高齢の消化器外科の患者さんが、胃がん(ステージ2)の腫瘍摘出手術後に亡くなったのは、病院に過失があるとして提訴されています。
午後1時半から5時までの証人尋問は、原告側は、ご遺族関係者が3名と被告側が、執刀医師および病院の病理学の医師のようでした。原告側の代理人は菅野亮弁護士、塩野大介弁護士(法律事務所シリウス)、福武公子弁護士です。
原告側の主張
ご遺族が、患者さんが被告病院で手術後に亡くなられて、執刀医から亡くなった原因の説明等を受けられた過程を陳述されました。
平成19年に被告病院に入院して胃の3分の2(約20cm)の部分切除手術後の6日後に腹帯が汚れていたのを看護師が発見し、医師は縫合からの膿を疑い、すぐにドレーンを挿入したが、膿ではなかったが、3日後に手術をし、肺血しょうの症状があり血圧不安定で肝機能低下が著しく将来は人工透析になるほど症状が悪化していて、その後、原因不明で亡くなられた。亡くなられた後の医師の説明では、患者さんには既往症に心疾患があったので、心臓に血栓が出来て、血栓が腸に飛び血管が閉塞し腸の一部(横行結腸)が壊死した可能性が一番高いとの説明を受けられたようでした。
しかし、原告側の主尋問のなかで、福武弁護士から、手術中に中結腸動脈の誤った結紮(けっさつ)があって横行結腸が壊死したのではないかとの意見が出されました。←後の医師尋問で執刀医は明確に否定
それから福武弁護士から医師尋問のなかで絞扼性(こうやくせい)イレウスの可能性があるとの意見が出されましたが明確な根拠はない様子でした。
医師側の主張
患者さんは、進行性のがん(浸潤潰瘍型のボールマン3型)でしたが、リンパ節転移がなく手術で直る状態でした。ただし、胆石摘出の既往症があったので、手術時に、癒着があり剥がすときに、小腸を2箇所、傷付けたので、その修復をしました。
手術後に炎症反応のCRPの数値が20と比較的に高かったため、CT検査を実施したところ、浮腫性の陰影があり、偽膜性大腸炎、MRSA大腸炎を疑い、穿刺し体液を取り調べたところ、急性期炎症初期の漿液性(しょうえきせい)の腹水を確認したので、念のためMRSAに効果のあるバンコマイシン内服薬の投与をしました。
2回目の手術は、(血栓で血管が詰まり腸で血流障害が起き)全身症状が悪化した様子だったので手術をしましたが症状の改善はみられませんでした。
病理学からの意見は、大腸のホルマリンの検体と臨床の経過書を読んで判断したところ、中結腸動脈の循環障害による虚血性壊死があったのは間違いないとのことのようです。
個人的な智見からですが、本件類似の縫合不全などによる腹膜炎等の過失を問う医療裁判では、死因を特定するための解剖がされず原告側の証拠に乏しいケースが稀ではないのですが、本件では、腹部のCT画像と病理の画像がありますので、原告側の主張が認められるのか裁判の動向に注目しています。
午後1時半から5時までの証人尋問は、原告側は、ご遺族関係者が3名と被告側が、執刀医師および病院の病理学の医師のようでした。原告側の代理人は菅野亮弁護士、塩野大介弁護士(法律事務所シリウス)、福武公子弁護士です。
原告側の主張
ご遺族が、患者さんが被告病院で手術後に亡くなられて、執刀医から亡くなった原因の説明等を受けられた過程を陳述されました。
平成19年に被告病院に入院して胃の3分の2(約20cm)の部分切除手術後の6日後に腹帯が汚れていたのを看護師が発見し、医師は縫合からの膿を疑い、すぐにドレーンを挿入したが、膿ではなかったが、3日後に手術をし、肺血しょうの症状があり血圧不安定で肝機能低下が著しく将来は人工透析になるほど症状が悪化していて、その後、原因不明で亡くなられた。亡くなられた後の医師の説明では、患者さんには既往症に心疾患があったので、心臓に血栓が出来て、血栓が腸に飛び血管が閉塞し腸の一部(横行結腸)が壊死した可能性が一番高いとの説明を受けられたようでした。
しかし、原告側の主尋問のなかで、福武弁護士から、手術中に中結腸動脈の誤った結紮(けっさつ)があって横行結腸が壊死したのではないかとの意見が出されました。←後の医師尋問で執刀医は明確に否定
それから福武弁護士から医師尋問のなかで絞扼性(こうやくせい)イレウスの可能性があるとの意見が出されましたが明確な根拠はない様子でした。
医師側の主張
患者さんは、進行性のがん(浸潤潰瘍型のボールマン3型)でしたが、リンパ節転移がなく手術で直る状態でした。ただし、胆石摘出の既往症があったので、手術時に、癒着があり剥がすときに、小腸を2箇所、傷付けたので、その修復をしました。
手術後に炎症反応のCRPの数値が20と比較的に高かったため、CT検査を実施したところ、浮腫性の陰影があり、偽膜性大腸炎、MRSA大腸炎を疑い、穿刺し体液を取り調べたところ、急性期炎症初期の漿液性(しょうえきせい)の腹水を確認したので、念のためMRSAに効果のあるバンコマイシン内服薬の投与をしました。
2回目の手術は、(血栓で血管が詰まり腸で血流障害が起き)全身症状が悪化した様子だったので手術をしましたが症状の改善はみられませんでした。
病理学からの意見は、大腸のホルマリンの検体と臨床の経過書を読んで判断したところ、中結腸動脈の循環障害による虚血性壊死があったのは間違いないとのことのようです。
個人的な智見からですが、本件類似の縫合不全などによる腹膜炎等の過失を問う医療裁判では、死因を特定するための解剖がされず原告側の証拠に乏しいケースが稀ではないのですが、本件では、腹部のCT画像と病理の画像がありますので、原告側の主張が認められるのか裁判の動向に注目しています。