トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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忘れてはならないこと 写真と詩による絵本『さがしています』

2012-08-30 08:47:35 | 絵本・児童文学
さがしています (単行本絵本)
アーサー ビナード,岡倉 禎志
童心社


 この国の国民は忘れやすいのだろうか?「水に流す」という言葉もまだ大きな影響力を持っている。人の命に関わるいじめの問題も、被害者の記憶は消えていき、加害者への避難も消えていき、残るのは加害者の明日への希望と、それを見ていて無関心を装った周囲のクラスメートたちの「普通の生活」。決して呼ばれることもなく、これから開かれる同窓会でも、名前す言及されぬ彼、彼女に対して、家庭を持った「同窓生」たちの寒暖の声だけが虚しく白々しく会場に満ちるのだろう。年をとったかつての担任も、加害者であったことなどとうに忘れているような態度で、彼、彼女の何倍かの命を生きている。

 こんな国民になったのは、いつの頃からだろうか?

 詩人のアーサー・ビナードが、広島の「ピカドン」で主人を失ったもの達に、語らせたこの絵本。命尽きた主人を「さがしてます」。どうか、岡倉禎志氏の写真とともに、被爆して残された者たちの声を聞いては欲しい。


 アーサー・ビナードには、同じアメリカ人画家ベン・ジャーンのラッキードラドンの連作に詞をつけた絵本もある。決して幸福の龍ではなかった第五福竜丸のお話。この記憶もどれほど残っているのであろか?東京都の夢の島公園には、第五福竜丸自体が展示されているところがある。どうか、名前と意味をなくした遺物にしないでください。

 大切な記憶は、次の世代に伝えてください。

ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸
クリエーター情報なし
集英社

本当の強さとは? 絵本「せかいでいちばんつよい国」

2012-08-14 23:53:06 | 絵本・児童文学
せかいでいちばんつよい国
デビッド マッキー
光村教育図書


 かつての愚かな敗戦の月に、読んでもらいたい絵本。前にも、紹介したことがあったが、良い作品は何度でも語られなくては。人間は、忘れやすいい気もであるから。

 絵本に登場する大統領の信じていることは、彼の大きな国の国民の信じていること「自分たちの暮らしほど素敵なものはない」という考えをもっと深くしたものでした。実際は、深いか浅いかは読者の判断で。
 大統領は、世界中の人々が自分の国民と同じように幸せになるために、次々と、世界一の軍隊を使ってたくさんの国を征服していきました。多くの人の血が流され、死んでいっても、幸せになるためには仕方のないことでした。
 そして、ついに一つの小さな国だけを残すのみとなりました。なんと、その国は軍隊のない平和な国でした。

 これから先の展開は、どうぞ、機会がありましたらぜひ読んでみてください。特に汚れちまった大人たちに。

 征服した国の文化は否定され、自国の文化が押し付けられます。その時の、正当化する理屈の貧しいことは、歴史を振り返ってみれば理解できることです。
 現実は、この絵本の結末のようには進まないでしょう。だからこそ、何度でも語り続けていくことが、私たちに出来ることです。時代は、ますます閉塞感を増しています。そんな時、この絵本のような支配者が登場する危険性を、十分に認識しておいてください。独裁主義やファシズムは、そよ風とともにやってくるのですから。

 

空想の力は線路も伸ばすよ 絵本『せんろはつづく』

2012-08-13 09:28:52 | 絵本・児童文学
せんろはつづく
竹下 文子
金の星社


 子どもの時の夢を実現した大人たちはどれほどいるのだろう。大人になった時に、夢を含めて子ども時代のものをだいぶ捨て去ったことであろう。代わりに、現実的に考えることや、感情のコントロールなどの方法を身につけなくてはならなくなった。

 子どもたちの夢が絵本の中ではかなう。それが、イメージの世界でも、絵本の時間の中ではリアルな世界に生きることもできるのである。

 子どもたちが見つけた線路。どこから来たものかなんて考える必要もない。子どもたちは、線路を伸ばしていく。どこまで行くなのかは問題ではない。ひたすら延長の作業は進む。きっと、読者も彼らの中に入り込んでいる。山や、道や、大きな池が線路の工事を中断させる。さあ、どうする?

 絵本の中に不可能はない。子どもたちの夢は現実となって先へ先へと進んでいく。

 彼らとともに、絵本のっ結末を楽しんでみよう。大人になったら、考えもしないことを。

たまには旅に出たりして

2012-08-07 23:17:47 | 日記
ゆっくり流れる時間を過ごしたくて、ただいま旅先のホテルの部屋にいます。非日常としての旅をしたいと思っていますが。結構難しいことです。藤村操でしたでしょうか、この土地に強い関係を持った人物の名前は。人々から忘れ去られる、歴史の共有や記憶の共有の喪失は、儚く悲しいものです。