鴨着く島

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エリザベス女王の死(2022.09.08)

2022-09-10 12:56:57 | 日本の時事風景
今朝の新聞の一面にまた大見出しで重要人物の死の報道があった。

イギリスのエリザベス女王の死が、やや大きな顔写真とともに載せられていた。享年96歳。現存の世界の元首の中で最年長であり、かつその在位年数70年も最長であった。

つい3日前の9月6日にイギリスの新首相トラス女史の表敬訪問を受けた様子が報道され、同氏を新首相に任命したばかりで、その翌日に重篤な容体になったようだ。詳細は明らかではないが、王室からは「安らかな死を迎えた」という短いコメントが出されているから、眠るような往生だったのだろう。

何にしても在位70年は長い。昭和天皇も在位は63年と長い方だったが、これを凌ぐ長さだ。

ただ、昭和天皇の場合、第二次大戦を挟んで戦前と戦後のニ局面に遭遇しており、その波乱万丈さは他に類を見ない。

それに比べるとエリザベス女王の場合、即位が1952年であり、戦後の平和時代一局面だけの世代である。

といって波乱がなかったわけではない。

戦後は日本のいわゆる「大東亜共栄圏構想」によって、アジアの搾取型の欧米植民地支配が崩れ去ったのだが、もちろんその権益を最も多く失ったのがイギリスであった。欧米によるアジア・アフリカの植民地は解放され、1960年頃をピークにして次々に独立を果たしていった。その渦中にいて目の当たりにしたのがエリザベス女王であった。

やがてイギリスはいわゆる「英国病」に陥ることになった。労働党による行き過ぎた社会福祉政策(ゆりかごから墓場まで政策)が人々の自立心(やる気)を削いだと言われている。

一時は「世界の警察官」としてベトナムなど各国で強大な軍事力を振り回すアメリカとは険悪になったようだが、最終的に英米の結束が揺らがなかったのは「君臨すれど、統治せず」という英国王室を持つイギリスの政治的バランス(求心力)感覚の賜物と言えるかもしれない。

しかし統一ヨーロッパ(EU)からは離脱してしまったのだが、やはりヨーロッパ以外にも多くの連邦国家群(ポンド圏)を従えているイギリスと、他のヨーロッパ諸国との違いに起因するように思われる。

新国王はエリザベス女王の長男のチャールズ皇太子が継いだ。戴冠式がいつになるのかはまだ分からない。まずはエリザベス女王の「国葬」だろう。

国葬はウェストミンスター寺院で行われるという。日本からは現・徳仁天皇が参列されるようだが、同じ国葬と言っても今度の安倍元首相の国葬儀とは格が違うのを天皇は目の当たりにされるだろう。

果たしてエリザベス女王の国葬がいつになるのか。服喪期間が明けてからだろうから2週間後とすれば9月25日だ。安倍元首相の国葬儀は27日だから、そうなると各国の国家元首や首長たちは、エリザベス女王と安倍元首相の国葬儀の両方に時を置かずして参列することになる。

もし両方の参列は不可能と考える首脳がいるとした時、どちらの方を優先させるだろうか。それは明らかだろう。文句なく国葬に値するエリザベス女王の葬儀である。

その時、安倍元首相の国葬儀は各国首脳の参列取りやめの嵐に見舞われるはずだ。

だからこの際、やはり安倍元首相の葬儀は国葬ではない「内閣・自民党合同葬」レベルにしておくのが正解だろう。いまからでも遅くないからそうして欲しいと思う。

もう一つこの際だから加えると、新型コロナ終息も見えていない状況下であるから、各国の首脳陣には来日せず、「リモート(ビデオ)参列」に振り替えてもらうようにすればよいではないか。安倍さんが旧統一協会の大会に「ビデオ参加」したように。