月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

チーム

2014-06-17 | 生活
なんだか今、人生で一番幸せかもしれないな、と思うことがある。
もちろん、これからもっと幸せなことが起こるかもしれないが、少なくともこの40年余りの人生を振り返ってみてそう思う。

昨日もとても幸せな日で、寝るときには布団の中で、神様に心から感謝した。
感謝していると、涙が出るくらいだった。

そしていつも思うのだ。
こんなに幸せで、こんなに恵まれているのだから、もっと頑張らないとダメだ、もっと人の役に立ちたい、と。
「世の中への恩返し」
そればかりを考えている。

昨日は、こんなに声を上げて笑うことがあるのかと自分でびっくりするほど、大きな笑い声を立てた。
日本酒雑誌の制作メンバーが6名、うちにやってきたのだ。
前からFBで私がアップしているゴハンの写真を見ては「おいしそうですよねー。行きたいなー」と言っていた面々。
「いいですよー」と言いながらも、仕事の取引先の人でもあるし、まあ社交辞令だろう(向こうが)だと思っていた。

そうしたら、チームの一人が今月いっぱいで某企業への3年間出向が決まり、壮行会を開くことになった。
それもバタバタで、今は2号目の校了を前に必死になっている時期だし、予定が合わずに無理だろうなと思っていたら、「16日ならいけるからやりましょう」とのこと。
16日って・・・月曜日やん!平日やん!と思ったけれど、そこは基本的にフリーの集団。
編集、デザイナー、カメラマン2名は問題なく参加。
そして、クライアントの窓口2名も「打ち合わせ」ということで、会社を出て来てくれた。

「打ち合わせ」は全くのウソではなく、先に3名が16時に到着。
私も含め、4名で最終の原稿校正を進めていく。
我が家のテーブルで、皆が原稿を広げて赤ペンを持っている姿は、なんだか新鮮だった。
ふと、小学生の頃の夏休みを思い出す。
昔から人を集めるのが好きだった私は、夏休みの宿題を一緒にやろうと企画しては友達を数名家に呼んで、テーブルを囲んでいたものだ。
まるであの頃のような情景に和む。

18時には残りの人たちも到着し、もう少しだけ校正を進めた。
読みながらデザイナーが「この記事読んでると、いつもお酒が飲みたくなるんですよねー」という。
だんだん「お酒」「お酒」と皆が言い出したので、校正は切り上げて宴会の始まりはじまり。

準備していた料理を並べた。
初めて来る人たちのときは本当にラクちんである。
何を作ろうかと迷わなくても、「かおり亭に来たら一度は食べておかないと!」という定番中の定番メニューを出せばいいので。
全部作り置きしておいたので、キッチンに立つ時間もほぼなし。


・揚げ茄子の香味煮
・タコとパプリカのカルパッチョ
・アボカドディップ
・クリームチーズ豆腐(新作)
・小松菜とおあげの炊いたん
・蓮根と昆布のきんぴら
・自家製チャーシュー
・自家製オイルサーディン


・手羽大根

あとは写真にないけれど、
・じゃがいもときのこのキッシュ
・ペーパーチキン(新作)
・自家製ちりめん山椒

おなじみの料理が並ぶが、おなじみなだけに味は洗練されてきた。
皆が箸を伸ばし、口に入れると「美味い!」「ガチで旨い!」と声を上げ、私もホッとする。
最初はビールだったが、「これは日本酒やろ・・・」とすぐにチェンジ。


日本酒は、発行元のクライアントからの差し入れ。(と、我が家に残っていた数本)

私の料理は酒を飲んでこそ真価を発揮するので、皆の箸は止まらない。
「米ないっすか!」と言うので、急いで3合炊いた。
まだ足りなくて、結局、3合追加した。
さすが男子6名!!食べっぷりがハンパない。

皆にごはんをよそいながら、「寮母さんってこんな感じかな?」と思ったり。
まるで合宿だ。
しかし、本当に心から美味しいと思って食べてくれているのがわかり、私も嬉しかった。
人の「美味しい顔」を見るのが大好きだ。

そして、食べながらの会話が面白すぎる。
ムードメーカーはI山さん。この人はバリバリ体育会系なので、ノリがまさにそういう感じ。
後になって考えてみたら、何の話もしていなくて、カメラマンのMさんをひたすらいじりまくっていただけなんだけど、それでも大爆笑の連続で、私は何度も窒息しそうになった。

楽しくて楽しくて、笑って笑って、飲んで食べて。

あー、なんか今、すごく愛しい時間を生きているなぁと思った。
まだ出会って1年足らずのメンバー。
雑誌だって、まだ2号目制作中。
スムーズにいくことばかりじゃないし、手探りで、知恵を出し合って、皆で創り上げていく。
でも、みんないいものを創りたいという気持ちは同じ。

それぞれが自分の立場をよく理解していて、常にベストを尽くし、周りの立場を考えて動く。
まるでサッカーみたいに。
フィールドで皆が自分のポジションを必死に守りながらも、チームメンバーの動きをきちんと見ているのと似ている。
ゴールを目指して。

こんなすごいメンバーと出会えたこと、それも「日本酒」という愛すべきものをテーマにした雑誌を作れていること。
それから、この記事を書くようになって、何か昔の自分らしさというか、「心」で書けるようになったこと。
全部が全部、奇跡みたいだ。
いつもいつも導かれている。目に見えない大きく偉大なものによって。
その奇跡を思うと、感謝の気持ちしかあふれてこなくて、ただ胸がいっぱいになる。目の奥が熱く熱くなる。

「メンバーがうちに来る」と夫に言ったら、「変わってるなぁ!クライアントもいるんやろ?ありえへん」と言われたが、本当に、普通ならあり得ない状況。
それなのに、なんだかとても自然だった。
自然にうちに皆がいて、飲んで笑っていた。
本当に「チーム」なんだな、と実感。すごいチームだ!!

笑い疲れて、お腹いっぱいになって、11時半頃、皆は帰って行った。
一人残され、片付けたり、残り物を食べたり、お酒をすすったり。
こんな日に限って夫は東京出張。

賑やかだった分、「独り」の淋しさが身にしみた。
翌日になっても若干引きずっているほどに。

結局のところ、私はずーっと淋しいんだな、と思う。
それはなんというか・・・物理的に「独り」かどうかということではなくて、もっと根本的なところの問題で。
物心ついたときから、ずっと淋しかったんだな。
だから人を集める。周りに人を置きたがる。
この「淋しさ」というのは、たぶん、自分を信頼していないし、本当のところ愛せていないからなんだろうと分析。
人が自分の周りにいて、自分に目を向けてくれていないと、自分の価値がわからなくなるのだ。
人をもてなすのが好きなことも同じ。
人が「おいしいね」「楽しいね」と自分のしたことで喜んでくれる。そこにしか自分の存在意義を見出せない。

夫と出会ってから随分私は変わったと思うけれど、それでもこの部分だけはまだ変えられない。
いや、もしかしたら一生同じままなのかもしれないな。
この「淋しさ」との闘いは、たぶん私の人生のテーマなのだ。

それでも。
今はとても幸せだ。
好きな仕事と、最高の仲間と、優しい夫と。
これ以上望んだらバチがあたるといつも思う。
もっともっと頑張って、恩返ししていきたい。
その「恩返し」は、できれば料理やなにかなどではなく、「書くこと」でしたい。
それだけ。