路隘庵日剰

中年や暮れ方近くの後方凡走

肩先にきて闇となる蛍かな

2011年06月25日 | Weblog

 畑へ行くというので、梅雨の晴れ間をぬって野良仕事。芋の花が可憐なジャガイモの畝の中をずうっと這いながら草とって、土寄せ。それから瓜の種まき。段々と畑になっていくから楽しい。汗だらけになって、シャツぐっしょりになる。

 夜になって、蛍を見に行くというので、隣町まで連れて行かれる。
 蛍見にきたのは何十年ぶりだろう。暗くてどこをどう歩いたのかわからないけれど、川筋に歩道がしつられられていて(たぶん)、その周辺の河藪の上を数千の光る羽虫が遊弋していた。虫が光るだけやんけ、と思っていたけれど、これだけ明滅しているとさすがにキレイである。消え入りそうな光のブラウン運動というのは、あれどうなっているのだろう。
 それにしてもカップルばかりであるが、こんな田舎にカップルってのがいたことにも驚いた夜でありました。

 もう遥か昔、祖母に当たるひとの新盆に父親の実家に連れて行かれ、その家の庭で見つけた一匹だけの蛍を盆提灯のなかに放した夜を思い出す。
 たしかに盆提灯の記憶があるのだけれど、旧盆のころに蛍がいたのだろうか。ともかく思い出の断片はどれも盆のころの夏の夜の光景だけれど、ひょっとしたらまた別の記憶かもしれない。ともかく、その蛍はいつまでも逃げないで、盆提灯のあとは寝所の蚊帳のなかに放されて、いつまでもぼやぼやと光っては消えていた。
 なんだか少し怖かったな。