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透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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なるほど納得ニュース『巷間される“アルカリ信仰” 栄養学的には意味なし』

2013-06-13 21:30:02 | 非合理主義・疑似科学
巷間される“アルカリ信仰” 栄養学的には意味なし(産経新聞) - goo ニュース

 透析患者が導入に至るまでは、人によって原疾患が発症ないし発見されてから、かなりの時間の幅があるようだ。糖尿病性腎炎などは、思った以上に進行が早いという知人が言っていた。私の場合は、慢性腎炎発見から透析導入までは、30年近くかかっている。その間、世間で身体に良いといわれる健康法を結構試してみた。発見当時は、自分が透析に至るイメージはみじんも持っていなかった。今考えると、自分で自分の腎臓の細胞を壊す免疫の異常とでもいっていいのだろう、IgA腎症は不可逆的な疾患で、一度壊れた糸球体は死んだまま再々することがない。ということは、失われてしまった腎機能は回復することがないので、時間の長短の差こそあれ、透析に至る可能性が高いと理解している。しかし、保存期と呼ばれる時期には、患者仲間でも、色々な健康法を試したという話を聞く。自分だけではないようで、その時代に流行ったものが一番影響するようであった。私の病気発見の頃は、巷で自然食糧法という声が聞こえ出した頃で、自然食の素材を求めに、早稲田まで遠出もした。今では、ネットで気楽に健康食品を買うことができるのであるが、当時は、店自体少なかったし、パソコンなど存在しなかった。身体に良い体操というのもやってみた。健康オタク状態であったのは、何とか病気を回復させたいという気持ちからであった。

 いろいろ試した方法の中に、このニュースで取り上げられている「アルカリイオン水」の飲用があった。アルカリイオン水を毎日、電気分解する誠三器で作っては毎日飲んでいたことがあった。世間でも、やがてペットボトル入りのアルカリイオン水が登場した。この製造マシンを購入した時に付いていた小冊子には、腎臓病にも効果があるような記事が掲載されていた。

 この記事を読んでいて、高校の保健の時間に「ホメオスターシス」ということを習っていたのに、すっかりそういうことを無視して、アルカリ信仰に生きていた時代があったことを思い出した。

 この記事は、「アルカリ性食品」「酸性食品」の定義から始まって、アルカリ信仰の無意味さを分かりやすく解説している。保存期に、どれほど健康食品にお金を使ったのだろうか。

 ただし、透析導入直前の尿毒症の時は、炭酸水素ナトリウム(重層)を飲んだりしたこと、透析液の中に炭酸水素ナトリウムが含まれているのは、腎臓が壊れたことによって、血液の酸性化が起こるからかもしれない。健康な人は、恒常性(ホメオスターシス)の機能が働くので、血液のPh値は一定に保たれるので問題はない。

“火の玉”の多くは目撃者の幻覚?/気になるニュース

2010-05-18 01:35:15 | 非合理主義・疑似科学
“火の玉”の多くは目撃者の幻覚?(ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト) - goo ニュース

 昔から、火の玉に目撃談は少なくない。現在では、実験室で再現することも可能となった。しかし、未だ、魂など、心霊現象に結びつける非合理主義者が少なくなく、日本のテレビなどでも、夏にかけては、放送倫理にも反する番組を、またぞろ放送するかもしれない。

 火の玉現象のうち、『ふわふわと漂う謎の光の球体である“球電”(ball lightning)は、過剰活性された脳が引き起こす単なる幻覚かもしれないとする新たな研究が発表された。』

 『球電は雷雨の際に目撃されたとする報告例が多く、落雷が何度も立て続けに起こると強力な磁場が形成されることが知られていることから、オーストリアにあるインスブルック大学のヨーゼフ・ペール氏とアレキサンダー・ケンドゥル氏は、球電とは実際には脳の視覚野か眼の網膜が磁気によって刺激されることで起きる幻覚なのではないかと考えた。

 これまでにも、経頭蓋磁気刺激装置(TMS)という医療機器を使用して急速に変動する強い磁場をヒトに当てる実験が別の研究者によって行われたことがある。TMSが発生させる磁場は、ヒトの脳の神経細胞に電流を流すのに充分な強さで、人体に害はない。脳の視覚野に磁場を集中させると被験者には光る円盤や線が見え、視覚野内のあちこちに磁場を移動させると、被験者は光が動いたと報告した。

 ペール氏とケンドゥル氏は、稲妻によって生じる磁場は近くにいるヒトに対してTMSと同じ効果を与えるかもしれないと論じる。さらに、報告されている球電の約半数は実際には磁場が引き起こす脳のトリックだと両氏は考えている。』

 もちろん、実験室で再現できるものなどは、物理学上のものであるのだが、案外と脳の幻覚作用の例も多いのかもしれない。原因は、複合的に考える方が合理的であり、その中には、幻覚作用も含まれるkとがあると考えればよいのだろう。脳の疾患により、幻覚が見える人の存在は既に報告されている。たとえば、霊を見ることができるという人がいても、その人が故意にウソを言っているのではない時は、脳の機能の異常が原因と考えられるのだ。火の玉を目撃する原因のごく一部も、同様に考えられるということのようだ。

 要は、直ぐに、不可思議に見える現象を心霊現象に結びつける人間が問題なのである。良くそうした人々は、この世の中には、科学で証明できないことが多く存在しているではないかと、強く主張するが、科学で証明できないことが多いから、今も、科学者たちが研究を続けている訳で、反論にもなっていないのである。

「脳トレ」効果に疑問…英で1万人実験/気になるニュース

2010-04-21 23:23:09 | 非合理主義・疑似科学
「脳トレ」効果に疑問…英で1万人実験(読売新聞) - goo ニュース

 人間の脳研究は、MRIによる画像診断の登場により飛躍的に発展したようだ。昔だったら、頭の中をのぞくには外科的な手段しかなかったが、それは無理な話であった。
 
 しかし、現代の「脳ブーム」は尋常ではなく、その中には、多くの疑似科学が含まれていることが、専門家によって指摘されている。下に紹介した本も、自身の大事な研究のための時間を割いて、専門の先生方が書いたものである。現在の、「○○脳」とか「△△脳力」といった言葉の氾濫に表れているようなあまりのひどさに筆を取ったものである。また、日本神経科学学会も、新たな研究指針を発表しているが、その中で、社会の誤解を与えるような俗説などへの危惧に触れられている。

 日本発の簡単な計算や漢字書き取りのドリルを使った「脳トレ」は、ブームとなり、ゲームソフトにも取り上げられ、外国へも大きな影響を与えた。しかし、実際は、この「脳トレ」の効果は客観的に証明されたものではなく、その効果については、専門家から疑問が出されていた。脳の血流量を示す画像も、実際は、「脳の活性化」とは関係が証明されていない。
 一部の老人施設では、無理やりにお年寄りのこうした訓練をさせているようだ。効果が出たように見えるのは、ドリル等の使用の場面で、施設職員とのコミュニケーションや接触が増えたからと考える方が合理的に思える。
 根拠のない「脳トレ」の効果を信じて入る人には、気の毒な事である。

 今回のニュースは、イギリスでの「脳トレ」の効果に関する実験結果に関するものであった。

『コンピューターを利用した脳トレーニング(脳トレ)は、健康な人の思考力や記憶などの認知機能を高める効果は期待できないことが、ロンドン大学などの1万人以上を対象にした実験で分かった。

 脳トレは世界的ブームになっているが、大規模な検証はほとんどなかった。英科学誌ネイチャーで21日発表した。

 18~60歳の健康な1万1430人を三つのグループに分け、英国で販売しているコンピューターゲームをもとにした脳トレを1日10分、週3日以上、6週間続けてもらい効果を調べた。

 最初のグループは積み木崩しなどを使った論理的思考力や問題解決能力を高めるゲーム、もう一つのグループはジグソーパズルなどを使った短期記憶や視空間認知力を高めるゲームをした。残り一つは、脳トレとは無関係のゲームを行った。その結果、脳トレを続けたグループでは、ゲームの成績は向上したが、論理的思考力や短期記憶を調べた認知テストの成績はほとんど向上せず、3グループ間で差がなかった。』


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藤田 一郎
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脳科学の真実--脳研究者は何を考えているか (河出ブックス)
坂井 克之
河出書房新社

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右脳・左脳、ゲーム脳…脳科学の「神話」ご注意/気になるニュースと読書『脳科学の真実』

2010-01-24 00:23:53 | 非合理主義・疑似科学
脳科学の真実--脳研究者は何を考えているか (河出ブックス)
坂井 克之
河出書房新社

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 今はやりの「脳ブーム」は、ほとんどが根拠のない情報によるものが多い。
脳研究者も、こうした「脳神話」についての批判本を出版してくれた。専門研究以外に、こうした、俗説に関する本を読んで、批判のために貴重な時間を使うことになってしまうが、あまりにもひどい状況に出版されたのだろう。
 その中の一冊『脳科学の真実 脳研究者は何を考えているか』を、今、読んでいる所であるが、新聞にも、やっと、「脳ブーム」への疑問を呈する記事が載った。この読売新聞の記事は、問題点がコンパクトにまとまっている。
 血液型性格診断の二の舞を踏まないように、本書を多くの人に読んでもらいたい。この本では、メディアの登場する「脳科学者」の事情や、研究体制に及ぼす影響についても書かれている。


右脳・左脳、ゲーム脳…脳科学の「神話」ご注意(読売新聞) - goo ニュース

 ニュースによれば、タイトルに脳のつく書籍は、この5年間で3000冊以上も出版されたそうだ。「○○脳」とか、「脳の活性を高める○○法」の類いが、書店でも目につく。「○○力」をいう、やはり流行りの言葉との組み合わせが存在するとしたら、お笑いものである。しかし、脳に関する気になる話は、研究結果を拡大解釈した俗説も少なくないとニュースでも指摘している。

 『経済協力開発機構(OECD)は、こうした俗説を「神経神話」と呼ぶ。典型的な例として「〈論理的な左脳〉と〈創造的な右脳〉」というような単純な区分けと、3歳児までに豊かで多様な刺激を与えた方が頭が良くなるという「3歳児神話」の二つをあげる。

 テレビゲームをやり続けると、子供がキレやすく反社会的になるという「ゲーム脳」も、神話のひとつ。「前頭葉で脳波のアルファ波が増え、逆にベータ波が激減するパターンは認知症と一緒」というのが根拠で、教育関係者らに広く支持された。しかし、「脳科学の真実」という著書もある坂井克之・東京大学准教授(脳科学)は「ベータ波はリラックス時にも減る。結論が先にあってデータを使っただけで、脳活動のデータが何を示しているのかの判断は難しい」と批判する。』

 この辺の「脳神話」が、教育現場で「応用」されているとしたら、子どもたちは被害者である。各地の自治体では、「脳科学者」という肩書の人物による教育委員会による講演会などが行われているという。ただし、講演内容については、主催者は責任を持っている訳ではなく、聴衆の判断に任せているらしい。これも無責任な話である。


 『簡単な計算や音読で脳を鍛えるという「脳トレ」もブームになった。認知症の予防に応用した学習療法も広がっている。お年寄りが脳トレに取り組み、認知症が改善したというデータも出ているが、学習療法では介護スタッフが励まし、褒めることが重要な要素だ。スタッフがお年寄りの隠れた能力に気づき、その能力を引き出す側面も大きい。

 脳トレを提唱した川島隆太・東北大学教授は「学習療法の目的は、認知症の改善で、どの要素が効いているかは重要ではない」と主張するが、坂井さんは「脳トレだけの効果なのか、科学的に検証されていない」と指摘する。』

 ゲームソフトも合わせて、ヒットした「脳トレ」本も、実際は根拠がないというのに、施設やデイケアのお年寄りが、強制的に「脳トレ」をやらされているのではないか。お年寄りの症状が良くなったのは、介護スタッフと関わる時間が多くなり、コミュニケーションが増えた事によると考えた方が良いのではないか。

 こうした神話の証明とされるものは、MRIなどから得られる脳の画像だが、血流量の増加=脳の活性ということも、実は、証明されていない。脳の活性という言葉自体、研究用語ではない。俗語と考えて良い。

 先日は、日本神経科学学会が、こうした「脳神話」の社会への拡大を懸念して、科学的な根拠を明確にした情報発信を求める声明を出している。

 現代の迷信も、ゲーム性という面を強調して、目くじらを立てることではないと主張する人もいるだろうが、この疑似科学で、教育や介護現場に被害者が生まれることは避けなくてはならない。

 本書には、「脳ブーム」の先駆けとなった出版物からはじめて、その「神話」の歴史にも触れられている。

 視聴率至上主義のメディアの責任も無視できない。いつも、こうした根拠のない迷信を社会に広めているのは、バラエティ番組の制作者たちだ。「脳文化人」「芸脳人」を作り出している。

浄霊代など650万円、TV人気霊媒師らを提訴/気になるニュース

2010-01-22 11:36:36 | 非合理主義・疑似科学
浄霊代など650万円、TV人気霊媒師らを提訴(読売新聞) - goo ニュース

 オウム真理教の事件が起こってから、しばらく、テレビ局では、心霊現象、占い、超常現象などの非合理主義に関する番組を控えていた。しかし、時間の経過と共に、ほとぼりが覚めると、またもや、スピリチュアルに関する番組をはじめとした放送が再開された。

 日本民間放送連盟放送基準の第8条 表現上の配慮には、次のように規定されている。
 
 (54) 占い、運勢判断およびこれに類するものは、断定したり、無理に信じさせたりするような取り扱いはしない。
現代人の良識から見て非科学的な迷信や、これに類する人相、手相、骨相、印相、家相、墓相、風水、運命・運勢鑑定、霊感、霊能等を取り上げる場合は、これを肯定的に取り扱わない。ただし、伝説を取り上げるのはさしつかえないが、その場合、誤解のないように注意する。

 この基準からいっても、バラエティ番組などで取り上げることが多かった非合理主義を助長するような番組は、放送すること自体問題であったのである。

 テレビ番組という「権威」により、安易にこうした事象を信じた人々に、冷静に考えることなく、非合理の世界に向かわせることに、テレビ局も加担していた。統一神霊協会による印鑑販売などが、刑事事件となっているが、こうした霊感商法がはびこることに対しても、テレビ局に全く責任がないということはあり得ないであろう。視聴率さえとれれば、なんでも有りという姿勢自体、廃頽の極みであったのである。

 さて、事件は次のように報じられている。

『「浄霊代」名目で多額の現金をだまし取られたとして、名古屋市在住の主婦(49)が21日、熊本市の宗教法人「肥後修験 遍照 ( へんしょう ) 院(通称・ 六水 ( ろくすい ) 院)」と、下ヨシ子主宰者ら幹部5人を相手取り、約950万円の損害賠償を求める訴えを名古屋地裁に起こした。

 下主宰者は、フジテレビ系列の「ほんとにあった怖い話」「奇跡体験!アンビリバボー」など多数のテレビ番組に、霊媒師として出演している。

 訴状などによると、女性は2002年、ヘルニアなどの体調不良や家族間の問題などの悩みをテレビ番組で紹介されていた同院に電話で相談。08年11月にかけて約50回にわたり、「浄霊代」「守護神代」などとして計約652万円を支払ったという。

 一方、同院は「女性の依頼に応えたもの」などとして、債務がないことの確認を求める訴訟を同地裁に起こしている。』

 訴状によれば、原告女性は、02年8月から同院の関西別院(京都府宇治市)で、下氏らから「霊がついている」などとして「浄霊」「守護神授与」と呼ばれる治療を霊感治療を受けている。

 最近は、宗教ビジネスという言葉も定着しているくらい、宗教を金もうけの道具に使っているとしか思えないようなケースが少なくない。
 また、その手口も、相談者の不安をあおるような詐欺的手法が採られているようだ。
 結婚詐欺同様に、相手のことを信頼したくなっても、祈祷料、御布施、財務等の多額の要求の話が出た時点で、疑ってみることが必要となる。その教団の出版物を、同じものでもたくさん購買すれば、功徳があるなどと話しだしたら要注意である。

 なお、こうした非合理主義は、物事を自分の頭で思考することを停止させる作用がある。ファシズム・全体主義に向かう一つの入り口でもある。

 最近、手かざしに関する子どもの死亡事件があった。手かざしで、病気や毒素が抜けるなら、青酸カリ入りの飲み物を手かざしで、浄化して飲んで見せてほしいものだ。

 今回のケースでは、フジテレビ系列の「ほんとにあった怖い話」「奇跡体験!アンビリバボー」の放送に関わった人間も反省をする必要がある。

 清貧の思想から遠い宗教の存在意義とは何なのだろうか。解放の神学のように民衆に寄り添うことができないのだろうか。

読書・脳ブームへの警鐘/『脳ブームの迷信』

2010-01-17 01:13:23 | 非合理主義・疑似科学
脳ブームの迷信 (家族で読める family book series) (家族で読めるfamily book series―たちまちわかる最新時事解説)
藤田 一郎
飛鳥新社

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 血液型性格診断が、日本国民の間に、大流行の後、疑似科学として定着したように、現在は、「脳ブーム」による「脳本」が新たなる迷信を広めようとしている。先日の朝日新聞の報道では、日本脳神経科学学会が、こうした風潮に懸念を覚え、改訂された研究指針を発表した。

 本屋に行けば、脳本が山と積まれていたり、そのためのコーナーまで設けられている所がある。
 
 物理学の研究者の中には、疑似科学への批判をされている人たちがいる。本来は、自分の研究もする必要があるのだが、あまりの酷さに、科学のために、そうした類いの本や、テレビ番組にわざわざ時間を割いている。無視していたら、国民の間に、非合理主義がはびこってしまう恐れがあるからだ。
 それに対して、脳神経科学の研究者からは、今まで、「脳本」に対する批判がほとんどなされてこなかった。根拠のない「脳本」につきあいきれないという事情や研究時間の問題があったからだろう。しかし、先の学会の指針が出るくらい現在の状況は最悪であり、専門家からの批判書も出版されるようになった。本書もその1冊であり、なるべく多くの人に読んでもらいたい。

 また、最近は、テレビなどに「脳科学者」が出演して、それもバラエティ番組だったりするが、疑似科学に加担している。かつて、ワンフレーズで、国民の冷静な思考をフリーズさせた首相がいた。メディアが、視聴率や購買層を獲得するためには、似たような手法をとる「専門家」が必要であるのだ。その際の、彼らのコメントの人を信じさせるようなテクニックについても本書では触れられている。

 ゲームソフトにもなり、本と合わせれば爆発的売れ行きを示した、計算ドリルや漢字ドリルによる脳トレは、根拠のないものだ。ゲームだと割り切れば良いという問題ではなく、こうした脳トレが、老人養護施設などに取り入れられていることは、看過できないという。効果のない脳トレを、無理やりにやらされる高齢者の存在を考える必要がある。

 他にも「脳は10%しか使われていない」、「人間は右脳型人間と左脳型人間に大別できる」※そう言えば、以前、男性脳、女性脳という根拠のない話も流行ったことがある、「頭が良くなるサプリメントがある」など、どうしようもない迷信や風説に対する批判が、根拠を上げて展開されている。

 これ以上、国民が脳に関する迷信に害されないうちに、我々は冷静に考える必要がある。
 本書では、自称「脳科学者」が、自閉症児や子どものための講演会に呼ばれて根拠のない話をしていることに注意を喚起している。無責任な招聘元の自治体は、判断を聴衆に任せるという態度をとっているという。
 子どもたちを、間違った風説から守らなくてはならない。こうした風説が、療育現場や教育現場で採用されることの危険性をしっかりと認識する必要がある。

追記:健全な懐疑主義/『疑似科学入門』

2009-08-06 00:35:14 | 非合理主義・疑似科学
疑似科学入門 (岩波新書)
池内 了
岩波書店

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 どうも「人権」という言葉を使うと、過剰に反応する人がいるようです。今日の朝日新聞の論説でも、アジアにおける人権意識についての言及がありました。国際法の世界大会で、中国からの出席者が、西欧型の人権をそのままアジア諸国に適応することへの不満を述べたという話から始まっていました。今の、中国の人権状態からみると、他国から人権侵害と責められることへの不満感からなのでしょう。確かに、90年代には、西欧型の人権をアジアに持ってくることへの疑問が論争となったことがあるようです。しかし、今回の学会でも、決して両者が対立するものではなくという意見が述べられ、論説でも、アジアから西欧に対して、提案できる人権の施策があったら積極的に発信すればいいという内容でした。

 さて、本書では、疑似科学や不合理主義に対して「健全な」懐疑主義を提唱していますが、これは、懐疑主義から現実の対応策として予防措置原則の応用が図られる時に是非とも求められるものだからです。
 筆者は、かつての我が国のハンセン病に対する措置のように、人権を無視した予防措置へのリスクを避けるために、「健全な」という絞りをかけました。

 19世紀の後半には、ハンセン病はコレラやペスト同様の恐るべき伝染病を考えられていました。本来は、ハンセン病の病原菌の「らい菌」は、感染力も弱く、非常にうつりにくい病気で、感染しても発病することが稀です。日本では、また、宗教上の業病という考え方も宗教界ではとられていました。当初は、こうした不合理な考え方や、病気に対する間違った予防措置が取られることになってしまいました。昭和6年には、すべての感謝の隔離を目指した「癩予防法」が制定され、各県でも、無癩県運動という名のもとに、患者を見つけ出して、療養所に送り込む施策が行われました。
その後、昭和18年に「プロミン」という薬がハンセン病に有効であることがアメリカだ報告されています。日本の施設では、効能も怪しい薬を使っていました。また、男性患者に対する断種手術、妊婦に対する中絶手術などの非人道的な処置が行われていました。ハンセン病患者に対する隔離政策は、昭和28年の「らい予防法」にも、引き継がれ、隔離政策が終わったのは、平成8年のらい予防法の廃止を待ってのことでありました。
 患者を強制的に療養所に収容し、一生出られなくする。また、患者ばかりでなくその家族にも不当な差別が続きました。

 今年は、ハンセン病の隔離政策として療養所が設置されてから、ちょうど100年目になります。国立ハンセン病資料館では、「隔離の百年―公立頼療養所の誕生―」をいう企画展を開催しています。(2009年7月25日㈯~12月20日㈰)。企画展の趣旨としては、ハンセン病の苦難の歴史は、療養所の中でだけではなく、外の社会の国民の無関心や、嫌悪感も隔離政策を支えてきた土台の一つとして問題とされなくてはならないということが含まれています。
 ※資料館の展示内容については、その展示内容に対する疑問が呈されている。見学される方は、前もって、隔離政策や患者運動について調べていった方が良いのだろう。

国立ハンセン病資料館 
 
 

朝まで涼しい」ジェルマット…実は短時間(30分程度)/気になるニュース

2009-07-11 01:05:24 | 非合理主義・疑似科学

(読売新聞)

国民生活センターが調査した、冷却効果が長時間続くとうたったジェル入りマット

「朝まで涼しい」ジェルマット…実は短時間(読売新聞) - goo ニュース
 
 国民生活センターのHPは、時間があったら是非のぞいたほうがいいだろう。
今回の夏向けのジェル入りマットの効果も、朝までどころか30分ほどしかもたなかった。現代は、情報化社会だが、必要な情報がなかなか消費者に届かない。
 まずは、疑問があったら、国民生活センターに相談すること、そして、HP等を通じて自分でも情報を集めることが必要である。
 

Michael Jackson Ghost? マイケル・ジャクソンの亡霊?

2009-07-07 18:12:41 | 非合理主義・疑似科学
Michael Jackson Ghost? During CNN Larry King Interview with Jermaine Jackson


米CNNの人気トーク番組「ラリー・キング・ライブ」で放送された、カリフォルニア州にある故マイケル・ジャクソンさんの邸宅ネバーランド内での黒い影。

心霊写真は、カメラの登場に伴って登場。カメラあっての心霊写真ということである。また、人騒がせな亡霊騒ぎが始まっている。


ゲルマニウム入りブレスレッドは身体にいいか

2009-07-04 18:51:18 | 非合理主義・疑似科学
 マイナスイオンや、各種○○水など、身体に良いとされるものが、結構、世の中に出回っている。何となく科学的な裏付けがあるようだから、つい、買ってしまう人も少なくないようだ。疑似科学は、本物の科学より科学的に見える。コラーゲンだって、服用すれば、消化器官で消化・分解されてしまうのに、何故か、飲むコラーゲンが存在する。

 国民生活センターのHPは、時々、のぞいてみると良い。登録すると、携帯電話に「見守り新鮮情報」が送られてくる。僕も利用している。悪徳商法に関する注意の喚起などの情報が得られる。6月26日付の情報は、「床下換気扇部品代の前払い」と手持ちの現金をだまし取られたケースが紹介されている。

 さて、今回のHPで、役に立つ情報は、「ゲルマニウム入りのブレスレッド」に関するものであった。くわしくは、HPをご覧ください。

 国民生活センターが行った調査の結果は、12銘柄中、8銘柄はほとんどゲルマニウムが含まれていなかったという。

 また、効能を信じて長時間使用する場合を想定して、汗に濡れたまま放置した時のテストも行ったが、半数はさびが発生した。要するに、ベルトの部分の主成分が鉄であったということだ。

 肝心の効能のほうであるが、科学技術振興機構が提供する我が国最大の科学技術文献データベースでの、過去5年間の文献情報を検索したところ、科学的根拠を示す文献は1件も確認することが出来なかった。

 また、国民生活センターから、製造・販売業者に対して行ったアンケート調査でも、明確な科学的根拠は示されなかった。

 国民センターは以上の経緯から、ゲルマニウム入りブレスレッド購入に際しては、健康への効能を期待すべきではないとしている。

 相変わらず、疑似科学を使った商法が続いている。

国民生活センター/ゲルマニウムを使ったアクセサリーに関して

本当のエコとは/『割り箸はもったいない?―食卓からみた森林問題 』

2009-07-03 20:45:37 | 非合理主義・疑似科学
割り箸はもったいない?―食卓からみた森林問題 (ちくま新書)
田中 淳夫
筑摩書房

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 いつ頃から、割り箸の使用は森林破壊につながるという言説が世の中にはびこるようになったのだろうか。いまでも、マイ箸の使用を呼びかける動きは続いている。

 本書は、本当に割り箸の使用が、森林破壊の原因となっているかを、丁寧に検討している。その結果、日本国内での割り箸の使用が、森林の保護につながることも、森林政策を語る糸口になることを解き明かしている。

 「割り箸は熱帯林を破壊する」という論争の中で、数年にも及ぶ長期間の割り箸に対する批判が続いた1989年から始まった論争のきっかけは、世界自然保護基金(WWF)が「日本が割り箸の大量使用で、熱帯雨林を破壊している」と批判したレポートが提出したと報道されたことだとされている。しかし、本書では、こうしたレポートが公式に発表された事実がなかったことを解明している。

 割り箸不要論者の言い分は、感情的なものに過ぎないようだ。
「何年もかけて成長した木を、たった数分で使い捨ててしまう」⇒「割り箸は、廃材(端材)、背板(丸太の外縁部の弓型をした材)で作る」⇒「その廃材を他のものに有効使用できないか?」⇒「割り箸に使うのが何故有効利用と認められないのか?」

 「焼却時に地球温暖化を招く」⇒「バイオマスに関するゼロミッションとかカーボンニュートラルの考え方を知らないで発言している無知」

 外国の森林問題に関しては、1990年度では、木材輸出量に占める割り箸の割合は、インドネシアでは0.8%、フィリピン0.6%、マレーシア0.0003%で、日本から見た場合は、熱帯雨林の消費する木材の割り箸に関する割合は、0.3%である。中国から輸出される割り箸も同じような傾向にある。

 日本で、割り箸が普及したのは、東京オリンピックがきっかけとなっている。いわゆる衛生問題からであった。韓国でも、中国でも同様であった。色々な病気の感染を予防するためであった。

 もしマイ箸についても、問題にするならば、使用後に洗う時に使う洗剤や水の事や、レストランなどのトイレで洗う時の衛生面、ふき取る時にティッシュペーパーを使うことの無駄、結局は塗りがはげてしまった場合の廃棄方法、塗料の安全性(国内産の漆を使わないものが少なくない)等も指摘せざるを得ないであろう。

 日本における林業の衰退も指摘している。林業も人の手によるもので、伐採等の作業が必要であり、このように管理された森林の生物の多様性が、かえって、林業の衰退による森林の放置により失われている現実も本書では指摘されている。

 もう一度、割り箸文化を通じて、森林問題を考えるために、本書は、有効な1冊となりうる。

 

神経切断防ぐ遺伝子、アルツハイマー防げる?/気になる健康ニュース

2009-06-29 20:29:07 | 非合理主義・疑似科学
神経切断防ぐ遺伝子、アルツハイマー防げる?(読売新聞) - goo ニュース

 まず、「刈り込み」というシステムがあるという。千億以上の神経細胞が結び付いた複雑な回路を構成している人間の脳は、赤ん坊の頃に、結合している多くの細胞の結合が、情報伝達の効率を上げるために、不要な結合が切断される。成長期に脳神経細胞同士が突起を伸ばして盛んに結合する一方で、不要な接続の削除が行われているということである。これを「刈り込み」と呼んでいる。この「刈り込み」が過剰に起こることが、アルツハイマー病・パーキンソン病・ALS(筋委縮性側索硬化症)などの難病の発症の一因とされている。

 東京大学と理化学研究所、九州大学の共同研究チームは、脳神経細胞が、302個と少ない線虫をモデル動物として使用し、線虫においても「刈り込み」が行われていることを確認した。この際、「MBR―1」というたんぱく質がを神経細胞の突起を切り離す働きをすることを突き止めた。また、「Wnt」というたんぱく質が「刈り込み」が過剰に起きないように働いていることも解明した。

 人間は成長期に脳神経細胞同士が突起を伸ばして盛んにつながる一方、「刈り込み」という不要な接続の削除が行われる。アルツハイマー病やパーキンソン病は、刈り込みが過剰に起きることが一因と考えられている。

 以上の報道の内容を読むことで、将来、この研究が進むことで、治療法に応用されることが出来るようになればいいなと思った。
    ※研究は、29日付の科学誌ネイチャー・ニューロサイエンスに掲載。