医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

「三重の事件簿」三重大病院汚職事件 医療現場の癒着実態明らかに

2021-12-31 20:19:02 | 医療界
 三重大付属病院(津市)を巡る一連の汚職事件で、逮捕・起訴された8人のうち、7人の公判が津地裁で開かれ、いずれも執行猶予付きの有罪判決が出た。事件では、医師が製薬会社や医療機器メーカーと癒着していた実態が明らかになった。県内唯一の国立大で起こった不祥事。同大は伊藤正明新学長の下で信頼回復に乗り出すが、年の瀬になっても麻酔科医の確保など課題が山積している。

 医療機器の納入で便宜を図った見返りに200万円を提供させたとして、三重、愛知両県警は1月、病院の臨床麻酔部部長だった元教授の亀井政孝被告(55)=詐欺罪などで起訴=と、部下の松成泰典元講師(47)を第三者供賄の疑いで逮捕した。

 さらに亀井被告は、小野薬品工業(大阪市)が製造・販売する薬剤「オノアクト」を多数発注する見返りに、同大名義の口座に200万円を振り込ませたとして第三者供賄の疑いで再逮捕された。

 同部に所属していた3人が相次いで逮捕・起訴されたことを受け、病院は1月27日、記者会見を開き「大学として深く責任を感じている」と謝罪。病院組織に問題があったことを認め、再発防止に取り組む考えを示した。

 逮捕・起訴された8人中、最初に津地裁で公判があった境倫宏元准教授(49)は、公電磁的記録不正作出・同供用と詐欺の罪で懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決が出た。判決によると、令和元年8月―昨年3月までの間、オノアクトを使用したようにカルテを改ざん。亀井被告と共謀し、診療報酬約84万円をだまし取った。津地裁の四宮知彦裁判長は「自己の立場を利用し、常習性も認められる」と指摘した。

 松成被告は12月28日の判決公判で、第三者供賄の罪で懲役1年、執行猶予3年の判決が出た。判決によると、亀井被告と共謀し、医療機器メーカー「日本光電工業」(東京)製の生体情報モニターを納入する見返りとして、令和元年8月、亀井被告が代表理事を務める一般社団法人の口座に200万円を振り込ませた。

 一方、贈賄側として小野薬品工業の社員2人と日本光電工業の社員3人に対しても、いずれも執行猶予付きの有罪判決が下された。正規の手続きを経て入金された寄付金が「賄賂」と認定された形だ。

 この事件を巡って、小野薬品工業が8月に公開した外部調査委員会の報告書では「グレーゾーンという表現で逃げるしかない問題」と難しさを指摘。「製薬業界をあげて抜本的に制度を改革して解決するしかないのではないか」と結論づけている。

 亀井被告は保釈を請求し、認められている。公判は新年に持ち越しとなっており、亀井被告が公判で何を語るのかが注目される。

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 境元准教授の判決に先立ち、三重大は3月、再発防止策を発表。問題が発生した原因として「利益相反行為を確認する仕組みが十分ではない」ことなどを挙げた上で、利益相反の観点からの注意喚起の徹底や兼業内容の確認を再発防止策に掲げた。

 また、4月には伊藤氏が新学長に就任。伊藤新学長は事件が院内で起こっていた時期に病院長を務めていた。伊藤学長は組織統治や危機管理を課題に挙げ「法令順守のマインドが希薄だった。大学と病院が一体となって信頼回復に努める」としている。

 贈収賄事件の影響を受け、同病院で実施していた麻酔科医の研修プログラムは停止し、再開の目途が立っていない。昨年に麻酔科医の退職が相次ぎ、臨床麻酔部は事件発覚前までの人員体制には至っていない。県内唯一の国立大の病院として、医療提供体制と信頼の回復が急務だ。

2021年12月31日 伊勢新聞

三重大学医学部付属病院の汚職事件で元講師に猶予付き有罪判決

2021-12-28 20:32:20 | 医療界
三重大学医学部付属病院の医療機器の調達を巡る汚職事件で、臨床麻酔部長だった元教授とともに第三者供賄の罪に問われた元講師に対し、津地方裁判所は執行猶予の付いた有罪判決を言い渡しました。

三重大学医学部付属病院の臨床麻酔部の元講師、松成泰典被告(47)は上司だった元教授とともに、病院の医療機器を「日本光電工業」の製品に入れ替える見返りに、元教授が代表理事を務める法人の口座に200万円を振り込ませたとして第三者供賄の罪に問われました。
28日の判決で津地方裁判所の柴田誠裁判長は「企業の担当者らは被告からのメールを受けて高額の寄付金を提供するべく行動を開始している。公務員の職務との対価関係を明示しつつ、高額な寄付金を出すよう要求したもので、中核的な位置づけの行為と言わなければならない」と指摘しました。
さらに「職務の公正さに対する社会の信頼を大きく損ねる悪質性の高い犯行だ」とする一方、寄付金を得ようと立案して強く要求するなどしたのは主に元教授で、松成被告の関与の程度は限定的だなどとして懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。

2021年12月28日 NHK

「整理が苦手」な女性検察事務官、捜査書類など659点ため込み放置…減給処分

2021-12-25 20:29:11 | 法曹界
 宇都宮地検は24日、大量の捜査関係書類などを適切に管理せず放置していたとして、30歳代の女性検察事務官を減給10分の1(6か月)の懲戒処分とした。事務官は同日付で依願退職した。

 発表によると、事務官は2007年10月頃~21年11月4日の間、捜査関係書類など計659点を自宅や執務室にため込み、事件記録にまとめるといった適切な処理を怠った。このうち97点分について公文書毀棄(きき)の疑いで捜査したが、24日付で不起訴(起訴猶予)とした。

 地検の聞き取りに、事務官は「忙しかった。整理が苦手だった」と話しているという。業務の中で必要な書類が上がってこないことから発覚した。捜査や公判に影響はないとしている。平野達也・次席検事は「誠に遺憾。職員に対する指導を徹底し、再発防止に努める」とコメントした。

2021年12月25日 読売新聞

東千葉メディカルセンター、県コロナ補助金不正か 機器購入で告発文

2021-12-25 20:27:55 | 医療界
 不適正な給与支給や業務委託などが問題となった地域中核病院「東千葉メディカルセンター」(千葉県東金市)で、新型コロナウイルス対策の医療機器などの購入を巡って、県の補助金を不正に申請したなどとする新たな疑惑が浮上した。12月上旬、告発する文書が郵送された清宮利男市議が24日、同センターとの会議で明らかにし、事実関係の調査を求めた。市も告発内容を重視し、同日、病院に調査報告を求めた。

 告発文書によると、2020年12月に1000万円で購入した人工心肺装置「ECMO(エクモ)」は、医療機器メーカーから販売会社2社を仲介して納入された。仲介する会社が1社増えたことで300万円高額になったと指摘。また、同年11月に445万円で購入した人工呼吸器も不必要な仲介社を経由し、165万円増額されたとしている。今年8月に新たに購入したエクモについても、不必要な仲介社を経由させたという。

 告発では、いずれも病院担当者が納入経路を指示したと指摘しており、増額された金額に基づいて「新型コロナウイルス感染症対策事業補助金」を県に申請しており、「詐欺行為」としている。

 また、19年の医薬品納入や医事業務の委託などで、特定の病院職員と関係の深い業者が選定されるよう、この職員らが関与した官製談合の疑いがあるとも指摘。高額な価格設定で病院に損害を与えたとしている。

 告発文書は職員、業者とも実名で記されており、内部文書とみられる見積書や契約書、入札関連資料などのコピーも添付されている。県警や厚生労働省などにも文書を送ったとしている。

 同センターは、20年秋に別の告発を受け、第三者委員会による調査で違法性の疑いがある事例を明らかにしたが、今回、告発された内容は含まれていない。清宮市議は取材に「事実が隠されている可能性がある」とさらなる解明の必要性を指摘した。【金沢衛】

2021年12月25日 毎日新聞

ALS嘱託殺人、山本医師の免許取り消し 韓国で取得事実なし

2021-12-25 20:24:25 | 医療界
 厚生労働省は24日、山本直樹医師(44)=嘱託殺人罪などで起訴=の医師免許を同日付で取り消したと発表した。韓国で医師免許を取得した事実がないことが確認され、日本の医師免許取得要件を満たしていなかったことが判明したため、厚労相の職権で医師免許を取得した2010年5月7日までさかのぼって取り消すことにしたという。

 厚労省によると、受験資格認定申請書を省内で確認したところ、山本医師の海外医学部卒業証明書や海外医師免許証の写しが欠落していた。写しがないのは異例。当時の医事課職員に調査したが受理した職員を特定できず、山本医師は厚労省の聞き取りを拒んでいるという。

 山本医師は、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者=当時(51)=に、厚労省元職員の大久保愉一医師(43)と共謀して薬物を投与し殺害したとされる嘱託殺人などの罪で起訴されている。

 海外で医師免許を取得したと偽って山本医師が日本の医師免許を取得する直前まで、大久保医師が厚労省に在籍し、医師国家試験の担当部署に勤務していたこともあった。厚労省は会見で「大久保医師についてはプライバシー保護の観点から話せない。事実経過が明らかでなく、責任の所在は特定に至っていない」と述べ、調査と再発防止に取り組むとした。

2021年12月24日 京都新聞