或る日の夜、七時半過ぎだったと思います。
長女のMちゃんから電話がありました。
Mちゃんが電話をかけてくるのは、大体この時間帯。
場所は、帰りのバスを待つ停留所のようです。
朝の通勤途上からも、よくかけてきます。
バスが来たから、と言って、いつも慌てて切るMちゃんです。
会社では、私的な電話の使用を避けるのは当たり前のことでしょう。
私も、急用を要することでない限り、電話はかけません。
一方自宅に戻れば、お腹を空かして待っている家族のために、一刻を争うようにして食事の準備をしなければならないMちゃん。
その多忙極まる暮らしは、呑気な生活をする私の想像をはるかに超えていそうです。
わが家の庭に咲く、凛として清楚なガクアジサイ。
娘達の雰囲気にちょっと似たお花のようにも。
五月の日記だけれど、この画像は六月に撮影しました。
そのMちゃんから最近、また思いがけない電話連絡がありました。
一年ほど前にも同様の知らせがありましたから、思いがけない事とは言えないのかもしれませんが。
私に報告がない時もあり、他でも経験済みのようです。
その連絡とは、「またテレビに恐らく私が出ると思うので、良かったら観て」というもの。
「私の部下の活躍を追って、ドキュメンタリーとして編集された番組なの。
わたしは彼の上司なので、恐らく度々映ると思うから」とのことでした。
私は応えました。
「連絡してくれなくてもいいわよ。
とても緊張してしまって、平常心ではママは観られないから」
と。
娘は笑って聞き流していましたけれどね。
この画像は去年のものです。
この時は、ニュースキャスターと一対一の対談形式でした。
この画面を見て、私は本当にびっくり仰天したものです。
その番組が、いよいよ始まりました。
さほど時間も経過していない時に、娘が話す顔が画面いっぱいにクローズアップされました。
私の目は、また昨年と同様に、点に。
テレビ局のカメラが向けられているのに、臆せず堂々と自分の考えを述べるMちゃんを観て、私は驚きを禁じえませんでした。
だって、娘は幾つになっても、私には、心配の尽きない、愛しい子供であることに変わりないからです、
如何に仕事がよくできて、会社で活躍していようとも、そんなこと、親の私には全く関係ありません。
仕事と子育ての両立の苦労を、わがことのように日々察し、健やかな日々を祈るのみですから。
子育てについての私の意見も、時に遠慮がちながら、率直に、娘達に私は言っています。
ですから、テレビに映る娘に出逢うと、余りに非現実的なことに感じられ、わが子ではないみたい。
それだけの感慨しか抱きません。
落ち度なくやり過ごしてくれた娘にホッとして、胸をなでおろすだけ、といったところです。
娘達は要職に就き、仕事はとても大変そう。
でも、生き生きと楽しそうに働いてくれているので、私は今のところ安心しています。
これからも、週一回の長女宅行きはしばらく続け、微力ながらでも協力は惜しまないようにしましょう。
五月十九日の記述
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