医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

無罪が確定した人の指紋など 2審も国に抹消命じる 名古屋高裁

2024-08-31 17:57:43 | 法曹界

刑事裁判で無罪が確定した人の指紋やDNA型などのデータを警察が保管し続けることが妥当かどうかが争われた裁判で、2審の名古屋高等裁判所は「無罪となった男性のデータが、本人の意思に反して捜査機関に保管されていることは憲法に違反する」と指摘し、1審に続いて国にデータを抹消するよう命じる判決を言い渡しました。

名古屋市の奥田恭正さん(67)は、マンション建設に反対する住民グループの代表を務めていた2016年、現場監督を突き飛ばしたなどとして暴行の罪に問われましたが、刑事裁判で無罪が確定しました。

奥田さんは警察が捜査の過程で集めた指紋やDNA型、それに顔写真のデータについて「プライバシー権の侵害だ」として国に抹消するよう求める訴えを起こし、1審の名古屋地方裁判所はおととしデータの抹消を命じました。

これに対し国側は、「データは適切に保管されている」と反論して争っていました。

30日の2審の判決で名古屋高等裁判所の長谷川恭弘裁判長は、「無罪が確定した以上、原則としてデータの抹消が認められるべきで、男性のデータが本人の意思に反して捜査機関に保管されていることは憲法に違反する」と指摘し、1審に続いて警察が保管する指紋やDNA型などのデータを抹消するよう国に命じました。

さらに、「DNA型などがデータベース化され、不当に利用されるなどして個人の私生活の平穏が害され、不利益がおよぶ危険性がある。そのようなことを防止するため、国民的理解のもとに、憲法の趣旨に沿った法整備が行われることが強く望まれる」と述べました。

原告の弁護団によりますと、無罪が確定した人について警察が保管するデータの抹消を命じる判決はおととしの1審が初めてで、2審もこの判断を支持した形となりました。

原告の奥田恭正さん「支援してくれた人たちに感謝伝えたい」

判決のあと原告の奥田恭正さんは弁護団とともに名古屋市内で記者会見を開き、「自分は何もしていないから、保管データもなくしてほしいという思いで裁判を起こした。長い間、支援してくれた人たちに感謝を伝えたい」と話していました。

原告弁護団「意義のある判決」

弁護団の中谷雄二弁護士は、「法治主義のもと、DNA型の扱いは捜査機関の内部規則ではなく、法律できちんと定めるべきだという点まで言及した点で、意義のある判決だ」と述べたうえで、法整備について国会などで議論が進むことに期待を示しました。

警察庁「判決内容を精査し対応を検討」

判決について、警察庁は「今後、判決内容を精査し、関係機関とも協議しながら対応を検討して参りたい」とコメントしています。

専門家「社会通念に沿った判決」

判決について、警察大学校の元校長で、警察行政法に詳しい京都産業大学の田村正博教授は、「無罪判決になれば、データも削除することが普通だろうという社会通念に沿った判決だ」と述べました。

そのうえで、判決の中で、DNA型などのデータの取り扱いをめぐり、「法整備が強く望まれる」などと指摘したことについては、「必要なデータを収集することと、保管のあり方を限定することをセットにして立法する必要があると思う。法律があることが望ましいことは言うまでもなく、議論を進めていくことが必要だ」と話しています。

指紋・DNA型保管状況は

警察庁が運用しているデータベースには、去年末の時点で、指紋がおよそ1166万件、DNA型がおよそ175万件、写真がおよそ1259万件登録されています。

指紋やDNAの採取、それに顔写真のデータの保管などについては、国家公安委員会の規則などで運用されていて、規則ではいずれのデータも抹消する要件として、対象者が死亡したとき、または、保管する必要がなくなったときとしています。

この「必要がなくなったとき」について、警察庁は個別具体の事案に即して判断する必要があるとしたうえで、例として「誤認逮捕」などをあげていて、2審の裁判で国側は、おととしにDNA型を143件抹消したことを明らかにしています。

憲法が専門の慶応大学法学部の小山剛教授によりますと、ドイツやスイスなどのヨーロッパ諸国や、韓国、台湾では、DNA型のデータは刑事裁判で無罪になった場合に破棄しなければならないと法律で定められているということです。

小山教授は、「日本にはデータの抹消について定めた法律がなく、データベースの管理や運用をチェックする機関もない。世界基準にあっておらず、法制化を検討すべきだ」と話しています。

2024年8月30日 NHK


千葉県循環器病センターで70代男性が死亡する医療事故 必要な薬剤投与の中断が影響か

2024-08-30 18:30:15 | 医療界

 千葉県循環器病センター(市原市)は30日、2022年2月に救急搬送された県内在住の70代男性が死亡する医療事故が発生したと発表した。男性は心臓内にできた血栓が脳血管につまる心原性脳梗塞で亡くなっており、血栓を防ぐ薬の服用を中断したことが脳梗塞発症に影響した可能性がある。同センターは遺族に謝罪し、和解が成立している。

 同センターによると、男性は10年以上前から不規則な脈が原因で心臓の機能が低下する心房細動を患い、血液の流れを良くするための抗凝固薬を服用していた。22年2月、男性は呼吸苦のため救急搬送され、心不全で同センターの集中治療室に緊急入院。薬を飲める状態ではなかったことから、点滴での抗凝固薬の投薬に切り替えた。

 男性は病状が改善し入院4日目に一般病棟に移った。点滴は終了したが、主治医は内服の抗凝固薬の再開を失念した。11日目に脳梗塞を発症し、翌日死亡した。主治医は当時10人以上の患者をかけ持ちしており「疲労がたまっていた」と説明しているという。

 同センターは外部有識者を含めた医療事故調査委員会を設置し、患者への対応を検証。委員会が昨年2月にまとめた報告書は「抗凝固薬の投与中断が脳梗塞発症に影響した可能性がある」と指摘。以前服用していた薬の確認を主治医に委ねており「ヒューマンエラーによる処方漏れを見つけ出す体制が取られていなかった」ことが最大の要因だとした。

 同センターは電子カルテに患者が服用する薬の情報が必ず表示されるようにし、病棟移動の際も引き継ぎを徹底することで再発防止に取り組む。中村精岳病院長は記者会見で「患者や家族の期待に添えない結果となり申し訳ない」と謝罪。「事故を二度と繰り返さないようチーム医療を続けていきたい」と話した。

2024年8月30日 千葉日報


労災病院元副部長らに有罪 医療機器選定巡る贈収賄 東京地裁

2024-08-28 19:28:58 | 医療界

 東京労災病院の医療機器選定を巡り、業者から賄賂を受け取ったとして収賄罪に問われた元同病院整形外科副部長の医師浅沼雄太被告(41)ら3人の判決が27日、東京地裁であった。

 板津正道裁判官は浅沼被告に懲役1年6月、執行猶予3年、追徴金77万円(求刑懲役1年6月、追徴金77万円)を言い渡した。

 贈賄罪に問われた医療機器メーカー「HOYA Technosurgical」元営業部長小野田大被告(46)は懲役1年(求刑懲役1年)、元社員加藤高彰被告(39)は懲役10月(同懲役10月)とし、いずれも執行猶予3年を付けた。

 板津裁判官は「公的病院の医療機器選定の公正さをないがしろにした」と非難。一方、3人がいずれも罪を認め、反省と謝罪の意思を示していることなどから執行猶予が相当と判断した。 

2024年8月27日 時事通信社


横断歩道を渡っていた小学2年生男児が乗用車にはねられ意識不明の重体…車を運転した60歳の医師を逮捕 千葉・船橋市

2024-08-24 19:03:33 | 医療界

千葉県船橋市で23日、7歳の男の子が車にはねられ意識不明の重体です。

23日午後5時すぎ、船橋市高根台で横断歩道を渡っていた小学2年生の男の子が乗用車にはねられました。

男の子は病院に搬送されましたが意識不明の重体です。

警察は車を運転していた医師の石井隆幸容疑者(60)を逮捕していて、詳しい事故原因を調べています。

2024年8月24日 FNNプライムオンライン


傍聴ブロック問題で11人処分、退職幹部ら7人の責任も追及 横浜市教委 動員決めた前教育長には「減給相当」

2024-08-24 18:48:42 | 法曹界
 横浜市教育委員会は23日、職員を動員して教員の性犯罪事件の裁判傍聴を妨害した問題を巡り、動員を決めるなどした部長級の職員など11人を戒告の懲戒処分や文書訓戒処分にしたと発表した。既に退職した幹部ら7人も戒告相当などとし、対象者は計18人に上った。
 
♦動員のための協力依頼を出したり、手配した幹部職員ら
 
 戒告や戒告相当となったのは、当時の学校教育事務所長ら6人。2019〜24年、4事件の裁判で職員の動員を決め、関係部局に協力依頼の文書を出した。市教委は、外部の弁護士による検証結果を踏まえ、職務範囲を逸脱し、地方教育行政法に反する不適切な事務処理に当たると判断した。
 
 このほか、協力依頼を受けて動員を手配した部長級職員は、現職の7人を文書訓戒、当時の教育次長2人を含む退職者ら5人を文書訓戒相当とした。
 
♦鯉渕信也前教育長、28万2000円を自主返納する意向
 
 一方、山中竹春市長は同日、19年に動員を決めた鯉渕信也前教育長に対して「順法精神に欠けた対応で、市民の信頼を著しく失墜させた」として、減給3カ月(10分の1)に相当する行為だとする文書を渡した。市教委によると、鯉渕氏は「私の責任の下に行われたもので、深く反省している」と謝罪し、指摘された額に当たる28万2000円を自主返納する意向を示したという。
 
 この問題を巡っては、被害者を支援するNPO法人が19年4月、「性被害傍聴マニアの傍聴を狭めたい」などと市教委側に要望。この後に職員の動員が始まった。(森田真奈子)
 
2024年8月23日 東京新聞