鴨着く島

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トカラの法則

2021-04-25 13:41:29 | 災害
「トカラの法則」という都市伝説がSNSで拡散しているらしい。

4月10日のブログ「南海は大揺れ」というタイトルで書いたトカラ列島近海で起きている「群発地震」をめぐるものだ。

あの時はその前日(4月9日)から突然群発地震が始まり、書いていた13時間後の10日午後1時には40回を超える地震が発生していたのだが、このトカラ近海で群発地震が収まると何日か後に必ず大地震が起きる――というのである。

新聞報道では、あの東日本大震災の時(2011年3月11日)、本震の前の1月13日から3月7日までに27回の「トカラ群発地震」があり、収まってから4日後にマグニチュード9.0の大地震が起きた、という。

また熊本地震(2016年4月14日)では、その前の4月1日から8日までの8日間に9回の群発があった。

他にも2000年10月6日の鳥取西部地震(マグニチュード7.3)、2003年9月26日の十勝沖地震(マグニチュード7.1)、2016年12月28日の茨城県北部地震(マグニチュード6.3)、2018年6月18日の大阪府北部地震(マグニチュード6.1)などが挙げられている。

このうち東日本大震災と熊本地震は震度7という超大型地震であり、死者も相当に出ているので、トカラ列島の群発地震と結び付ければそれなりに何となく説得力を感じてしまうのだが、他の地震は日本ではさして珍しくない規模の地震であり、何かと結び付けようと思えば結び付けられる程度の「伝説」でしかない。

日本列島は火山列島であり、その火山の成因は「ユーラシアプレート」「フィリピン海プレート」「太平洋プレート」「北米プレート」という4つのプレートのせめぎ合いに求められ、またそのせめぎ合いが地盤の揺れ(断層)と火山噴火という形を取るわけだから、どちらからも逃れようがなく、毎年のように大揺れがあり、火山の噴火がある(鹿児島では圧倒的に後者だ)。

専門家は今度のトカラ近海の群発地震と大地震の因果関係は無いというのだが、しかし一部のプレート上(内)で起きた力の変化は必ずどこかにその力の変動を伝えるわけだから、因果関係が全くないと言い切ることはできないと思う。

しかも今度の群発はこれまでより群を抜いて多い。

同じトカラ列島の諏訪之瀬島で島の中心にある800mほどの御岳(おたけ)という火山の爆発が今年になってかなり頻発しているし、今朝早く桜島で久しぶりに「火砕流を伴う噴火」が発生した。

トカラ列島近海での群発地震は4月9日の発生から15日間で290回余りを数えている。この数は上に挙げたどの大地震の前よりも圧倒的に多い。

脅かすわけではないが、何かの予兆とみておいた方が良いと思う。

専門家は今度の群発地震と他の大地震との因果関係には否定的だが、「日本列島はどこも地震多発地帯だから、どこでも地震は起こり得る。地震への備えだけは忘れぬように」と言っている。その通りには違いない。

地震・噴火災害は「忘れたころにやって来る」というのが100年前の常套句だったが、今や「忘れぬうちにやって来る」のが定番になった。あとはいかに「大難を小難に、小難を無難に」するかだろう。