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「日本無罪」パル判事選任手続きに誤り・インド公文書の記録見つかる/気になるニュース

2009-09-07 01:27:57 | 戦争と平和
 日本の侵略戦争を弁護する論者らが、その根拠の一つとして大きく依拠するパル意見書に関して、新たな事実が判明した。東京裁判の判事団で唯一、東条英機ら25人の全被告を無罪としたラダビノド・パルが、インド国内の間違った手続きで代表判事に選ばれていたことが分かった。開廷直前に植民地政府の高官が謝りを認めて謝罪し、専任担当官は左遷されていた。要するに、パル判事は、正式なインド代表ではなかったということで、あのパル意見書も誤った選任手続きの産物であり、歴史の偶然の産物ということになる。また、裁判中に独立したインド政府は、判決後、パルは正式な政府代表でないことを確認し、意見書とは無関係との立場をとった。5日付の朝日新聞の記事にこの経過が載った。

 東大東洋文化研究所の中里成章教授(南アジア近現代史)が、今春、ニューデリーにあるインド国立公文書館で、「パルを東京裁判判事に任命する件」と題したインド総督官房のファイルから見つけた文書は、46年5月3日の開廷直前のインド植民地政府内の動向を覚書として記録したものである。
 この中の4月27日付覚書は、高裁裁判官の人事は総督官房の専管事項で、パルを選任した戦争省には代表判事の選任権限はないと指摘して、「パルは高裁裁判官で元裁判官でもなく、他の弁護士と大差のない人間だ」をその適格性を問題としていた。
 日本の右派陣営の中の「パル意見書は、国際法に通じた権威ある法曹家が書いた」とする評価も怪しいものとなった。

 しかし、今回の文書の発見がなくとも、中島岳志氏がその各著作で述べているように、パル氏はガンジー主義をとる絶対的平和主義者で、裁判でも、日本軍の南京事件などの残虐行為の存在を認め、また、無罪に至った理由も罪刑法定主義が大きな要因となっているということは認識する必要がある。事実、パールは裁判の後も、日本を何度も訪ね、「世界連邦」の樹立と日本の再軍備反対・平和憲法の死守を訴え、「武装によって平和を守る、というような虚言に迷うな」等の発言している。
 要は、戦争責任を否定する国内の論者たちは、肝心のところは無視して、自分たちに都合のよいところだけを引用し、主張しているだけなのである。

パール判決を問い直す「日本無罪論」の真相 (講談社現代新書)
中島 岳志,西部 邁
講談社

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