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透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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自然に生きること、仲間と生きること/絵本『百年たってわらった木』

2011-01-16 00:06:43 | 絵本・児童文学
百年たってわらった木
中野 美咲
くもん出版


 今でもそうですが、生きていることへの執着が強すぎるようです。当たり前といえばそうなのですが、子供の時から死への恐怖に恐れおののいていました。夜の暗闇などは、特にそうでした。寝床の中で、死という虚無の世界のイメージに押しつぶされそうになっていました。そうした恐怖から、夢から覚めることも少なくありませんでした。
 そんなとき、巨木の存在に憧れました。人間と比べれば、はるかに長い間生きていることができる。そうしたことを、科学読み物から学んで、自分も千年以上生きて、歴史の移り変わりを見てみたいなどと思っていました。
 大人になってからは、時々は虚無への恐怖心が蘇ってきましたが、他のことを考えることで、死という逃れられない運命については、あまり考えないようにしています。

 最近は、体調に自信が持てなくなった分、精神的に弱くなっているようです。その反面、現実世界では、するべきことが増えてきています。先日、サークルの新年会に出席して、新年の抱負を各自短いコメントを書くことを求められました。それには、当たり障りのないことを書きこみましたが、本心は、今年を無事に生きて、乗り越えることでした。全く、身体の状態は、精神の状態に深く影響するものです。

 この絵本は素直に読めば、ありのままの自分を生きることの大切さを訴えている作品だといえるのでしょう。でも、自分の今の状態からは、別の読み方をしたほうが、ほっとするようです。

 この絵本に登場する木も、百年も生きています。自分を格好よく見せる為に、枝をピンと空に向かって伸ばし、樹皮もつるつるで輝いていました。でも、百年も生きているのに、ただの一人の友達もできませんでした。百年間、自分で頑張って格好よくしていたのに、何故友達ができなかったのでしょうか。百年の孤独もまた、耐え難いものでした。そんなわけで、気持ちの張りもすっかり失った木は、失望感に襲われます。あれほどピンとまっすぐに伸ばしていた枝も、垂れていきました。そう、体をピンと伸ばす努力も結構大変だったのです。
 そしたら、リスの親子がやってきました。曲がった枝が作る葉かげが絶好の休憩所になったからです。百年も生きている木ですから、その作り出す木陰もとても広いものですから、他の多くの動物たちも休みに集まってくるようになりました。こうして、木は、やっと動物たちと友達になることができました。そのあとに、小鳥がやってきました。でも、つるつるの幹では止まれないと言いました。木は、その時、大切なことに気がつきました。すると、木の幹は、百年生きた木にふさわしく、ごつごつしたものになりました。今では、鳥たちだけではなく、たくさんの虫たちも集まってきました。毎日、たくさんの生き物たちとおしゃべりを楽しめます。自分らしく自然にありのままに生きることで、百年目にやっと笑うことが出来た木のお話でした。

 この絵本の中で、一番気に入った言葉があります。『百年かかって、やっと 気づいたきですが、みんなのおかげで、これから 二百年も 三百年も 生きていられそうだと、 きょうも わらっています。』

 そう、僕も仲間たちのおかげで、まだ、十年も二十年も生きていられそうな気がしてきました。先の事はわかりませんが、この絵本に慰められたようですね。

読書『ツレちゃんに逢いたい』

2011-01-11 01:24:36 | 漫画
 以前、ブログで紹介した『じりラブ』は、ゲイのカップルをめぐるおかしくて楽しい作品でした。作者のうたぐわさんの現在もアメブロで好評連載中のマンガでした。パートナーのツレちゃんに対する描き方がとても愉快でありました。

 今回、『じりラブ』では描かれなかった世界が『ツレちゃんに逢いたい』という形で出版されました。内容に関しては、『じりラブ』とは違い、「真面目で」前向きな内容に富んでいました。本当は、内容に関しても詳しく言及したいのですが、ネタバレになってしまいます。



 『じりラブ』は、集英社からの出版でしたが、『ツレちゃんに逢いたい』は、自費出版の形をとっています。関心のある方は、下のバナーからリンクしてみてください。

 マイノリティとしても、カップルとしてあり続けることが難しい世界での、二人の前作では描かれなかった部分を通して、人間の生き方を考えさせられる作品でした。
 現代は、個の世界へと向かっています。個として生きるのは、とても、孤独で大変なことです。一歩間違えば、単なる利己主義者となってしまいます。
 その一方で、NHKの放送から生まれた言葉、「無縁社会」に生きて死ななくてはいけないリスクも高くなっています。

 ヘテロも含めて、確立した個と個がつながる方向性が、又、今求められ、模索されているのかもしれません。



じりラブ
うたぐわ
集英社


ツレちゃんに逢いたい PV


やさしい気持ち ~歌川たいじ Feat.一途~