鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

彼岸花(秋分の日)

2022-09-23 19:59:09 | おおすみの風景
今日は秋分の日。昼間と夜の長さがほぼ同じになる日で、この日を境に昼間の長さが短くなっていく。

秋分の日は「秋の彼岸の中日(ちゅうにち)」とも呼ばれ、9月20日から始まった秋の彼岸の中日(なかび)になる。

彼岸の時期に、時を違えず咲くのが「彼岸花」だ。

我が家の庭にも何本かの彼岸花があり、またクリーム色の彼岸花の一種「リコリス」も咲いた。

昔から彼岸花は救荒食物とされ、田んぼの畔に植えておいて、もし冷害などの災害で米が凶作になった時の代用食になったと聞く。(※同じ鹿児島の離島である奄美大島などでは、救荒食物はソテツの実だったという。)

地元放送局のテレビ番組を観ていたら、青森県鶴田町(つるたまち)で彼岸花の満開に近い様子が放映された。

何で北のはずれの鶴田町で彼岸花が?――と一瞬思ったのだが、テレビの解説によると鹿児島県の鶴田町(つるだちょう)とは姉妹町の提携を結んでおり、かつて交流の盛んだった時に、鹿児島の鶴田町から青森の鶴田町に彼岸花の球根が多数送られたらしいのだ。(※鹿児島県鶴田町は近隣の宮之城町・薩摩町と合併して薩摩郡「さつま町」になり、今は地区名として残るばかりである。)

その縁で青森県の鶴田町では、とある公園に彼岸花の球根が植えられ、毎年この時期になると満開を迎えるそうである。

だが、そう聞いてすぐに疑問に思ったのが、彼岸花は鹿児島県では間違いなく秋の彼岸の時期に判を押したように満開になるが、気候の冷涼な青森県ではもっと遅れるのではないかと思ったのだ。


青森県鶴田町の彼岸花はいま満開である。(※テレビ画面からの映像なのでピントが合っていない!)

一方で、我が家の属する鹿屋市大姶良地区で密生して咲いていたのは次の様子だ。


田んぼの畔に植えられた彼岸花。ここ大姶良地区でもいま彼岸花は満開だ。

年間平均気温では鹿屋市の大姶良地区より本州最北の青森県鶴田町の方がおそらく10度近くは低いと思われるのに、彼岸花は当地と彼の地の区別なく一斉に満開になっている。不思議と言えば不思議、不可解と言えば不可解なこの現象をどう見たらよいのか。

もともと彼岸花は当地では「秋の彼岸になったら必ず咲く花」として重宝(?)がられている。秋彼岸のシーズンを教えてくれる花だからである。

青森県の鶴田町でも同じ現象がみられるのならば、近い将来、全国的に彼岸花が文字通り秋の彼岸のシンボルフラワーとなるのではないだろうか。