医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

若葉歯科クリニック 詐欺事件 初公判、第2回公判

2021-03-23 22:44:37 | 傍聴記
総武本線 都賀駅近くの歯科クリニックで起きた詐欺事件です。被告人は山田正幸歯科医師です。2020年11月26日千葉日報で事件が報道されています。
初公判が今年の2月3日にありました、追起訴がされて今日が第2回目になります。
午前10時20分から713号法廷(佐々木公裁判官)で開かれました。

起訴状によりますと、診療報酬を不正に請求したとして、診療報酬の支払い事務を担当する稲毛区天台の千葉県国民健康保険団体連合会に対し17名の診療を行った事実が無いのに行ったようにみせかけて診療明細が記録された電磁的記録媒体を提出した。同連合会を介して千葉市に不正に診療報酬を請求した。平成29年12月から平成30年11月までの12回に渡り被告人のクリニック銀行名義の口座に約45万円を振り込ませた。もって人を欺いて財物を交付させたものである。
罪名及び罰条 詐欺 刑法246条

山田被告は、罪状認否において公訴事実に間違いありませんと罪を認めました。

検察官の証拠調べによりますと、山田被告は平成5年に歯科医師になり平成22年から若葉歯科クリニックを経営している。離婚歴がある。犯行に至る経緯、平成26年から患者が減り始めため、診療を行っていない患者に対し行ったとする虚偽の診療報酬を連合会を介して千葉市に請求した。千葉市から医療費等の通知を受け取った患者から若葉歯科クリニックを受診していないにもかかわらず複数回受診があった旨、千葉市に確認したところから犯罪が発覚しました。
証書調べに移り、甲1号証は千葉市長の告訴状です。処罰の意思を有している。2号証は千葉市の健康保険の課長の陳述書。厳重な処罰を希望している。金額の賠償がされたとしても千葉市としては被告人に厳罰を求めます。

弁護側の証拠として被害金額を弁済している証書が提出されました。
つづいて弁護側の情状証人として被告人の弟さんが出廷して証言しました。
>逮捕されて?
びっくりしました。
>面会には?
3回行きました。体調が心配だったのと罪を認め更生していくように説得に行きました。
>被告人からの言葉は?
申し訳ない。
>何と返しましたか?
二度と同じ事をしないでと言いました。

被告人質問です。
>直接の被害者である千葉市にどう思っていますか?
大変申し訳なく思っている。
>なぜレセプトを送るだけで診療報酬が支払われる制度か分かっていますか?
医師との信頼関係。
>制度を利用して騙し取ることを、どう思っていましたか?
一般的に、どこの診療機関でも大なり小なり水増し請求はしているという甘い考え方をしていた。悪質だと思っていなかった。今は大変申し訳ない事だと思っている。
>止めようと思わなかった?
急に止めるとおかしいと思わると思った。そのまま続けてしまった。
>どうして止められなかった?
惰性で続けてしまった。
>逮捕されてどうでしたか?
非常に辛かった。
>医師免許は?
医道審議会で停止になると思います。
>実害はなかったが、無断で名前を使用した患者さんには?
迷惑を掛けてしまった。
>クリニックは?
辞めようと思います。
>これからの生活は?
年金と歯科医師の浪人生の国家試験の勉強の指導をしていこうと考えています。

検察官の求刑です。
歯科医師である被告人が、虚偽の診療報酬請求書を連合会に提出して診療報酬を騙しとった事案であります、被告人の犯行は診療報酬支払い制度が医師の信頼を前提に成り立っている事につけ込む悪質な犯行で巧妙です。
17名に対して3年に渡り犯行を繰り返していて常習性も顕著です。動機に酌量の余地が無い。 反省して被害弁償をして有利な事情があるが刑事責任は重い。求刑ですが懲役2年6カ月に処するのが相当と考えます。

次回判決言い渡しです。
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