聖書のはなし ある長老派系キリスト教会礼拝の説教原稿

「聖書って、おもしろい!」「ナルホド!」と思ってもらえたら、「しめた!」

2021/10/1 民数記13-14章「12人のスパイ」こども聖書㉛

2021-10-16 12:56:10 | こども聖書
2021/10/1 民数記13-14章「12人のスパイ」こども聖書㉛

 今から1500年ほど前、エジプトの国で奴隷として使われていたイスラエルの民を、神は解放してくださいました。そして、荒野を通って、彼らを導き、新しい掟、「律法」を下さいました。そうして、彼らは約束の地の手前にまでやってきました。神である主はイスラエルの指導者モーセに、偵察をするよう命じました。イスラエルの12の部族から一人ずつ、えり抜きの勇者たちが選ばれました。つまり、12人のスパイです。
民数記13章17節
モーセは、カナンの地の偵察のために彼らを遣わして言った。「向こうに上って行ってネゲブに入り、山地に行き、18その地がどんなであるか、調べてきなさい。そこに住んでいる民が強いか弱いか、少ないか多いか、19また彼らが住んでいる土地はどうか、それが良いか悪いか、彼らが住んでいる町々はどうか、それらは宿営か、それとも城壁の町か、20土地はどうか、それは肥えているか痩せているか、そこには木があるかないか。勇気を出して、その地の果物を取って来なさい。」

 こう言われて、12人のスパイは出かけて行きました。約束の地を40日掛けて、歩いて偵察しました。その土地の善さと危険、どちらも探ったのです。約束の地を、南から北の端まで偵察したのです。そこに住む人たちは、大きな身体をしていて、強そうでした。戦いは楽ではないでしょう。でも、その土地の食べ物は大きく、美しい景色でした。
 葡萄一房を二人で担いで、というのですから、どんな様子だったのでしょう? 他にも果物が豊かでした。40日の間、きっと危険や驚き、ドキドキハラハラしたでしょう。そうして帰って来た彼らは、果物を見せながら、イスラエルの民に報告をしました。

27…私たちは、あなたがお遣わしになった地に行きました。そこには確かに乳と蜜が流れています。


そして、これがそこの果物です。


ただ、その地に住む民は力が強く、その町々は城壁があって非常に大きく、そのうえ、そこでアナク[巨人]の子孫を見ました。


…31…あの民のところには攻め上れない。あの民は私たちより強い。



…33…私たちの目には自分たちがバッタのように見えた」


 こう悪く言いふらしたのです。12人のうち十人は悪く言いふらしましたが、二人は違いました。その二人は、ヨシュアとカレブです。この二人は神を信じて励ましました。
14:7…「私たちが巡り歩いて偵察した地は、すばらしく、良い地だった。8もし主が私たちを喜んでおられるなら、私たちをあの地に導き入れ、それを私たちに下さる。あの地は乳と蜜が流れる地だ。9ただ、主に背いてはならない。その地の人々を恐れてはならない。…主が私たちとともにおられるのだ。…」



 このように言います。偵察は必要で、どんな敵が待っているか、どんな事が予想されるか、知ることは大事です。しかし、神である主はどんな出来事にも、必要な知恵や助けを下さいます。ここまでもそうでした。これからも主はともにおられます。約束してくださった通り、この地を与えてくださるのです。それを信じたのは、二人だけでした。

 十人のスパイが悪く言うのを聴いて、イスラエルの民はそれを信じてしまいます。

「我々はエジプトの地で死んでいたらよかった。あの地に行けば、子どもたちはかすめ奪われてしまう。さあ、われわれは、かしらを立ててエジプトに帰ろう。」

 そういって、ヨシュアとカレブは石で打ち殺そうとするのです。神である主はそこで介入されます。モーセが懇願したおかげで、民は滅びを免れますが、主はこう仰います。
22わたしの栄光と、わたしがエジプトとこの荒野で行ったしるしとを見ながら、十度もこのようにわたしを試み、わたしの声に聞き従わなかった者たちは、だれ一人、23わたしが彼らの父祖たちに誓った地を見ることはない。わたしを侮った者たちは、だれ一人、それを見ることはない。…
30エフンネの子カレブと、ヌンの子ヨシュアのほかは…31おまえたちが『かすめ奪われてしまう』と言った、おまえの子どもたちについては、わたしは彼らを導き入れる。

 残り十人のスパイは、特に責任が重く問われ、病気で死にます。しかし、これを聞いた大人たちは、今更マズかったと思ったのでしょう。次の朝、こう言い出します。
40…われわれはここにいるが、とにかく主が言われた場所へ上って行ってみよう。われわれは罪を犯してしまったのだ。

 反省しているようですけど、これは神の求める態度ではありませんでした。モーセが

「あなたがたはいったいなぜ、主の命令を破ろうとするのか。それは成功しない。42上って行ってはならない。主があなたがたのうちにおられないのだから。…」

 こう言っても民は耳を貸さず、自分たちで戦いに行き、しかしあっけなく返り討ちに遭い、散り散りに逃げ周ります。そして、生き残った人々は、40年の荒野の旅を続けるのです。

 エジプトの奴隷生活から解放されたのに、イスラエルの人々は、まだ神を信じ切れず、人を恐れたり、勝手にエジプトに帰ろうとしました。ヨシュアとカレブを殺そうとし、主がともにおられないのに、上辺だけの悔い改めで戦おうとしてしまいました。苦しい生活が自由になるだけでは、人は変わりません。環境が良くなっても、人の心が勇気を持てるわけではないのです。イスラエルの物語は、私たちの「救い」が、悪から救われるだけでは不十分で、心が新しくされなければならないことを教えています。
 神が考えておられる救いは、イエス・キリストが来られて、私たちの心を新しくしてくださることです。イエス・キリストが下さる救いは、心の底まで満たします。自分の中にある、恐れや憎しみを手放して、信頼と勇気を与えようという救いです。
 そのために、大きな回り道を通らなければならないかもしれません。何十年、一生涯かかるかもしれません。イエスは、そんな遠回りも、厭いません。いえ、ご自身が人間となって何十年も過ごして、十字架にかかりよみに下る遠回りも厭わないお方です。周りが変わることも必要でしょう。それとともに、私たちを主が変えて、偽りや不信仰から救ってくださるよう、祈りましょう。



「主よ、約束の地を見ても、十人のスパイも、殆どの民も、あなたを信じるより、恐れてしまいました。あなたは、いつも人の経験や予測を超えたことをなさいます。あなたはチャレンジングなお方です。あなたの大きさを思い、自分の臆病に囚われないようお守りください。あなたの力を信じることを励まし合うような言葉を、語り合わせてください。荒野を行くような旅路でも、あなたがともにいて、私たちを新しくしてください」
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