トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

植物が私達に呼び覚ましてくれること/絵本『どろぼうがないた』

2010-06-19 02:19:26 | 絵本・児童文学
どろぼうがないた
杉川 としひろ
冨山房インターナショナル

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 担任の教師の影響だろうか、僕は、小学生の時から、植物を育てるのが好きであった。だから、植物を育てることが、テーマになっている本を探していた。

 二つの王国の国境の家に泥棒が暮らしていた。二つの窓からは、二つの国の城がそれぞれ見えた。泥棒は、窓越しのその風景がお気に入りだった。

 二つの国の町で盗みを働いて生きてきた。泥棒稼業に悪びれることもなく、泣いたこともなかった。ただ、淡々と泥棒を続けていた。

 しかし、ある晩、猫の尻尾を踏んだことから、その家の住人に気付かれてしまう。逃げるのは御得意だが、手ぶらも何だから、そこにあった小さな箱を持って逃げ帰った。

 箱に入っていたのは、小さな植木鉢。全く興味がなかった。でも、翌朝、小さな芽が出ていた。最初は気にならなかったのだが、そのうちに、窓辺でお日さまに当ててやり、水も欠かさずやるようになった。その植物の成長を見るのが楽しみになった。いつの間にか、泥棒をすることより楽しくなった。

 泥棒は、畑を作った。とても面白く楽しかった。いつしか、今までに盗んできたものを、もとに家に帰しに行くようにさえなったのだ。あの鉢植えの草も土に植えてあげた。つぼみがついた。咲くことが待ち遠しかった。愛おしかった。

 泥棒の作る野菜は、町の人には好評で良く売れた。二つの王国は、仲が悪く、政情の不安定さから、泥棒の売る野菜が町の人にとっては貴重な存在となった。

 そしてついに戦争が始まった。町に野菜を売りに出ていた泥棒は慌てて家に駆け戻った。

 彼の家も、つぼみをつけた草も倒されていた。泥棒は、生まれて初めて大声で泣いた。


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2 コメント

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Unknown (にっこ)
2010-06-24 16:19:11
これもまた切なくなるお話ですね。

図書館で借りていた本、チョンボして返すのを忘れてしまっていました。
ちゃんと返却して色々教えてもらった本を読みたいと思います。
先に予約をしとかんといけんかったわ。
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深いです (ママまき)
2012-09-26 21:44:39
この絵本好きです。
学校で、読み聞かせボランティアをしています。
読んでみたいと思います。
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