「うつせみ和尚」のお説教

『うつせみ和尚の日記』二件の事故が元で『(複雑性)PTSD/鬱』になって
闘病、障害当事者として活動している者です。

読まずに死ねるか!? 「『戦争は女の顔をしていない-アレクシエーヴィチ・スヴェトラーナ』岩波書店」

2023年07月15日 21時23分38秒 | 「うつせみ和尚」のお説教
現在、入院しているのですが落ち着いてきたので、一昨日辺りからスパートを掛けて読了いたしました。
第二次世界大戦でナチス・ドイツに侵攻されたソ連が『徴兵された/従軍を希望した女性』へのインタビューしたものを一冊にまとめたもので、著者のアレクシエーヴィチ・スヴェトラーナさんはノーベン文学賞を受賞して本書は代表する著作とされている。
インタビューはテープに録音されて文字起こししたそうですが、録音件数も膨大で終えたと思うと、人づてに聞いた方からインタビュー依頼が来るほど大変だったらしい。また、題材が戦争であり、体験は一人一人違う凄まじいもので、それを一冊にまとめることの大変さをを思うと労作であったと感じる。
内容は先程書いたように世界大戦の女性帰還兵に対して著者からほとんど質問せずに「問わず語り」で進められている。夫が徴兵され、それに続いた妻。いわゆる国威発揚で掻き立てられて年齢を誤魔化したり何度も軍に押しかけて志願兵になった人。戦場では医師、看護師、衛生兵ばかりでなく狙撃兵や戦闘機のパイロットで活躍した女性たち。自国兵ばかりでなく侵略してきたドイツ軍兵士を治療した医師や看護師。毎日死んでいく仲間を目の当たりにして、その死体たちと過ごすことで「」に関する感覚が鈍麻してしまって、感情を失ってしまった女性。祖国が勝利して戻ったのにもかかわらず、村八分にされた家族。すべて女性帰還兵が雄弁に語ったわけではなく、本書では二行ほどで終わっているものもある。しかし、男性が戦争を美化して話すようなふうには彼女たちは語っていない印象がある。壮絶な戦場を語れる人、語れない人、話すうちに感情が乱れてしまう人。すべては人間が起こした戦争が原因であるのに兵士たちは人間性を失ってしまう。おそらく、インタビューを受けて居ない人の中には精神を病んでしまう人も多かっただろうと想像する。女性ならではの感覚で戦争を語るのにまるで、世界は「戦争には女性を兵士として出していない」とする。日本人的感覚でいうと、なおさらその感覚は強いだろうと思う。太平洋戦争には女性は徴兵されていないからだ。
まだ、多くの著作があり、それを読んでみようと思わせる本だ。今のウクライナやアフリカの戦争や内戦を他人事とせず、自分事として想像力を活発にして考えてみたい、そう思わせる本です。
口語体で書かれているので分量にしては早く読める本だと思いますよ。


ん〜、この本読まずに死ねるか!!










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