トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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見えるもの、見えないけれど存在するもの/絵本『扉の国のチコ』

2009-09-06 10:06:03 | 絵本・児童文学
扉の国のチコ
巖谷 國士,中江 嘉男
ポプラ社

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 巌谷國士による詩人瀧口修造へのオマージュ作品。芸術、美術の秋にふさわしい絵本である。大人のための絵本であるのだろう。

 黒い大きな帽子をかぶり、黒い服、黒い靴の孤独な少女チコ。生まれつき普通の人と世界の見え方が違うチコ。「普通」と違うことで他人からはよくは思われていない。ある日手に入れた望遠鏡、この望遠鏡をのぞくことで、異界へ旅することができる。そして、望遠鏡で見つけた一つの扉を目指しての旅が始まる。

 シュルレアリスムの世界が描かれている。そこを旅するチコは、ステッキをつく老人と出会う。彼によって導かれる世界。彼にとって最後の旅だと言う。老人の書斎の変わったオブジェ、彼の友人のデュシャンの作品、エルンストのチェスの駒の中では身体が小さくなっていた、その時上からエルンストが見下ろしていることには気が付かなかった。
 やがて老人は、別の世界に旅立っていった。ステッキの老人から、しばらくたってから手紙が届く。詩の手紙。彼は「もうひとつの國」にいる。いつかは、チコも旅立つ国に。その国は、「いまここ」とつながってる。チコは望遠鏡を目にあてて、遠い青空の中に、今度は、老人だけでなく、手紙に書かれていた「みんな」の姿を探した。

 ステッキの老人は、亡くなった瀧口修造である。この絵本の中に出てくる美術作品は、実在するもの。また作中のオリーブの木も、その実のびん詰も瀧口氏の家に会ったもの。

 絵を描いた上野紀子さんと構成した中江義男氏は、夫婦の絵本作家。巌谷氏の言葉と共に、シュルレアリスムの世界への旅へといざなってくれる。

 芸術、美術を愛する人の為の絵本。

 作中のステッキの老人の手紙の中の詩は、現実の瀧口氏の「遺言」という瀧口氏の書斎で見つかった未発表の草稿の中の詩である。重病を患った後の1970年7月に書かれたもの。

 

 

日記/「大河原邦夫のメカデザイン」最終日です

2009-09-06 01:16:55 | 日記
 八王子市夢美術館は気楽に行ける美術館です。開催中の「大河原邦夫のメカデザイン ガンダム・ボトムズ・ダグラム」も、本日6日の日曜日で幕を閉じます。

 もう一度観に行こうと、一昨日、美術館に行ってきました。美術館でも、日本のアニメーション関連の展示がされる時代になりました。

 作品としては、初めて見たのは、タイムボカンシリーズのヤッターマンの再放送でしたか。毎日、夕方放送しているのを観ていました。いつ頃のことかもう忘れてしまいました。大河原氏がタツノコプロに入社して、メカデザインを担当していたんですね。会場に置かれた液晶テレビに、タイムボカーンシリーズのオープニングが流れていましたが、確かに、メカデザイン 大河原邦夫という名前が画面に登場していました。

 ロボットアニメの最初の展開点は、マジンガーZだと解説が載っていました。それ以前は、鉄人28号など、菓子メーカーが製作に関わっていたということです。そういえば、テレビで見ていると、鉄人28号はテーマソングの後にグリコグリコと連呼していました。鉄腕アトムは、明治製菓でした。
 マジンガーZ以後は、玩具メーカーが製作に関わるようになり、商品化が番組を製作する上で重要な要素となったようです。メカデザインが重視されるようになった一因でしょう。子どもたちが番組に登場するメカをおもちゃ屋で買うという構図になった訳です。
 現在は、ケーブルテレビ、CS放送、ネット配信などにより、玩具メーカー主導の構図は変わったようです。ガンダムなども、最近まで、東京なので、MXテレビで観ていました。OVAも作られ、映像として独立した収益も望めるようになったようです。
 
 会場では、大河原邦夫の設定資料も展示されてあり、玩具化できるように、組立ての手順などが書き込まれていました。また、ガンダムなどは、ポスターカラーを使って描かれていますが、立派なアート作品として観ることができます。氏の場合は、原寸大のモデルを作ることがあったとのこと。会場でも、ヤッターワンの原寸大の鼻の部分と、ザクの使用するヒートホークもやはり原寸大で展示されていました。

 玩具メーカー主導の時代に、大河原氏は独立して、日本サンライズ(現サンライズ)の作品のメカデザインも担当するようになりました。ガンダムは、商品化を予定してデザインされたものでしたが、ザクに関しては、大河原氏自身、商品化を考えずに設計したそうです。しかし、ご存知の通り、ザクもガンプラとして登場した訳です。ダグラムでは、ガンダムのように人間型の頭を不要とするデザインを採用して事は興味あることでした。

 残念ながら、時代に沿って展示してある作品は、未見のものも多く、作品を観ていればもっと展示を楽しめたでしょう。

 現在は、ヤッターマンは時代に合わせたメカデザインをしているのに対して、ガンダムに関しては、原点継承という観点からデザインされているとの事です。

 時間があったら、今日の最終日も見学に行こうと思っています。