先日からNさんの書いた『武谷三男の生涯』という伝記の原稿を読んでいるが、昨夜第一回の読みは終わった。
少なくとも2回は読んでおきたいと思っている。書かれた内容に不満な気持ちがあると昨日書いたが、どうしてどうしてよく書けているとの判断に変わった。
これは武谷三男みたいな人は現在まったくいないからであり、彼のことをできるだけ多くの人に知ってもらいたいという気持ちで一杯である。
そういう意味でとても余人をもっては代えがたい人であったと思う。
いくらかの学問上のミスはあったかもしれないが、大局的には大きな寄与をした方であり、こんな人はいまの日本にはまったくいないからである。
彼は若いときに湯川秀樹の中間子の理論の発展に協力した人としてしか記憶されていないかもしれないが、単なる物理学者の枠にははまらない。
彼はどこからも賞をもらわなかったが、そういうところが彼らしいかもしれない。日本だけでなく、世界の人々に大きな寄与をした人だと思う。
そのことをNさんの『武谷三男の生涯』は世間の人に改めて知らしめることになるのだろうか。武谷が亡くなってはや四半世紀が経つが、彼の生涯がNさんによって近いうちに世に出版物として示されることになるだろう。