医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

診療報酬を不正請求 保険医登録取り消し 船橋の歯科医院

2019-10-26 21:31:47 | 医療界
 厚生労働省関東信越厚生局は24日、行っていない保険診療を付け加えて診療報酬を不正に請求したとして、昨年4月に廃止されたFACE歯科医院(船橋市本町1)について保険医療機関の指定を取り消し相当し、開設者の度会一也保険医(63)の保険医登録を取り消すと発表した。いずれも25日付。

 同局によると、同院への個別指導で実際には行っていない診療の付増請求が疑われ、2017年1月~18年2月の計5日間で監査を実施。自費診療で費用を受け取ったのに保険診療を行ったとする二重請求なども含め、44件で計21万6千円分の不正請求がされた。

 同局不正請求額を保険者らに返還させる方針。度会保険医は事実関係を認めているという。

2019年10月25日 千葉日報

盗撮容疑の法務局係長、高校生が取り押さえ 前橋

2019-10-20 20:13:48 | 法曹界
 駅の女子トイレに侵入したとして前橋署は20日、建造物侵入の疑いで群馬県太田市台之郷町の前橋地方法務局会計課用度係長、高田公寛容疑者(44)を逮捕した。同署によると、高田容疑者の携帯電話にトイレ内で女性を撮影した動画が残されており、「盗撮のスリルを味わいたかった。個室の上から撮った」と供述している。

 逮捕容疑は19日午後8時5分ごろ、前橋市内の駅にある女子トイレに侵入した疑い。近くにいた男子高校生が「盗撮!」という女性の叫び声を聞き、トイレの方向から走ってきた高田容疑者を取り押さえ、通報し署員に引き渡した。

2019年10月20日19:41配信 産経新聞

遺産4千万円を口座で保管せず 弁護士を業務停止3カ月 大阪弁護士会

2019-10-19 20:04:37 | 法曹界
 遺言執行者として預かった遺産を口座で保管しなかったなどとして、大阪弁護士会は17日、同会所属の黒川勉弁護士(73)を業務停止3カ月の懲戒処分とした。

 大阪弁護士会によると、黒川弁護士は平成30年8月に死亡した男性の遺言執行者。男性の遺産である現金約4100万円を保管するにあたり、弁護士会の規程に基づき、預かり金口座で保管する義務があったのに、自身の事務所にある金庫で保管したほか、相続財産の目録も作成していなかった。

 黒川弁護士は大阪弁護士会の聞き取りに対し、「体調が芳しくなく、金融機関まで行けない」と説明。一方、同会は金庫で保管しているとされる現金の状況について「確認できていない」としている。

2019.10.17 19:27 産経ニュース

信州大学医学部付属病院 (長野県松本市)

2019-10-18 20:10:57 | 傍聴記
午前10時から601号法廷で原告本人及び証人尋問が開かれました。
「確定診断怠り5日後妊婦死亡」地裁に提訴 国立医大相手取り夫ら 2017年1月7日千葉日報の記事の裁判です。
訴えられているのは信州大学です。浅間温泉に行く途中に病院の前を通った事がありました。


原告は、亡くなった妊婦さんの旦那さんです。証人として出廷した医師は産婦人科医です。
病院に通院していた妊婦の奥さんが自宅で亡くなったのは、病院が必要な問診や検査を怠ったことが原因であるとして裁判で主張されています。

午前中は原告の本人尋問です。自宅で妻が食事後、息苦しいと倒れました。通院していた信州大学に電話で連絡をしたのですが、病院からは特段、指示もなく様子を見る事になりました。その時の対応に妻は納得していませんでした。
その4日後、再び息苦しく体調が悪くなり病院に行くことになりました。入院するつもりでしたが、医師からは検査後、問題ないと言われ、鼻が悪い耳鼻咽喉科に行くように言われました。耳鼻咽喉科では特に問題が見つからず経過観察になりました。しかし、その5日後に自宅で妻は亡くなってしまいました。病院では丁寧な問診や検査をして欲しかった、後から知った検査値のBNPの6000(正常20-30)という値は異常です。

午後から医師尋問です。
医師から医療の経過がカルテを元にして説明がされました。
患者さんは息苦しくて来られました。
それで指先にパルスオキシメータを挟み酸素飽和度を計りました。経皮的酸素飽和度の数値は98パーセントでした。正常値でした。
妊婦において息苦しさで可能性が高い疾患は肺血栓塞栓症ですので、肺血栓塞栓症の原因となる下肢の静脈血栓を疑い超音波を大腿部や鼠径部に当てました。大きな血栓はないようでした。
まだ息苦しさの原因が分からないので血液検査と胸部レントゲンを撮影しました。
胸部レントゲンの所見では、異常や炎症が見られませんでした。
血液検査の結果は、白血球とCRP(炎症反応)が高くヘモグロビン(貧血)が低かった。CRPは1.8 白血球10.5 軽度の感染症が疑われました。
肺血栓塞栓症の疑いが低く、上気道感染が疑われたので耳鼻咽喉科を勧めました。
5日後に、奥さんが病院に救急搬送されてきた時には亡くなられていました。
死因が分からなかったので残っていた血液でNT-proBNPという心不全の検査をしました。
信州大学の2013年から2018年までのD-dimer検査の網羅的症例と肺塞栓症の患者さんをピックアップしたものを提出します。

反対尋問です。
息苦しさを訴えて来院してきた時に、歩くのも辛い普通の妊婦の息苦しさと違うと感じとカルテに書いてある。
血液検査において心不全の診断率が高いNT-proBNP 、D-dimer検査をして、陽性反応が出たならば胸部CT検査をすべきだった。
血液検査をした時のBMP6000というのは、すでに心臓に重度の負荷が起きていた。
それを扁桃腺の視診もしないで歩く事が難しい妊婦を耳鼻咽喉科に紹介して心疾患の疑いを無くしてしまった。
産婦人科で出来ない心エコーするために循環器科を紹介するべきでした。
信州大学病院は、診療科どうしの垣根が高く簡単に診てもらえる雰囲気ではないと云う話が出ている。そういった状況からして患者さんが不利益を受けてしまっている。

原告代理人
大杉洋平弁護士(豊田・大杉総合法律事務所) 新名由美子弁護士(大中法律事務所) 廣瀬理夫弁護士(渚法律事務所)

被告代理人
久保田明雄弁護士(久保田法律事務所)

千葉大学病院エックス線室 女児わいせつ事件 論告求刑 

2019-10-16 19:52:34 | 傍聴記
午前10時30分から803号法廷(佐藤哲郎裁判官)で千葉大学病院の元診療放射線技師の福田大樹被告に対する強制わいせつ事件の裁判が開かれました。
まず情状証人尋問、被告人質問、そして検察官から論告求刑といった訴訟の流れになります。

情状証人は両親です。まず被告人のお父さんです。
>日光市から来られましたか?
はい。
>日光から、どれくらい掛かりますか?
車ですと3時間掛かります。今日は、昨日から千葉に泊まっています。
>被告人が捕まった時、どう思いました?
怒りです。それから被害者の方々に対する申し訳ない気持ちでした。
>被告人は何と言っていましたか?
ごめんなさい。
>被害者の方と2件示談が成立していますね、心に残っている事は?
厳しい言葉も頂きましたが「必ず更生させてあげて下さい」と言われました。
>他の方々には示談を断られていますが、今でも償う気持ちがありますか?
はい、謝罪もしたいです。
>被告人の東京での治療は、お父さんが車で送り迎えしているのですか?
はい、片道2時間半掛かります。
>これからも治療の監督をしていきますね?
はい。更生させます。

検察官の反対尋問です。
>何度か面会に行き、何でこんな事をしたのだとは聞きませんでしたか?
聞きました。「なぜしてしまったか分からない」としか言いませんでした。
>小さい女の子に興味があったのかと聞きませんでしたか?
いや、それは聞いていません。普通の精神状態ではなかったからです。
>何が原因か分からないのに、どうやって監督していくのですか?
専門の治療をしてくれるところの話を聞いて、やっていきます。
>示談金の一部を親が負担しましたね?
2人の示談金250万円のうち200万円です。
>殆ど、負担した?
いや、保釈金や弁護士費用も入れると450万円掛かっていますから、殆どではない。
>今後、社会復帰して仕事するにあたり、幼い女の子がいるような職場には就かせませんね?
はい、就かせません。

つづいて、被告人のお母さんです。
>お母さんも面会には、毎回来ていましたね。
はい。
>保釈中は、被告人はどう過ごしていましたか?
規則正しい生活をしていました。
>保釈中に問題を起こしたことは?
ないです。
>被告人が更生できるよう誓いますか?
誓います。

被告人質問です。
>7か月間、身柄拘束されていて何をしていましたか?
反省をして、被害者の方々に謝罪文を書いていました。
>謝罪文を書いて読んでもらえましたか?
3名の方に読んでもらいました。
>拘留中、なぜこんなことをしたか分からないと言っていましたが、今は?
今でも分かりません。
>どんな治療をしていますか?
カウンセリング、テスト、集団治療。
>どんな方々と集団治療をしていますか?
性犯罪をして保釈をされた方々です。
>治療をして何かわかりましたか?
ストレスで共感性が低下し、被害者の気持ちが理解できませんでした。
>治療を続けていく気持ちはありますね?
はい。
>被害者Cさんに誓約書を書いていますね、どんな事を誓約しましたか?
千葉県に極力、立ち入らない、住まない事です。
>極力とは?
どうしても仕事等、千葉県に立ち入らなければならない時以外は、千葉県には入らない。
>その他にも、被害者に連絡を取らない調べることもしないと誓約しましたね?
はい。
>誓約書は、検察官から被害者Cさんに送って貰ったのですね?
はい。
>あなたのした誓約は今後守れそうですか?
はい。
>千葉大学病院を懲戒免職になっていますが、今後は?
女児と二人きりになるような仕事は避けようと思います。
>避けるというよりは、そういった職業に就いてはいけないでしょう。
はい。
>この場でも更生する事を誓いますか?
誓います。

検察官の反対尋問です。
>盗撮をした動機は、分からない?ストレス?
分からない。多分、ストレス。
>どういったことにストレスを感じていた?
仕事のこと、後輩の指導や学会発表等が重なっていた。
>辞めようとは思わなかった?
思わなかった。
>盗撮した動画を保存していたのは?
盗撮動画を撮れた達成感がストレス解消に繋がっていた。
>酒を飲んだりするのではなく、ストレス解消がわいせつ行為だったの?
分からない。
>それでは、ずーとカウンセリングなど治療をしないといけないよ?
最低1年は受ける、その後は3~5年掛かるかもしれません。
>被害者は、今回、病院に何らかの体の不調を訴えてきた女の子で、病院関係者としてその信頼を裏切った事に何かある?
ほんとうに卑劣な行為をしてしまった。申し訳ない。人間として最低の事をした。
>それは、言わなくても分かっているから。
>一部の親権者を除いて、謝罪が断られているのはどうしてだと思う?
ぼくにかかわりたくないから、お金で解決できる問題ではない。
>示談が大半、断られているのは、どうして?
怒っている。
>一般論的に、示談が成立したら刑事責任が軽くなる。親御さんたちは、それが嫌なのでは?
たぶん。それほど怒っている。
>誓約書は、なぜ検察から送ったか知っている?
直接は、関係者を通しても受け取らなかった。
>仮に弁護士からでも、あなた関係の人間からは受け取らなかった。それは聞いている?
はい。
>判決後に被害者から示談の申し入れがあったら、どうする?
示談の請求があれば、可能な限り払いたい。

裁判官からの尋問
>ばれにくいから小さい女の子を盗撮したわけですが、ペン型カメラであれば大人だろうが子供だろうが変わらないと思うのですが?
子供だったら騒がれない、ばれにくい。
>そう云った子供だったらという考えは卑劣な事ではないですか?
そう思います。
>勤めていた病院を懲戒免職になった結果については?
当然だと思います。

検察官の論告求刑になります。
犯情についてです。強制わいせつについて、被告人は自己の性的欲求を充たすために犯行の発覚しづらい幼年者を選び被害者の人権を蹂躙した卑劣な犯行に及んでいます。
自己の陰茎を被害児童に握らせる、身体に擦り付ける、自慰行為を見せつけるなど悪質なものを繰り返している。常習性がある。
被告人は診療放射線技師として病院に勤務しており、被害者や親権者の信用を利用してレントゲン更衣室において犯行に及んだということは、病院関係者の立場を悪用してなされたものである。犯行は悪質なものである。被害児童は重大な精神的苦痛を負っている。心身の成長の点からも被害結果は重大であります。
児童ポルノの製造事件について、ペン型カメラをあらかじめ購入して、児童と二人きりになる場所を選び盗撮をしている。計画性は顕著である。繰り返し同種の行為に及んでおり常習性も認められる。病院関係者の立場を悪用している点も悪質である。

情状事実について、被害児童の親権者は、病気になったわが子の通院先での被害に精神的苦痛は大きく、強制わいせつ1件、児童ポルノ1件を除き、被告人の厳重処罰を望んでいます。被告人が懲戒解雇されたことは至極当然であり、社会的制裁には当たらず何の有利な量刑事由にはなりません。動機を明白しておらず反省色が薄いといえ、再び児童を密室に連れて行く再犯の危険性も高いと言わざるをえない。 一方で被告人は罪を認め、示談金も一部支払い、寛大な処分を求める示談書も提出されている。両親も出廷して監督を誓約している、被告人に有利な事情もある。
以上を踏まえまして、幼年者に対する強制わいせつ3件、児童ポルノ3件で被告人の刑事責任は重いのでありまして、刑事施設に収容して猛省させるべきであります。

最後に求刑です、諸般の事情を考慮し相当法条を適用のうえ、被告人を懲役5年の全部実刑に処したうえで、ペン型カメラを没収するのが相当だと考えます。

弁護人の意見です
保護観察付執行猶予判決を求めます。
犯情事実について、本件事件は国立病院において医療関係者である被告人が医療行為中に3名の児童に対して強制わいせつ事件、3名の児童に対して着替え中の盗撮事件で社会的影響力は大きく、ストレスと云う身勝手な動機で被害者に多大な苦痛を与えて、強い非難は免れません。
しかし本件は酌むべき事情もあります。
3件の強制わいせつ事件は、犯行時間は3分から4分程度と犯行態様も被害者に陰茎を触らせる擦り付けるなどで、被害者の胸や性器には触れてはいない。同種事件と比べて悪質ではない。他3件の盗撮事件も盗撮した動画は被告人が自宅で見るだけで外部に流出していない。
被害者Aには200万円、被害者Eには50万円の示談金を支払い処罰感情は緩和している。他の被害者にも真摯に被害弁償を望んでおり、弁償の意思を示したものの拒絶されています、受領を拒絶された場合には供託をするのが通常ではありますが、本件は被害者の方々の住所が不明であり供託をすることが出来ません。しかし、公判終了後も被害者の方が申し出れば両親の援助のもと分割であっても支払う旨、公判でも誓っています。
被告人は犯行当時から一貫して罪を認めています。前科前歴はありません。
千葉大医学部病院で放射線技師として後輩の指導を任されるなどしていました。
逮捕され7カ月拘留もされて、病院からも懲戒解雇されています。大学を出て得た放射線技師の資格も失う見込みです。被告人は制裁を十分に受けています。
釈放されてから性犯罪加害者の医療の会において積極的に治療を受けています。
両親が監督を誓っており一般社会内での更生が期待できます。寛大な処分をお願いします。

最後に被告人が証言台の前に立ち意見を述べました。
ほんとうに申し訳ありませんでした。今後更生することを誓います。

次回、判決の言い渡しになります。