医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

病院長からわいせつ被害、上司には退職届促され… 提訴の女性の訴え

2024-07-24 20:35:23 | 医療界

 勤務していた千葉県香取市の病院の60代男性院長からわいせつなどの行為を受けたとして、女性(27)が2023年、損害賠償請求訴訟を起こした。「被害を受けた時に『やめて』と言える人は多くない。声を上げることが大切」と考えたからだ。院長はその後、強制わいせつ容疑で香取署に逮捕され、24年2月、千葉地検に起訴されたが否認しており、女性は「(院長は自分が)やった行為を認めてほしい」と話す。

 ◇誕生日にアダルトグッズ、胸を触られ…  

 女性の訴えでは、被害を受けるようになったのは20歳だった17年の夏ごろ。高校卒業後にこの病院に就職し、当初は職場環境や待遇に不満はなかった。

 しかし、徐々に院長のわいせつな発言を聞くようになり、自身の誕生日プレゼントとしてアダルトグッズを手渡されたという。その後、そのグッズについてしつこく聞かれるようになった。

 同10月には病院職員らの飲み会で自分たちの容姿が話題になると、突然、院長に背後から両手で胸を触られた。その後も手を握って卑わいな発言をされたり、下半身を触られたりするようになった。抵抗しても院長は同様の行為を繰り返してきたという。

 その場をどう乗り切るか悩んだ女性が先輩に相談すると、適当にあしらうようにアドバイスされた。しかし、被害は続き、涙を流しながら帰路につくこともあった。

 ◇SNS投稿を巡り、業務中に呼び出し

 状況が変わったのは翌18年8月。友人らに限定で公開されるSNS(ネット交流サービス)上で職場への不満を吐き出していたが、上司がこれを知り、業務中に突然呼び出された。

 上司は、SNSのアカウントを削除しなければ「5000万円の違約金を支払ってもらう」と主張し、退職届けを書くよう促した。同時に「メンタルが弱い」「性格が悪い」と指摘され、女性は「セクハラに耐えられなかった自分が悪いのかな」と弱気になった。

 しかし、転職して、この病院の職場環境の異常さに気づいたという。新たな職場ではセクハラを受けることはなく、当然のように安心して働くことができた。

 ◇「声を上げることが大切」

 女性は「院長の言動を強く非難する人はいなかったが、過去に被害に遭った人はほかにもいると思う」と振り返り、声を上げることが大切なのではないかと思うようになった。

 インターネットで性被害の情報を収集。最初はためらったが、勇気を出して弁護士に相談するため電話をかけた。「あなたも悪い」と自身の被害を否定されるのが怖かったが、弁護士はそんなことは一切言わず、味方になってくれた。

 院内でわいせつ行為を認識しながら対策せず、巨額の損害賠償請求で脅迫されて不当解雇されたとして、女性は23年2月、同院などを相手取り、約820万円の損害賠償請求訴訟を千葉地裁に起こした。院長は強制わいせつや職務中の卑わいな言動を否定している。

 一方で香取署は今年1月に別の女性を含めた2人にわいせつ行為をした疑いで院長を逮捕。2月下旬に千葉地検に強制わいせつ罪で起訴され、公判を控えている。【林帆南】

2024年7月23日 毎日新聞


医療事故で脳神経外科医2人を書類送検 赤穂市民病院、業過致傷疑い

2024-07-23 20:15:09 | 医療界

赤穂市民病院(兵庫県赤穂市)脳神経外科に在籍していた40代男性医師=大阪府=が関わった手術で、令和元年9月ごろから8件の医療事故が相次いだ問題があり、兵庫県警捜査1課などは22日、業務上過失致傷の疑いでこの男性医師を書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。 

書類送検容疑は2年1月、腰痛を訴えていた同県内の70代女性患者に対し、腰椎(ようつい)の神経圧迫をなくすため、ドリルで腰椎の一部を切除する手術を実施。その際に適切に止血を行わなかったなどの過失により、脊髄(せきずい)神経を覆っている硬膜を損傷させ、露出した神経を損傷、切断したとしている。女性は、両足のまひや排泄(はいせつ)障害など重度の後遺障害があるという。男性医師は3年8月、病院を依願退職した。

同課は同日、注意義務を怠ったとして、当時この男性医師の上司だった50代の上級医についても同容疑で書類送検した。

また、同課などは5月9日にも、靱帯(じんたい)が骨化する難病「後縦(こうじゅう)靱帯骨化症」を患う別の70代女性患者に対し、頸椎(けいつい)手術の際に過失により頸髄(けいずい)を損傷させたとして同容疑で2人を書類送検している。

■医療事故、半年で8件 病院対応遅れで調査開始に2年

赤穂市民病院では、わずか半年の間に、書類送検された男性医師が執刀した手術で8件の医療事故が相次いだ。男性医師は6件目の事故を起こした後にようやく病院に報告。病院側も事態を把握して以降、外部機関との情報共有が遅れ、事故調査委員会の検証が始まるまでに約2年を要した。専門家は、重大な医療事故が短期間に複数件起きたのを病院が把握した時点で「直ちに厳重な監視下に置き、被害の拡大を食い止めなくてはならない」と対応の不備を指摘する。

男性医師は令和元年7月に着任。同年9月~2年2月に少なくとも8件の手術を担当、手術後に2人が死亡し6人に障害が残った。病院は外部有識者の検証を受けて、8件の手術を医療事故とし、このうち、今回の容疑となった70代の女性に対する腰椎手術を医療過誤と認定した。

同病院が医療事故発生時の対応を定めた内規「医療安全対策実施要項」では、重篤な医療事故が起きた場合、担当者は過失の有無を問わず院長、医療安全推進室に連絡した上で、24時間以内に報告書を提出するよう規定。患者の死亡や後遺症を伴う医療事故であれば、院長の指示で事故調査委員会を設置し、原因究明と再発防止策を検討するよう定めている。


千葉県立病院、アクシデントで10人死亡 23年度、インシデントは過去最多

2024-07-23 19:54:04 | 医療界

 千葉県病院局は16日、県立5病院で2023年度、医療に起因して患者に大きな影響が出た「アクシデント」事案が前年度比11件増の94件発生し、うち患者が死亡したのは3病院の計10件、10人(前年度比1件増)だったと発表した。影響が小さかった「インシデント」事案は過去最多の1万1821件(同915件増)だった。

 同局によると、患者が死亡したのは、がんセンター5件、佐原病院4件、循環器病センター1件。医療に起因することが疑われる予期せぬ死亡など、医療法における「医療事故」に該当する事案はなかった。

 同局はアクシデントを3段階で分類。死亡は「レベル5」で10件、永続的な障害や後遺症は「レベル4」で12件、人工呼吸器の装着や手術、入院を必要とする処置や治療などは「レベル3b」で72件だった。

 アクシデントの原因は、手術後の合併症などの「治療・処置」が最多の60件だった。続いて、転倒や禁食指示忘れといった「療養上の世話」が13件。

 インシデントでは「療養上の世話」が最も多い3276件、次いで内服忘れや量・日時間違いなどの「薬剤」が3045件だった。

 同局は調査委員会を設置していた21年発生の死亡事案1件、20年発生の術後脳梗塞事案1件の調査結果も公表。ともに医療過誤はなかったとした上で、主治医と家族間で口頭のみで承諾を得た患者への対応方針が病院内で情報共有されていなかった点など、それぞれ改善の余地があるとした。

 同局は16年以降、医療の透明性確保などを目的に、各病院からの報告状況を年1回公表している。担当者は「人が行う以上、ミスはゼロにできない。再発防止や重大なアクシデントを減らすことを目的に、事案が発生した場合は報告するよう求めている」と話した。

2024年7月17日 千葉日報


旧大口病院 入院患者3人を殺害 元看護師の無期懲役が確定

2024-07-10 19:44:50 | 医療界

横浜市の病院で入院患者3人の点滴に消毒液を混入して殺害した罪などに問われた元看護師の裁判で、6月の東京高等裁判所の判決について、検察、弁護側の双方が上告せず、無期懲役が確定しました。

横浜市神奈川区の旧「大口病院」の元看護師、久保木愛弓被告(37)は、8年前の2016年9月に70代から80代の入院患者3人の点滴に消毒液を混入し殺害した罪などに問われ、検察は死刑を求刑していました。

2審の東京高等裁判所は6月19日に「1審で裁判員を含めて慎重な議論が行われ、死刑という判断に至らなかったのであれば、死刑を科すことは許されない。生涯をかけて自身が犯した罪の重さと向き合わせ、立ち直らせるのが相当だ」として、1審に続いて無期懲役を言い渡しました。

これについて、期限の7月3日までに双方から上告はなく、久保木元看護師を無期懲役とする判決が確定しました。

東京高等検察庁の伊藤栄二次席検事は「判決内容を十分に精査したが、適法な上告理由が見いだせなかった」としています。

2024年7月4日 NHK


女性のスカートの中を撮影した容疑 四国中央病院の医師を逮捕

2024-06-23 20:49:29 | 医療界

22日、愛媛県四国中央市の病院の42歳の医師が、高松市内の大型商業施設で女性のスカートの中を小型カメラで撮影したとして、警察に逮捕されました。

逮捕されたのは、愛媛県四国中央市にある四国中央病院の医師で救急部長などを務める、田代善彦容疑者(42)です。

警察の調べによりますと、田代医師は22日午後3時前、高松市内の大型商業施設にある店の中で、女性のスカートの下に小型カメラを差し入れて性的な動画を撮影した疑いが持たれています。

医師の動きを不審に思った商業施設の保安員が警察に通報し、持っていた小型カメラに盗撮された映像が残っていたことなどから、逮捕されました。

警察によりますと、田代医師は小型カメラを手提げバッグに入れてバッグに開けた穴からレンズを向けて撮影していたということで、調べに対し、容疑を認めているということです。

警察は動機や余罪について詳しく調べることにしています。

2024年6月23日 NHK