鴨着く島

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他国頼みでいいのか?

2021-04-18 10:00:01 | 専守防衛力を有する永世中立国
今朝の新聞に踊る中国のコメントーー「強烈な不満」。

台湾(海峡)に対する中国の威圧を懸念するという日米(菅ーバイデン)トップ会談の「核心的な」表明に対する中国の反応だ。

新疆ウイグル自治区の人権抑圧、香港の民主化弾圧に並んで台湾有事が日程に上って来た。アメリカの軍部では「6年以内に中国の台湾進攻があり得る」との見解も出されている。

キナ臭くなってきた。

そもそも台湾政府に代わって中国共産党政府が国連の安保理常任理事国になったのは1971年の「国連からの台湾政府追放及び中国共産党政府の国連加盟」決議が通ったからだ。

当時の安保理常任理事国(台湾)が国連から締め出され、新たに加盟したばかりの政府(中共)がそれに取って代わるなどと言うことは普通なら有り得ない話だ。なぜなら他の常任理事国である英米仏ソの一か国でも反対すればその決議は葬られるのだ。

この場合、台湾追放と中国共産党政府の加盟に対してどの常任理事国も反対しなかったということで、今から考えれば常軌を逸していた決議だった。

当時のアメリカ大統領は共和党のニクソンだったが、その外交を取り仕切っていたのが国務長官だったヘンリー・キッシンジャー。この人はナチスドイツから逃れて来たユダヤ人で、同じ境遇の国際政治学者モーゲンソーとともに当時の看板政策である「国益(ナショナルインタレスト)=アメリカファースト」を中心にアメリカの外交を推進していた。

キッシンジャーは今でも中国にとっては「恩人」であり、厚遇されていると聞く。

反対に日本に対しては好意を持っていない。何しろユダヤ人を迫害したナチスのヒットラー政権と「三国防共協定」を結んでいたのだから。

その後は共産主義に風穴を開けようと、中国でもロシアでもアメリカのマクドナルドをオープンさせたりして、西側陣営との融和に繋がる象徴的な施策から始まった「低賃金労働者による工業振興」は、欧米や日本からの投資を呼び込み、今や10年前に日本のGNPを抜き、あと10年したらアメリカを凌駕するようになるとまで言われるようになって来た。

早い話がアメリカと並ぶ世界の超大国がもう一国現れたということである。

しかし、この新しい超大国の振る舞いが問題視されている。

中国が国連に加盟した翌年の1972年、ニクソンは中国に行き、「平和五原則声明」に調印した。これで中国共産党政府の正当性が保証されたも同然だった。台湾にとってはいい迷惑でしかなかった。

台湾海峡では、かって台湾とアメリカの共同軍事演習にいら立った中国がミサイルを発射するという事態があったが、今日までそれ以上エスカレートしたことはない。しかし今後は尖閣諸島問題を含めて日本とも紛糾するケースが出てくるかもしれない。

中国は尖閣諸島周辺の海域に海底油田のあることが分かって以来、「尖閣諸島は中国固有の領土だ」と虚言を繰り返している。

一時は海底油田の共同開発をしようという機運もあったのだが、向こうは勝手に「白樺油田」なるものを掘削し始めて日本を出し抜いた経緯がある。あれはどうなったのか。おそらく不調だったのだろう。自己中な国であることをはっきりと示した事案であった。

へっぴり腰のまま尖閣諸島を国有化せずに民主党に国有化させた自民党政府は、今度のトップ会談でも「安保条約第5条によって尖閣有事の際にアメリカに助けてもらうことを確認した」と声明しているが、安倍内閣の時の「安全保障関連法制」によって他国領域においてもアメリカ軍のサポートに回れるとしている。それなのに自国領内である尖閣諸島海域での不測の事態で、まさか「アメリカ軍のサポートに回る」なんてことは無いと思うが・・・。

問題は台湾海峡での不測事態に日本がどう対処するかだ。バイデン政権はもしそうなったら日本にも応分の「出兵(出費ではない!)」を求めてくる可能性大だろう。トランプ前大統領もまくし立てていたが、「日本がアメリカを救援しないなんて不平等」なのだ。安保第5条適用のような「いいとこ取り」は虫が良過ぎると思われるようになるに違いない。

さあ、どうする日本。

この期に及んで、いやこの期だからこそ、自分としては日米安保廃棄と同時に永世中立国宣言を出してもらいたいと思うのだ。これが災害大国日本の今後の生きる道だろう。今や「天災は忘れぬうちにやって来る」時代である。他国と戦争などしている場合ではない。

今度の新型コロナ禍ではっきりしたこと。他国頼み(ほぼアメリカ頼み)のワクチンでは「国民の命と暮らしを守る」(菅総理の常套文句)ことはできないということである。天災対策然り、防衛然り。