくれる映画でした。透析時間を、有効に使えました。さて、これから何を見ようかな。