今年ノーベル医学・生理学賞を受ける山中伸弥教授がニュース番組のインタビューで言っていた。自分たちの研究は「闇夜にバットを振る」ようなものだったと。
もっともどこにボールが飛んでくるかはわからないが、ボールが飛んでくるのはわかっていたという。それでも闇夜にバットを振らなければボールにはあたらない。結局、バットにボールがあたって今回のノーベル賞になったという。
だから、彼は言う。自然の真理のベールは何枚も何枚もあり、それを一枚、一枚めくっていかなければ、真理には到達しない。自分は幸運にもその真理に到達する一枚のベールをめくっただけだ。
謙虚であるが、多分それが彼の偽らざる心情であろう。
話は突然飛ぶが、昨夜シンガーソングライターというNHK教育の番組で、主宰する佐野元春が大木伸夫にいろいろ聞いていた。大木はacidmanという変な名前のグループのヴォーカルである。化学を知っている人なら、acidというのは酸という意味だと知っていよう。
はじめ変な名前のグループだなと思ったが、大木は薬学部の出身だと聞いて納得がいった。
彼が歌の詞を書き始めたときには、薬学部で学んだ彼には普通で珍しくもない概念や用語が、実は普通の人にはチンプンカンプンだということがはじめはわからなかったという。
そのうちにそのことに気付くようになったが、それでも化学用語や科学用語や宗教用語のよく出てくる詞を書くという。これは多分彼の自然観を反映しているのであろう。
そして、彼の心には自然界の中の小さな一員にしかすぎない人間の、自然への畏怖の念と謙虚さがあるという。これは私にはよくわかる話であった。
Musicianもいろいろなバックグラウンドをもった人がいるのだなといまさらながら、その音楽の幅の広さに感心した。
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