鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

台風特別警報が発令

2022-09-18 10:29:38 | おおすみの風景
今朝早く鹿児島県に特別警報が発令された。九州では初めてだという。

今朝6時の段階では、台風14号は南大東島の西海上を通過し、奄美大島の一部をが暴風域に入っていた。

中心の気圧は910ヘクトパスカル、40メートル以上の暴風が吹き荒れ、最大75メートルに達するというから恐ろしい。気象庁では「これまでで最も危険な台風」と発表している。

ここ鹿屋でも8時頃から横殴りの風と雨になって来た。

10時現在の今はそれがさらに強くなってきている。ニュースでは鹿児島市や志布志市で40mの瞬間最大風速を記録したとあるから、鹿屋でも最大40mは吹いただろう。平均して30mくらいの風は間違いなく吹いている。

玄関を開けて庭の木々の様子を見ると、強い東寄りの風にあおられて幹や枝が吹き飛ばされそうにしなっている。

台風の北進の速度は時速20キロで、正午頃には屋久島と種子島を暴風域に巻き込んで通過し、3時間後の午後3時頃には薩摩半島南端の枕崎か坊津あたりに上陸しそうだという。

そして、同じ20キロ程度の速度で若干東寄りに九州の西岸部を進み、有明海から福岡県方面に再上陸したあと、大きく東に進路を変えて中国地方に抜ける予想だ。

例年の9月の台風だと屋久島あたりを過ぎたら黒潮ルートに乗り、そこで東向きに進路を変えるのだが、近年は海水温が東シナ海でも高めで、台風がそのエネルギーを貰いつつそのまま北上するケースが多い。そのためこれまででは考えられなかった九州北部への上陸というのが増えている。

例年と言っても、もう例年が例年でなくなってから久しい。

自分の記憶で「例年の9月の台風」の典型だったのが、平成5年9月3日の台風13号である。

この台風は屋久島方面から北に向かって薩摩半島の頴娃町の海岸部に上陸した時点で930ヘクトパスカル(当時はミリバールと言った)で猛烈な強さだったのだが、上陸後は東に向きを変え、指宿から錦江湾を通過して大隅半島に再上陸し、志布志湾に抜けて行った。

上陸後の最大瞬間風速は70mまで行ったのだが、幸いなことに進行速度が速かったため、家々の屋根瓦を吹き飛ばし、電柱や高圧線の鉄塔をひしゃげただけで通り過ぎて行ったので、この台風による死者はなかった。

むしろ台風一過後の電気と電話の期間の長い不通に困ったのが記憶に残る。

その後約30年の間、台風13号に匹敵するような台風は全くなく、とくにここ10年くらいは鹿児島県へ直接上陸したという台風ははほぼなかった。

暖流の黒潮ルートが本土の南から東へ流れる鹿児島県はかつて「台風銀座」と呼ばれるほど毎年秋の台風被害にさらされて来たのだが、今や銀座ではなくなった。歓迎されはしないが、少し寂しいという人もいる。「みんな大変なんだ。お互い様だ」という災害時共通の寄り添い合う心遣いが稀になったからだろう。

災害は最小限であって欲しいが、これを書いている11時頃、一時的に停電があったから、最接近する午後2時か3時頃には大規模な停電が発生してもおかしくない。

台風14号の無事の通過を願うのみ。