トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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認知症でも愛は変わらない、子どもの絵本『でも すきだよ、おばあちゃん』

2012-09-29 08:53:13 | 絵本・児童文学
でも すきだよ おばあちゃん (講談社の翻訳絵本)
S. ローソン
講談社


 私たち透析患者の世界でも、高齢化は着実に進んでいます。透析療法に入る人の年齢も、最近では平均すると68歳くらいになっています。もちろん、元気なお年寄りもいますが、透析室の中には、年を取ってから透析を始めるお年寄りも増えてきましたし、今まで元気だった患者さんが、杖や車いすを使いだしたり姿が増えてきました。同じ部屋で、透析を受けますから、そうした姿を観ると、将来の自分の姿をみるような感じになります。最近では、透析患者の間でも、高齢化の問題が話題になる事も多くなりました。その中の一つに、認知症になった患者さんの事があります。人間は、医学の進歩とともに寿命が延びた分、年を取ることにより発症しやすい病気が増えてきました。認知症は、若年性もありますが、透析患者さんでも高齢ゆえに、今までの姿とは違ってしまった状態で透析を受ける患者さんも増えてくる傾向にあるようです。症状が進むと、クリニックでは対応できなくなりますが、なかなか受け入れてくれる病院のような施設が少ないのが問題となっています。子どものようになったり、人格が変わってしまった患者さんを見るのは、複雑な気持ちがします。

 この絵本は、孫の少年がおばあさんに寄せる愛情を描いています。あとがきの訳者の解説にもあるように、初めは普通に読んでみて、2回目に読む時は、ページの左側だけを見ていくと、この少年の心の動きが良く見えてきます。
 少年の友達のおじいさんやおばあさんの事も出てきます。それぞれ、仕事や趣味を楽しんでいるお年寄りたちです。でも、少年のおばあさんは、認知症で自分の事も忘れてしまったようです。でも、大好きなおばあちゃんは、元気な時の記憶ばかりではなく、今でも、少年にとっては大好きな存在です。
 私たちの周りでも、認知症のお年寄りが増えているようですが、人格が変わったとしても、この少年のように、今まで通りの愛のある接触が出来るといいですね。子どもの世界でも、こうした状況が子どもの身近に起こっている時、このような絵本を子ども達に読んでもらいたいと思いました。

夢だけではない詩心のある絵本『いつでも星を』

2012-09-27 09:02:11 | 絵本・児童文学
いつでも星を
メアリ・リン レイ
ブロンズ新社


 金環食の騒ぎの時は、流星群の出現を知らせるニュースの後は、気が向いた人達は空を見上げたものだったが、普段の生活では、現代人はあまり空を見たり、見詰めたりすることはめっきり少なくなったようだ。
 しかし、夜空の星も、昔から人々に色々な思いをさせてきている。人生に星のイメージを重ねたり、運命を「星のめぐり」などという言葉で感じ取っていたりした。
 この絵本は、子ども達に空の星に関する詩心を語っている。しかし、夢ばかりでもない。所詮は、夜空の星を手に取るという事はできない。だからこそ、子ども達に、夜になったら、自分の所有物やお守りにすることはできないが、空を見上げる事で、希望を感じ取ったり、素直に星空の美しさに感動することなど、イマジネーションの世界で自由に遊ぶ事を呼び掛けている。
 本文の途中で、紙や石で星を作って持ち歩く事で、色々と感情の動きに合わせてモノ思う子どもたちの気持ちを書いている。イミテーションの星に、自分の感情を移しているのであるが、それはそれで意味のある事だが、遠くのリアルな星を見る意味も考えてみようと、詩心のたっぷり含んだ言葉で呼び掛けている。子どもだけでなく、大人もたまには星月夜や夜の千の目を観てみる事もしてみたらいいなと思わせる絵本であった。

愛する気持ちを音に託し、見えない愛を育てる、絵本『ミュージック・ツリー』

2012-09-17 21:29:54 | 政治
ミュージック・ツリー
アンドレ・ダーハン
講談社


 猫である僕は、夏の夜、月明かりの下で、うさぎのロージーのために、彼女への思いを音に変えて、バイオリンを奏でます。翌朝、ロージーが地面に落ちたそれらの音を拾い集めて、僕に渡してくれました。僕は、それを花の種のように地面に植えると、芽が出てきました。

 私たちには、形がなくても、感じ取ることができるものがあります。相手への思いもそうですし、楽器の音色や、歌声もそうですね。

 この絵本では、そうした形のない大事な思いを、形のあるものとして描いてくれます。そうした思いも、育むことができることを、思い起こしてくれます。そしてそれを大切な人に送ることができることも。

 温かい気持ちが感じ取れた絵本でした。読み終わったあとは、しばらくは優しい気持ちになれました。

気になるニュース『HIV新薬、米で承認 東北大・JT共同開発』

2012-09-17 01:18:46 | 病気
HIV新薬、米で承認 東北大・JT共同開発(河北新報) - goo ニュース

 先進国の中では、HIV患者の増加している日本は、啓発活動の遅れた問題を抱えた国である。患者も生きづらい社会のようだ。透析患者同様の身体障害者手帳が交付される。

 このニュースで気になる数字。

 エイズ、HIV患者数。 世界で3400名以上。日本では約2万人。長期間の感染者や発症者の1~2割に、抗HIV薬に耐性を持つ変異株が出現。

 さて、エイズ、HIV患者も治療薬の進歩で、カクテル療法で1回数錠を1日3回服用することで、レトロウイルスの消失までもいたらなくても、発症しにくくなり、感染者の寿命も非感染者のそれに近づいているということである。
 一部の患者に見られる薬に対する耐性なども見据えた上で、我が国で開発された新薬がアメリカで新薬承認された。国ないは、本年度内に認可の見透しである。

『新薬「エルビテグラビル」は、HIVの遺伝子が、ヒトのDNAを切断・侵入する際に必要とする酵素の働きを止めることで、ウイルスの増殖を防ぐ。』とされる。

 この薬の特性は、1日1回の服用で済むというところだ。記事では、3回の服用では、周囲に患者であることが発覚しやすいという患者への配慮の要素も紹介している。我が国では、患者への差別それ自体がが解消されにくいということなのだろう。
 

童話から何を読み取るか、信頼、愛、本質? 絵本『くまの皮をきた男』

2012-09-13 08:53:08 | 絵本・児童文学
グリムの昔話 くまの皮をきた男
クリエーター情報なし
こぐま社


 画家のフェリックス・ホフマンは子どもたちや孫たちに、自らの絵でグリム童話を手描き絵本を作ったが、この作品は晩年のものだという。
 この絵本のシリーズは、手描き絵本がもとになっている。本来は、私的なものであったのだが、自分の子どもたちなどのために描かれた作品は、絵としても楽しむ事ができる。

 ストーリーの方は、伝承文学の倣いで、色々なパターンを組み合わせてできている事がわかる。

 登場する主人公の青年は、軍人としては優秀な存在だったが、世の中が平和になると、自分の生き方を喪失してしまう。この辺から、大人が読み手であった時は、色々と考えてしまうだろう。鉄砲の腕前も役には立たない世の中で、自己肯定感を失いそうな若者の前に現れたのが悪魔であった。悪魔の目的は、いつもと同じ、人間に富を約束する代わりに課題を出し、それが失敗に終わった時は彼の魂をもらう事。ここで、一回だけ鉄砲の腕前が役に立つのだが、それも悪魔の前だからこそだろう。約束の内容は、その時に鉄砲で殺したくまの皮を7年間ずっと着ることと、自分の名前は伏せる事であった。その間の見返りは、金貨が無尽蔵に出るポケットがある緑の服であった。その服の上から、熊皮を着て、金を頼りに生きていくことになる。彼の生き方と、世の中の彼を見る見方、それに金の持つ力などは、その意味を考えながら読んでいく。
 約束の時間の途中で、美女と野獣と同じような話の展開となっていく。助けた老人の3人の娘の一人と結婚させるという約束、ここでは末娘がキーパーソンとして登場するのは、昔話のお約束である。彼と彼女の、残された契約期間中のお互いを信頼するという試練を乗り越えるというのもお約束事である。そして、当然話の終わりは試練に見合ったハッピーエンドである。
 子どもたちは、まずは若者と末娘の再開までのストーリーに心惹かれるのであろう。でも、大人たちは、その間、人生の意味などを考えながら、物語を読み進めるだろう。
 昔話は、伝承の上で一定のパターンが使われながら今の世の中に再生する。
そこから、知恵や警告を掘り出す宝探しは、我々大人の読者に課せられたことである。
 とはいえ、そんな難しい事を考えなくて、素直に画家の絵と、伝承されたストーリーを第一に楽しめばいいのである。色々な意味は、後から突然頭の中に解釈がわいてくるのを待っていたって良いのであるから。

忘れてはいけないこと。写真絵本『おもいだしてくださいあのこどもたちを』

2012-09-11 00:37:42 | 絵本・児童文学
おもいだしてくださいあのこどもたちを
チャナ・バイヤーズ アベルス
汐文社


 エルサレムのナチス虐殺記念館に収蔵される写真から、ドイツにおけるユダヤ人の子どもたちの写真に解説をつけた写真絵本です。ナチスの台頭を挟んで、子どもたちの世界の変遷が描かれていて、時間の経過と共に話は進む。

 人間は、学習しない生物であるのでしょうか。何度も戦争を行ってきました。この絵本に出てくるユダヤ人も、彼らの国家建設のために、パレスチナの子どもたちを苦しめています。

 何度でも、言い続けなくてはなりません。

 日本で最近大阪で起こっていることは、ヒトラーと同じファシズムの匂いがします。ネット上のネット右翼同様の、国家主義、民族主義が見え隠れレています。充分気をつけなくてはいけません、有権者も責任を負ってください。

 戦争と迫害を生き抜いた子どもたちの姿も印象的です、死んだ、いや、殺された子どもの分も生きて成人になっているはずです。

 私たちに出来ること、それは忌まわしい歴史を生きた子どもたちをはじめとした人々を忘れないことです。安易に「水に流す」事をしないことです。

言葉遊びのリズムで絵本を『あいうえおのうみで』

2012-09-11 00:27:01 | 絵本・児童文学
あいうえおのうみで
すぎはらともこ(作・絵)
徳間書店


 50音を使って作られた絵本です。あ行から始まる物語は、家族より一足先に犬とおじいちゃんの家へ急ぐ、といっても偶然的に進んでいく男の子のお話です。作者の言葉遊びによる絵本の制作ですね。

 絵も左から右へ、本を開きながら読むときに、男の子達の動きが流れていきます。

 日本語の基本の50音の発音される音も楽しめる絵本でした。