物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

TEDカンファランス

2012-05-01 13:27:13 | テレビ番組

プレゼンテーションを上手になりたいというのは最近の日本人が考えることの大きな悩みというか課題の一つであろうか。

昨日、スーパープレゼンテーションというNHKの再放送番組を見た。これは前にも一度見たのだが、そのときにはなんともなしに見てしまって、解説の伊藤穣一さんの話を聞き逃してしまっていた。

彼はMIT(マサチューセッツ工科大学)のメディアラボ研究所の所長に最近選ばれた方であるが、彼がTEDカンファランスでのプレゼンテーションを紹介している。

彼の紹介したプレゼンはスウエーデンの統計学者Roslingの話であった。彼についての話の中にコンピュータの処理速度が18ヶ月で2倍となり、また、メモリの容量もそれと比例して倍々と大きくなっており、世界にBig deta(この語はデータ数がとても多いという意味)が氾濫している。そしてその統計データを処理する新しい方式をこのRoslingが提案して統計学に革命をもたらしているという。

世の人に統計学が大切だから、「統計学を第一に教えて微分積分学を教えるのを止めてしまえ」とまで言われていると伊藤さんはいう。

これは彼の意見というわけではないだろうが、そこまで統計学の威力を世界が感じているということだろう。企業でも統計を専攻した学生をほしがっており、統計学を専攻した者は引く手あまただという。

統計学が有用なことは間違いがないだろうが、「微積分学など教えることを止めてしまえ」というのはまあ意見としては過激的すぎるであろう。

こういう意見は何十年か前にNew Math 運動が起こったときにも言われたことであって、このときは「集合を教えて微積分のような古色蒼然とした学問は止めてしまえ」と言われたものである。

もっともこのときには集合はなんの役に立つか分からず単にブームであったから、十年もしないうちに見直しがされて、だれも小学校や中学校であまり集合を教えるということはなくなってしまった。集合の合併(和)とか共通部分を表すベン図が数学教育の中に残っているくらいであろう。

微分積分の基礎は集合論にあるというので、私たちが理学部で微積分の講義を受けたときにはこの集合の初歩を学んだものであり、それで計算数学に慣れた私たちはおおいに驚いたものである。

微分積分の演習の時間は大部分がこの集合の演習であって、それも朝の1時限から演習があるので、これに出席するために寝坊の私などは大いに困った。でも、演習の時間は出席することが単位をもらうための最低の必要条件であったので、あまり欠席はできなかった。

話がそれたので、元へ戻すと、TEDカンファランスのRoslingの主張は子どもの生存率が90%を越えると子どもの出生率が下がり、地球上の人口増加が90億で止まるから、人類の文明度と生活レベルを上げるようにしようということであった。

これでやっとわかったのだが、子どもの生存率があがれば、人類は子どもをどんどん産むということをしなくなるらしい。そしてこれは生活レベルがあがり、医療がよくなることでもある。

貧困が人口の増加を生んでいるという訳である。


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