医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

デンタルクリニック チームコバヤシ 詐欺事件 被告人質問

2024-02-07 20:32:25 | 傍聴記

午前11時から712号法廷(福家康史裁判官)で歯科医師小林孝誌被告に対する詐欺事件の被告人質問及び論告求刑の公判を傍聴しました。

詐欺事件は2023年4月14日千葉日報で報道されました。

 

裁判は1年前から追起訴の繰り返しで10回ぐらい開かれているようです。

 

弁護側からの被告人質問が行われ、スーツ姿の小林被告は証言台の前に進みました。

>現在は誰と住んでいたますか?

内縁の妻です。

>その他に家族は?

前妻と間に子供が二人います。

>歯科大学を卒業されてからどうしましたか?

大学院にて一年ほど非常勤講師をしていて、先輩の歯科医院に2年ほど勤めました。

>その後は?

新宿区で開業しました。

>いつ開業?

昭和62年12月

>その後は?

診療所を法人化したりしましたが、平成28年に閉院となりました。

>なぜ?

最後の方は患者さんも少なくなって経営状態が悪化したため。

>市川市にデンタルクリニックを開業する経緯を教えてください?

歯科技工所の社長から患者さんを紹介されました。

市川の店舗を紹介されて規模を小さくしてやったらどうかと提案されました。

>設立について何か提案はあった?

運転資金が無いと言ったら、用意をするので一緒にやろうと言われました。

>患者については?

私は市川市の人間では無いのですが、千葉県の人なので知り合いを紹介してくれると言ってもらえた。

>どうやって利益を上げようと話をしていましたか?

費用が高い治療を安くして患者さんを多くして、保険の不正請求をすれば良いと提案されました。

安い事を宣伝すれば多く患者さんが来る。

>不正請求は何時からしていた?

開業当初からしていました。

>保険収入はどう管理?

保険収入は私名義の銀行口座に振り込まれます。しかし口座とキャッシュカードは預けていました。

>裁判の始まる前に、自宅への警察の捜索差押えで通帳とカードは見つかっていますか?

見つかっていません。

>チームコバヤシの収入の取り決めは?

スタッフの給料と家賃を引いて、残ったお金を折半です。

引き出したお金を現金で手渡されていました。

>不正請求したお金はどうしたい?

誠意をもって被害に遭われた機関等に返していきたい。

>どれくらい返金していますか?

全くです。金融機関に融資してもらって返したい。

>借りることは出来たのですか?

まだ出来ていません。

>それでどうしますか?

アルバイトで介護の仕事をしています。

>不正請求については?

違法でやってはいけないことで、深く反省しています。

 

検察官の反対尋問

>不正請求の提案をした人のせいにしたいのですか?

いや、断れなかった自分のせいです。

>不正請求したお金は?ゴルフに良く行っていましたか?

2か月に1回ぐらい。

>ディナショーには?

行っています。

>高級なお店で食事を?リッツカールトンとか?

よく覚えていないが、行ったことはある。

>女性に援助していたことはありますか?

援助はありません。

>以前の不正請求については何時?

平成20年ころ。

>指定医の取り消しを受けていて、またどうしようと考えなかった?

考えたが、状況が許さなかった。

>前回は刑事事件にはならなかったので良いと思った?

それはあったと思います。

>歯科医という立場で患者さんを治療していないのに請求して噓をつくということ、騙してお金を取る事に葛藤はなかったのか?

ありました。患者さんを裏切るようなことはしてはいけない。何時も思っていましたが、どうしてもお金の為と思ってしまった。わたしが弱かった、深く反省している。

>患者さんをお金儲けの道具として使っていた?専門的な立場の人で?良いのかと考えなかった?

思っていたが、続けてしまった。レセプトを書くときには葛藤があったと思う。

 

論告求刑

診療報酬の詐取は医師の信用によって成り立つ診療報酬制度を悪用した制度の根幹を揺るがす悪質なものです。被告人は悪質な犯行を平成28年8月から令和2年2月までの長期間に渡って常習的に行ったものである。被害額は1350万円と高額である。歯科医院の運転資金や生活資金に充てるためのお金で動機は身勝手で酌量の余地はありません。

被告人は過去にも診療報酬の不正請求により指定医の取り消し処分を受けている。非難の度合いが大きいと言える。

求刑です、被告人を懲役4年に処するのが相当と考えます。

 

弁護側の意見

小林さんにつきましては懲役2年6月に処するのが相当と考えます。

犯情について、小林さんは開業資金を出していない開業場所も紹介されたビルでした。仮に資金の提供や場所を紹介されていなかったのならばデンタルクリニックチームコバヤシを開設することは出来なかった。提案し紹介した人物が犯行の重要な役割を果たしている。

不正請求したお金は別の人物が管理していました。実際に受け取っていたお金が折半されていた金額なのかも分かりません。 犯行への寄与度は低いと考えるべきです。

被告人は、犯罪をしたことについて反省しています。2つの行動に表れている。まずは被害弁償しようとしたことです。融資を受けるために金融機関と交渉し、借り入れを受けるためにケアマネジャーの訪問診療のアルバイトを始めました。被害弁償に必要な書類を厚生局から取り寄せている。捜査段階の勾留中から被害弁償の為の努力をしている。

捜査機関に医療用語の解説などをして協力してきました。

再犯の危険性は一定程度、低下していると考えます。

 

被告人の意見です。

こんな事件を起こしてしまい深く反省しています。被害を受けた方には深くお詫び申し上げます。誠心誠意で返済していきたいと思っています。

ケアマネジャーの資格がありますので介護を必要とする人々のお役に立てればと思っています。不正なく真っ当に生きていきたいと思っています。

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