犬は、太古から人間の良きパートナーでした。しかし、この命ある存在は、時として人間によりいともたやすく命を弄ばれる存在でもありました。
犬の十戒は、犬を飼う人間が守らなければならない犬との約束をまとめたものです。子供向けのえほん『いぬとわたしの10のやくそく』は、やさしい絵と一緒にその文章が紹介されています。また、死んだペットが旅立つという「にじのはし」も同じ本の中に載っています。3番目に載っている「にじのはしのたもと」は、今まで知ることがありませんでした。虹の橋では、年をとった犬も、病気だった犬も、元気な時の姿で、いずれやってくる飼い主を待っています。
では、命を落とすまで人間の愛情を一度も受けたことのない犬は、どうしているのでしょうか。他の犬たちが次々と飼い主と出会い、一緒に虹の橋を渡るのを何時までも眺めていなくてはいけないのでしょうか。そんな疑問に答えた詩が虹のたもとにてなんだったのですね。人間にも、誰からも愛されずに死んでいった人が少なくないのでしょう。最近になってよく聞かれる「無縁社会」という言葉も、また、地域や社会から、そして人間関係から疎外された人々の存在に深く関係するものでした。
「にじのはしのたもと」では、愛に縁のなかった犬と人間が出会い、共に虹の橋を渡る情景が描かれています。
さて、絵本「ゆきのしたのなまえ」は、虹の橋のたもとのことを思い起こさせる作品でした。
お話は、孫からせがまれておじいさんが話す内容になっています。普通は、老人になると、近くの記憶よりも、遠い昔の記憶のほうが脳裏に印象深くのこされていて、同じことを何度も語る事が少なくありません。何度も語るうちに、その記憶は、実際に起こったものとは大分変ったものになっているかもしれませんね。何度もそうした話を聞かされる若者は、うんざりしているのが現実かもしれません。(そんなわけで、最近は「傾聴ボランティア」が登場していますね。お年寄りにとっては、かつての思い出が大切な財産なのですが、そうした話をゆっくりと聞く余裕のない人が周りにいるのが実際なんですね)。
この絵本では、孫が聴くお話は、何度も繰り返されているものでした。孫にとっても、お気に入りのお話なんですね。
おじいさんが、かつておばあさんとドイツに旅をした時に、教会の前で物乞いをする若者を見かけます。彼一人だけだったら、通り過ぎていたでしょう。でも、彼のそばには、老犬がおり、その訴えるような眼からおじいさんは、物乞いの青年とお金をめぐむことになります。老犬もまた、人間から虐待を受けて捨てられた犬だったのです。青年と出会ったときは、とても痩せ衰えていたのでしょう。(彼らは、虹のたもとではなく、現実の世界で出会うことができたのです)。
おじいさんは、家に帰ってからも、彼らのことが忘れられませんでした。そこで手紙を書くことにしました。もちろん、住所なんてわかりません。訪問した教会のそばで、犬と一緒にいる青年という宛名で手紙を出しました。さて、手紙は届いたのでしょうか。
孫は、おじいさんに、犬の名前は知っているか尋ねます。知っていました。では、青年の名前は?もちろん、おじいさんは知っていると答えます。でも、自分にとって大事な思い出の中の名前です。そう、大切なものは、雪の下に埋めるようなものだと答えたのです。彼の名前は、おじいさんがゆきのしたにうずめたままで、この先、孫にも話すことがないでしょう。誰だって、人には言えない大切なものがあるのですから。
あたり一面銀世界に変える雪の下には、どんなにたくさんの人々の思いが埋もれていることでしょう。
付記:この素敵な絵本『ゆきのしたのなまえ』は、残念ながら絶版となっています。初版が発行されたのは、そんなに古くはないのに、最近の子供を含めた読書離れのせいなのでしょうか。もし、図書館で目にされたら、ぜひ、お読み下さい。
そう、犬と人間の間の関係を描いたアメリカ映画で大好きなのが『マイ・ドッグ・スキップ』です。ラストシーンは、いつ観ても泣かされます。死んだ後、飼い主の心のなかに眠っているというセリフがいいですね。
He LAID BURIED IN MY HEART
次の歌も、犬との別れと感謝を歌ったものですね。
エイジア エンジニア/『犬のうた ~ありがとう~』フォトトレイラー
犬の十戒は、犬を飼う人間が守らなければならない犬との約束をまとめたものです。子供向けのえほん『いぬとわたしの10のやくそく』は、やさしい絵と一緒にその文章が紹介されています。また、死んだペットが旅立つという「にじのはし」も同じ本の中に載っています。3番目に載っている「にじのはしのたもと」は、今まで知ることがありませんでした。虹の橋では、年をとった犬も、病気だった犬も、元気な時の姿で、いずれやってくる飼い主を待っています。
では、命を落とすまで人間の愛情を一度も受けたことのない犬は、どうしているのでしょうか。他の犬たちが次々と飼い主と出会い、一緒に虹の橋を渡るのを何時までも眺めていなくてはいけないのでしょうか。そんな疑問に答えた詩が虹のたもとにてなんだったのですね。人間にも、誰からも愛されずに死んでいった人が少なくないのでしょう。最近になってよく聞かれる「無縁社会」という言葉も、また、地域や社会から、そして人間関係から疎外された人々の存在に深く関係するものでした。
「にじのはしのたもと」では、愛に縁のなかった犬と人間が出会い、共に虹の橋を渡る情景が描かれています。
さて、絵本「ゆきのしたのなまえ」は、虹の橋のたもとのことを思い起こさせる作品でした。
お話は、孫からせがまれておじいさんが話す内容になっています。普通は、老人になると、近くの記憶よりも、遠い昔の記憶のほうが脳裏に印象深くのこされていて、同じことを何度も語る事が少なくありません。何度も語るうちに、その記憶は、実際に起こったものとは大分変ったものになっているかもしれませんね。何度もそうした話を聞かされる若者は、うんざりしているのが現実かもしれません。(そんなわけで、最近は「傾聴ボランティア」が登場していますね。お年寄りにとっては、かつての思い出が大切な財産なのですが、そうした話をゆっくりと聞く余裕のない人が周りにいるのが実際なんですね)。
この絵本では、孫が聴くお話は、何度も繰り返されているものでした。孫にとっても、お気に入りのお話なんですね。
おじいさんが、かつておばあさんとドイツに旅をした時に、教会の前で物乞いをする若者を見かけます。彼一人だけだったら、通り過ぎていたでしょう。でも、彼のそばには、老犬がおり、その訴えるような眼からおじいさんは、物乞いの青年とお金をめぐむことになります。老犬もまた、人間から虐待を受けて捨てられた犬だったのです。青年と出会ったときは、とても痩せ衰えていたのでしょう。(彼らは、虹のたもとではなく、現実の世界で出会うことができたのです)。
おじいさんは、家に帰ってからも、彼らのことが忘れられませんでした。そこで手紙を書くことにしました。もちろん、住所なんてわかりません。訪問した教会のそばで、犬と一緒にいる青年という宛名で手紙を出しました。さて、手紙は届いたのでしょうか。
孫は、おじいさんに、犬の名前は知っているか尋ねます。知っていました。では、青年の名前は?もちろん、おじいさんは知っていると答えます。でも、自分にとって大事な思い出の中の名前です。そう、大切なものは、雪の下に埋めるようなものだと答えたのです。彼の名前は、おじいさんがゆきのしたにうずめたままで、この先、孫にも話すことがないでしょう。誰だって、人には言えない大切なものがあるのですから。
あたり一面銀世界に変える雪の下には、どんなにたくさんの人々の思いが埋もれていることでしょう。
付記:この素敵な絵本『ゆきのしたのなまえ』は、残念ながら絶版となっています。初版が発行されたのは、そんなに古くはないのに、最近の子供を含めた読書離れのせいなのでしょうか。もし、図書館で目にされたら、ぜひ、お読み下さい。
いぬとわたしの10のやくそく | |
クリエーター情報なし | |
リヨン社 |
ゆきのしたのなまえ (講談社の翻訳絵本) | |
クロード・マルタンゲ | |
講談社 |
そう、犬と人間の間の関係を描いたアメリカ映画で大好きなのが『マイ・ドッグ・スキップ』です。ラストシーンは、いつ観ても泣かされます。死んだ後、飼い主の心のなかに眠っているというセリフがいいですね。
He LAID BURIED IN MY HEART
次の歌も、犬との別れと感謝を歌ったものですね。
エイジア エンジニア/『犬のうた ~ありがとう~』フォトトレイラー
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クリエーター情報なし | |
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