トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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竹林が広がる意味、絵本の語るもの『おばあちゃんはかぐやひめ』

2013-06-14 21:52:38 | 絵本・児童文学
おばあちゃんはかぐやひめ (ポプラ社の絵本)
クリエーター情報なし
ポプラ社


 子どもの絵本といっても、それがファンタジーであっても、子どもから観た世界を描いていても、私たちが生きている今の社会を映している。小学校入学を間近にした少女が五泊六日で、田舎の祖父母の家に泊まる話。1人で泊まるのは初めての経験で、たけのこ掘りをお手伝いする話である。絵本を読み進める子どもにとって、新鮮な田舎の雰囲気や、祖母の怪我に心配したり、年寄りと孫との温かい関係を感じたりする絵本であるのだろ。

 ただし、息子は都会に出て、老人だけで田舎で生活を営んでいること、息子が竹林を見て去年より面積が広がったと発言したこと、近所の老人の家では、たけのこが家の畳を破って生えてきたことなどが、絵本の文章で語られる。竹林の拡大が、管理できない現実が、過疎地となってしまた田舎の姿が、絵本の中に背景として描かれていることは、それを読み取る大人にとっては、詩情がある風景が描かれた年老いた者と孫との心の交流だと簡単に評することをためらわせるのである。

回転寿司を食べるほほえましい家族の情景―絵本『まわるおすし』

2013-06-12 16:34:32 | 絵本・児童文学
まわるおすし
クリエーター情報なし
ブロンズ新社


 回転寿司がすっかり寿司の世界の覇者となった感がする昨今、子どもたちは「ぐるぐる寿司」とかこの本のタイトルのように「まわるおすし」などという言葉を使っている。家族で、回転寿司店に行く上での、マニュアルのようなこの絵本の「現実感」は素直に笑える。家計も関係しているこの現実感の中で、父親のサインを交えた指示のもと、色違いのお皿に立ち向かう姿からは、父親不在と呼ばれる社会の風潮の中で、父親への子どもたちの信頼感とともに、まるで西部開拓史のマッチョな父親像を感じさせながら、家族の団結心も描いている。この絵本、回転寿司愛好家族なら、家族みんなとよむと、身に覚えがあるような場面にでっくわして大笑いできるかもしれない。志賀直哉の「小僧の神様」からずいぶんと世の中の状況も変わってしまったものである。なお、この絵本も文章も絵も同じ作者によるもので、その絵ほタッチの強さとユーモアはこの本の魅力となっている。
「まわるおすし」に父親も交えた家族全員で行ったことのない読者の子どもも、きっと絵本のような家族の時間を過ごしたいと思うに違いないだろう。

周囲で気がついてほしい子供のダブル・ビジョンの絵本『どうしてダブってみえちゃうの?』

2012-11-07 23:57:35 | 絵本・児童文学
どうしてダブってみえちゃうの?
ジョージ エラ・リヨン
岩崎書店


 子供にとって、自分が障害を持っていたり、人とは違うところがあると気がつくことが難しいことがあります。これは、他人との比較という要素が入ってくるからであり、「比較する」という行為がその子にとって、未体験の行動であったり、そもそも理解しがたい概念だったりするわけです。
 本を読むのが苦手な子供については、教師や親などの周囲の大人たちが気づいてあげる必要があります。本人にとっては、早いときは生まれてからずっとそうして状態でいることが「普通」になっているからです。
 ディスクレシアやLDのように、脳の機能障害の場合もありますし、内科的疾患が原因となるものもあります。気付きの後、専門家に診断してもらうことになります。
 この絵本の主人公の小学生のジニーは、ものがダブって見えるダブルビジョン(複視)の少女です。読書の大好きな女の子ですが、本の中の字や絵が二重に見えてしまいます。そのため、いつも同じ分を2回読んでしまいますし、はさみを使って絵を切り抜くことも苦手でです。読書会の時にすわる椅子もダブって見えてしまうため、椅子にすわるのも大変な作業でした。先生は、本を読むのに顔を近づけることや、文を2回読みことは必要ないと注意してくれますが、ダブル・ビジョンには気がついていませんでした。それに、ジニー自身、そうしたものの見え方は、物心ついたころからの感覚ですから、自分以外の人たちも同じような見え方だと信じていました。ただし、不便さは感じていました。
 でも、学校での眼科の検査の時に、症状が判明しました。その時のジニーのショックは大きかったのは、自分が周囲の人と違っていたということがわかったからでしょう。彼女の涙は、もっと早く気づいてくれる大人がいれば流れることはなかったでしょう。
 彼女の場合は手術は必要なく、矯正のための海賊のような黒い眼帯がお気に入りにもなりました。片目では、ダブって見えなかったので、眼帯による矯正の後は、メガネで障害は治るということでした。
 この絵本で、ジニーのような子供の周囲と自分との違いを知るまでの心の動きや、眼帯をつけた治療が「かっこいい海賊」というイメージにつながったという面白さも読み取ることができると思います。
 ダブル・ビジョンも片目で見たときにダブって見えるものや、治療に手術が必要なものなど、ジニーとは違った対処法を取らなければならないものもあるそうです。まずは、周囲の大人が気づいてあげて、絵本の中では教師が気づくべきでしたが。専門家の治療に結びつけることが必要ですね。
 また、この絵本を読む子供たちには、そうした障害を持つ友達のことや、障害を受け入れることの意味も感じ取ってもらえたらいいですね。

認知症でも愛は変わらない、子どもの絵本『でも すきだよ、おばあちゃん』

2012-09-29 08:53:13 | 絵本・児童文学
でも すきだよ おばあちゃん (講談社の翻訳絵本)
S. ローソン
講談社


 私たち透析患者の世界でも、高齢化は着実に進んでいます。透析療法に入る人の年齢も、最近では平均すると68歳くらいになっています。もちろん、元気なお年寄りもいますが、透析室の中には、年を取ってから透析を始めるお年寄りも増えてきましたし、今まで元気だった患者さんが、杖や車いすを使いだしたり姿が増えてきました。同じ部屋で、透析を受けますから、そうした姿を観ると、将来の自分の姿をみるような感じになります。最近では、透析患者の間でも、高齢化の問題が話題になる事も多くなりました。その中の一つに、認知症になった患者さんの事があります。人間は、医学の進歩とともに寿命が延びた分、年を取ることにより発症しやすい病気が増えてきました。認知症は、若年性もありますが、透析患者さんでも高齢ゆえに、今までの姿とは違ってしまった状態で透析を受ける患者さんも増えてくる傾向にあるようです。症状が進むと、クリニックでは対応できなくなりますが、なかなか受け入れてくれる病院のような施設が少ないのが問題となっています。子どものようになったり、人格が変わってしまった患者さんを見るのは、複雑な気持ちがします。

 この絵本は、孫の少年がおばあさんに寄せる愛情を描いています。あとがきの訳者の解説にもあるように、初めは普通に読んでみて、2回目に読む時は、ページの左側だけを見ていくと、この少年の心の動きが良く見えてきます。
 少年の友達のおじいさんやおばあさんの事も出てきます。それぞれ、仕事や趣味を楽しんでいるお年寄りたちです。でも、少年のおばあさんは、認知症で自分の事も忘れてしまったようです。でも、大好きなおばあちゃんは、元気な時の記憶ばかりではなく、今でも、少年にとっては大好きな存在です。
 私たちの周りでも、認知症のお年寄りが増えているようですが、人格が変わったとしても、この少年のように、今まで通りの愛のある接触が出来るといいですね。子どもの世界でも、こうした状況が子どもの身近に起こっている時、このような絵本を子ども達に読んでもらいたいと思いました。

夢だけではない詩心のある絵本『いつでも星を』

2012-09-27 09:02:11 | 絵本・児童文学
いつでも星を
メアリ・リン レイ
ブロンズ新社


 金環食の騒ぎの時は、流星群の出現を知らせるニュースの後は、気が向いた人達は空を見上げたものだったが、普段の生活では、現代人はあまり空を見たり、見詰めたりすることはめっきり少なくなったようだ。
 しかし、夜空の星も、昔から人々に色々な思いをさせてきている。人生に星のイメージを重ねたり、運命を「星のめぐり」などという言葉で感じ取っていたりした。
 この絵本は、子ども達に空の星に関する詩心を語っている。しかし、夢ばかりでもない。所詮は、夜空の星を手に取るという事はできない。だからこそ、子ども達に、夜になったら、自分の所有物やお守りにすることはできないが、空を見上げる事で、希望を感じ取ったり、素直に星空の美しさに感動することなど、イマジネーションの世界で自由に遊ぶ事を呼び掛けている。
 本文の途中で、紙や石で星を作って持ち歩く事で、色々と感情の動きに合わせてモノ思う子どもたちの気持ちを書いている。イミテーションの星に、自分の感情を移しているのであるが、それはそれで意味のある事だが、遠くのリアルな星を見る意味も考えてみようと、詩心のたっぷり含んだ言葉で呼び掛けている。子どもだけでなく、大人もたまには星月夜や夜の千の目を観てみる事もしてみたらいいなと思わせる絵本であった。

童話から何を読み取るか、信頼、愛、本質? 絵本『くまの皮をきた男』

2012-09-13 08:53:08 | 絵本・児童文学
グリムの昔話 くまの皮をきた男
クリエーター情報なし
こぐま社


 画家のフェリックス・ホフマンは子どもたちや孫たちに、自らの絵でグリム童話を手描き絵本を作ったが、この作品は晩年のものだという。
 この絵本のシリーズは、手描き絵本がもとになっている。本来は、私的なものであったのだが、自分の子どもたちなどのために描かれた作品は、絵としても楽しむ事ができる。

 ストーリーの方は、伝承文学の倣いで、色々なパターンを組み合わせてできている事がわかる。

 登場する主人公の青年は、軍人としては優秀な存在だったが、世の中が平和になると、自分の生き方を喪失してしまう。この辺から、大人が読み手であった時は、色々と考えてしまうだろう。鉄砲の腕前も役には立たない世の中で、自己肯定感を失いそうな若者の前に現れたのが悪魔であった。悪魔の目的は、いつもと同じ、人間に富を約束する代わりに課題を出し、それが失敗に終わった時は彼の魂をもらう事。ここで、一回だけ鉄砲の腕前が役に立つのだが、それも悪魔の前だからこそだろう。約束の内容は、その時に鉄砲で殺したくまの皮を7年間ずっと着ることと、自分の名前は伏せる事であった。その間の見返りは、金貨が無尽蔵に出るポケットがある緑の服であった。その服の上から、熊皮を着て、金を頼りに生きていくことになる。彼の生き方と、世の中の彼を見る見方、それに金の持つ力などは、その意味を考えながら読んでいく。
 約束の時間の途中で、美女と野獣と同じような話の展開となっていく。助けた老人の3人の娘の一人と結婚させるという約束、ここでは末娘がキーパーソンとして登場するのは、昔話のお約束である。彼と彼女の、残された契約期間中のお互いを信頼するという試練を乗り越えるというのもお約束事である。そして、当然話の終わりは試練に見合ったハッピーエンドである。
 子どもたちは、まずは若者と末娘の再開までのストーリーに心惹かれるのであろう。でも、大人たちは、その間、人生の意味などを考えながら、物語を読み進めるだろう。
 昔話は、伝承の上で一定のパターンが使われながら今の世の中に再生する。
そこから、知恵や警告を掘り出す宝探しは、我々大人の読者に課せられたことである。
 とはいえ、そんな難しい事を考えなくて、素直に画家の絵と、伝承されたストーリーを第一に楽しめばいいのである。色々な意味は、後から突然頭の中に解釈がわいてくるのを待っていたって良いのであるから。

忘れてはいけないこと。写真絵本『おもいだしてくださいあのこどもたちを』

2012-09-11 00:37:42 | 絵本・児童文学
おもいだしてくださいあのこどもたちを
チャナ・バイヤーズ アベルス
汐文社


 エルサレムのナチス虐殺記念館に収蔵される写真から、ドイツにおけるユダヤ人の子どもたちの写真に解説をつけた写真絵本です。ナチスの台頭を挟んで、子どもたちの世界の変遷が描かれていて、時間の経過と共に話は進む。

 人間は、学習しない生物であるのでしょうか。何度も戦争を行ってきました。この絵本に出てくるユダヤ人も、彼らの国家建設のために、パレスチナの子どもたちを苦しめています。

 何度でも、言い続けなくてはなりません。

 日本で最近大阪で起こっていることは、ヒトラーと同じファシズムの匂いがします。ネット上のネット右翼同様の、国家主義、民族主義が見え隠れレています。充分気をつけなくてはいけません、有権者も責任を負ってください。

 戦争と迫害を生き抜いた子どもたちの姿も印象的です、死んだ、いや、殺された子どもの分も生きて成人になっているはずです。

 私たちに出来ること、それは忌まわしい歴史を生きた子どもたちをはじめとした人々を忘れないことです。安易に「水に流す」事をしないことです。

言葉遊びのリズムで絵本を『あいうえおのうみで』

2012-09-11 00:27:01 | 絵本・児童文学
あいうえおのうみで
すぎはらともこ(作・絵)
徳間書店


 50音を使って作られた絵本です。あ行から始まる物語は、家族より一足先に犬とおじいちゃんの家へ急ぐ、といっても偶然的に進んでいく男の子のお話です。作者の言葉遊びによる絵本の制作ですね。

 絵も左から右へ、本を開きながら読むときに、男の子達の動きが流れていきます。

 日本語の基本の50音の発音される音も楽しめる絵本でした。

忘れてはならないこと 写真と詩による絵本『さがしています』

2012-08-30 08:47:35 | 絵本・児童文学
さがしています (単行本絵本)
アーサー ビナード,岡倉 禎志
童心社


 この国の国民は忘れやすいのだろうか?「水に流す」という言葉もまだ大きな影響力を持っている。人の命に関わるいじめの問題も、被害者の記憶は消えていき、加害者への避難も消えていき、残るのは加害者の明日への希望と、それを見ていて無関心を装った周囲のクラスメートたちの「普通の生活」。決して呼ばれることもなく、これから開かれる同窓会でも、名前す言及されぬ彼、彼女に対して、家庭を持った「同窓生」たちの寒暖の声だけが虚しく白々しく会場に満ちるのだろう。年をとったかつての担任も、加害者であったことなどとうに忘れているような態度で、彼、彼女の何倍かの命を生きている。

 こんな国民になったのは、いつの頃からだろうか?

 詩人のアーサー・ビナードが、広島の「ピカドン」で主人を失ったもの達に、語らせたこの絵本。命尽きた主人を「さがしてます」。どうか、岡倉禎志氏の写真とともに、被爆して残された者たちの声を聞いては欲しい。


 アーサー・ビナードには、同じアメリカ人画家ベン・ジャーンのラッキードラドンの連作に詞をつけた絵本もある。決して幸福の龍ではなかった第五福竜丸のお話。この記憶もどれほど残っているのであろか?東京都の夢の島公園には、第五福竜丸自体が展示されているところがある。どうか、名前と意味をなくした遺物にしないでください。

 大切な記憶は、次の世代に伝えてください。

ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸
クリエーター情報なし
集英社

本当の強さとは? 絵本「せかいでいちばんつよい国」

2012-08-14 23:53:06 | 絵本・児童文学
せかいでいちばんつよい国
デビッド マッキー
光村教育図書


 かつての愚かな敗戦の月に、読んでもらいたい絵本。前にも、紹介したことがあったが、良い作品は何度でも語られなくては。人間は、忘れやすいい気もであるから。

 絵本に登場する大統領の信じていることは、彼の大きな国の国民の信じていること「自分たちの暮らしほど素敵なものはない」という考えをもっと深くしたものでした。実際は、深いか浅いかは読者の判断で。
 大統領は、世界中の人々が自分の国民と同じように幸せになるために、次々と、世界一の軍隊を使ってたくさんの国を征服していきました。多くの人の血が流され、死んでいっても、幸せになるためには仕方のないことでした。
 そして、ついに一つの小さな国だけを残すのみとなりました。なんと、その国は軍隊のない平和な国でした。

 これから先の展開は、どうぞ、機会がありましたらぜひ読んでみてください。特に汚れちまった大人たちに。

 征服した国の文化は否定され、自国の文化が押し付けられます。その時の、正当化する理屈の貧しいことは、歴史を振り返ってみれば理解できることです。
 現実は、この絵本の結末のようには進まないでしょう。だからこそ、何度でも語り続けていくことが、私たちに出来ることです。時代は、ますます閉塞感を増しています。そんな時、この絵本のような支配者が登場する危険性を、十分に認識しておいてください。独裁主義やファシズムは、そよ風とともにやってくるのですから。

 

空想の力は線路も伸ばすよ 絵本『せんろはつづく』

2012-08-13 09:28:52 | 絵本・児童文学
せんろはつづく
竹下 文子
金の星社


 子どもの時の夢を実現した大人たちはどれほどいるのだろう。大人になった時に、夢を含めて子ども時代のものをだいぶ捨て去ったことであろう。代わりに、現実的に考えることや、感情のコントロールなどの方法を身につけなくてはならなくなった。

 子どもたちの夢が絵本の中ではかなう。それが、イメージの世界でも、絵本の時間の中ではリアルな世界に生きることもできるのである。

 子どもたちが見つけた線路。どこから来たものかなんて考える必要もない。子どもたちは、線路を伸ばしていく。どこまで行くなのかは問題ではない。ひたすら延長の作業は進む。きっと、読者も彼らの中に入り込んでいる。山や、道や、大きな池が線路の工事を中断させる。さあ、どうする?

 絵本の中に不可能はない。子どもたちの夢は現実となって先へ先へと進んでいく。

 彼らとともに、絵本のっ結末を楽しんでみよう。大人になったら、考えもしないことを。

地球の生き物のみなさん、ごめんなさい 絵本「いこう!絶滅どうぶつ園」

2012-08-06 00:09:32 | 絵本・児童文学
いこう!絶滅どうぶつ園
今泉 忠明
星の環会


 動物学者の今泉忠明さんの文による、生物多様性の大切な意味と、文明の発展に反して、この地球上の大事な仲間である生き物を人為的に消滅させていったヒトという生物の罪深さを、子供のために伝えようとした絵本です。

 絶滅危惧種のパンダのところに、絶滅動物たちが暮らす絶滅どうぶつ園から、招待状が届きます。ニシクロサイさんの歓迎パーティへの招待状でした。さて、パンダがそこで見て、経験したことはなんなのでしょう。

 かつては、人間により4年に1種の生物が滅ぼされていたそうです。それが今では毎年4万種の生物が絶滅しているという、その加速度のすごいこと。絶滅が生物の進化をストップさせていることと、人間の「万物の霊長」という恐るべきエゴイズムが地球上の生き物にとって、同時に人類という種にとっても、マイナスに働いていることに気づいて欲しいという著者の気持ちが、一人でも多くの子どもに伝わりますように。この本を読むことによって。

おじいさんの素敵な記憶の庭 絵本『グランパ・グリーンの庭』

2012-07-28 09:05:34 | 絵本・児童文学
 トピアリー(topiary)って知っていますか。多分、どこかで見た人もいるかと思いますよ。西洋庭園などで、動物や鳥の形にきれいに刈り込まれた木を見たことがあるでしょう。あれが、トピアリー。

 この絵本では、庭師のおじいさんの素敵な庭が描かれています。

 どんな風にかって。

 おじいさんが生まれてからの、おじいさんの歴史が一つ一つのトピアリーになっているのです。
 トピアリーを見ることで、おじいさんがそれまでどんな風に生きてきたか、目で知ることができます。

 おじいさんは、今はどうかって?

 相変わらず、元気に新しい作品にとりかっかっています。

 さあ、みなさんもそんな素敵なおじいさんの庭に来てください。

グランパ・グリーンの庭
レイン スミス
BL出版

強くて素早くて甘えん坊の猫の絵本『もりのねこ』

2012-07-26 09:10:03 | 絵本・児童文学
もりのねこ (えほんひろば)
工藤 有為子
小峰書店


 街の猫なら、東京の繁華街でも見かけることができる。稲の猫ではないが、住民の温かい気遣いを受けていきている地域猫もいる。

 では、この絵本の「もりのねこ」って、どんな猫なんだろう。

 キエシェという名前の猫だが、子猫の時は家猫だった。

 森に捨てられた猫かって?

 安心していいよ、捨て猫ではないよ。

 この絵本の中で、森の中で立派に自分の勤めをはたしながら、たくましく生きるキエシェの姿を見てやってよ。

 この絵本の絵も、とても素敵に描かれているよ。

 さあ、キエシェについて、色々な音がする森の中を冒険しようよ。

 ほんとのこと言うと、キエシェはとっても甘えん坊なんだよ。

今の子どもには畑ははるか彼方に 絵本『きゃ きゃ キャベツ』

2012-07-25 08:51:20 | 絵本・児童文学
きゃっきゃキャベツ (どーんとやさい)
いわさ ゆうこ
童心社


 私の子供の頃、畑や田んぼといった農地が、学校や住宅地の周辺にもかなり残っていた。松任谷由実の「守ってあげたい」という曲の中で、レンゲのことが触れられているが、八王子もかつては、今宅地となっているところにも、農地が存在していた。
 
 野菜を見る機会も、特に設ける必要もあるまい。

 昨今、食育などというものが強調されている。スローライフの考え方と結びついて、お手頃の手間をかけない世の中の風潮に一石を投げかけている。

 食べ物も、生産の現場から子どもたちに知ってほしい。しかし、現実には、自分たちが毎日食べている野菜や果物について、どのような形で成長し、収穫されるかは知らない子が多く、スーパーや八百屋で売っている状態しかお目にかからないことのほうが普通である。

 落花生の実の付け方まで知ることはないと思うが、せめて、人間をはじめ動物たちの命を育む植物のことに、もっと興味をもってほしい。

 本書は、身近な野菜、キャベツのことを、色々な面から描いたもので、野菜の事を知るのに大いに役に立つし、楽しみながらキャベツの世界を通して、他の野菜にも興味を持って欲しいなという感想でした。