性犯罪被害者らの保護に向け、法制審議会(法相の諮問機関)の民事訴訟法部会は30日、被害者の氏名や住所を秘匿したまま民事訴訟手続きを可能とする制度の試案を公表した。8月中にパブリックコメント(意見公募)を実施し、先に中間試案をまとめた民事訴訟手続きの全面IT化とともに、来年2月にも最終案を答申する見通し。法務省は民事訴訟法などの改正案を国会に提出し、来年度中の制度実現を目指す。
民事訴訟では、訴状に氏名などを記載しなければならず、裁判所に資料の送達場所として現住所などを届ける必要がある。訴訟当事者には資料の閲覧を制限する規定もなく、性犯罪やDV(ドメスティックバイオレンス)の被害者が、加害者側への損害賠償請求を躊躇(ちゅうちょ)すると指摘されてきた。
このため、試案では原告が氏名や住所を訴訟の相手に閲覧されることで、社会生活に著しい支障が生じる恐れがあるなどの要件を満たした場合、裁判所の決定で氏名や送達場所を秘匿できると規定。第三者の提出する資料や判決書でも匿名にできるとした。
一方、相手側には、要件を欠いたり、訴訟上の防御などに不利益がある場合、取り消しを申し立てる権利を付与する。被害者が証人として尋問を受ける場合の匿名化については、部会内にも「誰が証人か分からないと反対尋問ができない」といった意見があり、慎重に検討するとしている。
法制審では刑事手続きでも、逮捕状や起訴状などで性犯罪被害者らを匿名にできる制度創設について、今年5月に諮問されている。
2021年7月30日21:31配信 産経新聞
民事訴訟では、訴状に氏名などを記載しなければならず、裁判所に資料の送達場所として現住所などを届ける必要がある。訴訟当事者には資料の閲覧を制限する規定もなく、性犯罪やDV(ドメスティックバイオレンス)の被害者が、加害者側への損害賠償請求を躊躇(ちゅうちょ)すると指摘されてきた。
このため、試案では原告が氏名や住所を訴訟の相手に閲覧されることで、社会生活に著しい支障が生じる恐れがあるなどの要件を満たした場合、裁判所の決定で氏名や送達場所を秘匿できると規定。第三者の提出する資料や判決書でも匿名にできるとした。
一方、相手側には、要件を欠いたり、訴訟上の防御などに不利益がある場合、取り消しを申し立てる権利を付与する。被害者が証人として尋問を受ける場合の匿名化については、部会内にも「誰が証人か分からないと反対尋問ができない」といった意見があり、慎重に検討するとしている。
法制審では刑事手続きでも、逮捕状や起訴状などで性犯罪被害者らを匿名にできる制度創設について、今年5月に諮問されている。
2021年7月30日21:31配信 産経新聞