鴨着く島

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ワクチン接種券が到来

2021-04-04 10:14:16 | 日本の時事風景
昨日、鹿屋市の「新型コロナウイルスワクチン接種推進チーム」という新設の部署からワクチン接種券が送られて来た。罹患すると重症化しやすい65歳以上の高齢者へのサービスである。

シール式で、はがすとそのまま台紙に貼れるタイプだが、接種券に並んで「診察したが接種できない場合」対応の券もあり、当日に発熱や体調不良があった場合に使われるようになっている。

費用負担なしは有難いことだが、肝心のワクチンの確保がかなり難しくなっている状況である上、感染拡大が続いている大阪や東京などの大都市圏の高齢者の方を優先させるだろうから、こっちにまで回ってくるのがいつになるのかの目途は全くない。

鹿児島では大都市であり感染者が毎日だらだらと見つかっている鹿児島市に優先的に配布され、かつまた医療体制の貧弱な離島に住む高齢者にたいしても優先措置がなされるらしいので、大隅のように感染者がここ2か月位いないような「安全地帯」は最後に回されそうな気がする。

それはそれでいいのだが、果たして優先されるはずの大都市圏での接種開始がいつからなのか、政府は4月12日から開始すると言っているが、ワクチンの確保が確実にできるのか心もとない限りだ。

接種券よりも興味があったのが、同封の「新型コロナワクチン予防接種についての説明書」というA4紙一枚(両面)に書かれた内容だ。

まえがきから始まって投与方法・接種のできない人・注意が必要な人・接種後の注意点・副反応について・副反応による被害救済制度についてなど項目別に説明書きがあった後、最後の「今回接種する新型コロナウイルスワクチン(ファイザー社製のワクチン)の特徴」は注目に値する。ちょっと小難しいが、この部分の説明書きを次に記しておく。

【 本剤はメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンであり、SARZ-COV―2のスパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なタンパク質)の設計図となるmRNAを脂質の膜に包んだ製剤です。本剤接種によりmRNAがヒトの細胞内に取り込まれると、このmRNAを基に細胞内でウイルスのスパイクタンパク質が産生され、スパイクタンパク質に対する中和抗体産生および細胞性免疫応答が誘導されることで、SARZ-COV―2による感染症の予防ができると考えられています。 】

「有効成分」も書かれている。【 有効成分 ※トジナメラン(ヒトの細胞膜に結合する働きを持つスパイクタンパク質の全長体をコードするmRNA)】

説明の中で「SARZ-COV―2」というのはコロナ型ウイルスのことで、2002年に流行し発見されたので「ー2」と書かれ、2019年12月に発見された今ウイルスは「ー19」となるらしい。

「mRNA」は遺伝子操作によって作られ、それを人間の細胞内に入れ込むのは問題があるという見解もある。これまでのウイルス性の感染症(インフルエンザなど)へのワクチンはウイルスそのものを増殖させたうえで「弱毒化」したものを接種して抗体を作らせて感染を予防するのが一般的だったからだ。

ファイザー社のはmRNAというスパイクタンパク質の設計図を細胞内に送り込み、細胞内で増殖させる。そしてこれに対して細胞内で「中和抗体」の生産と細胞性免疫の応答をうながし、実際のウイルスのスパイクタンパク質が細胞内に侵入するのを妨げる――という機序らしい。

ただし、細胞内に入ったmRNAが感染を阻止した後に居残ったらどうなるのか、自然に消滅するのか、という疑問はある。

今のところそこまで検証できるだけの時間を経ていないので後回しになっているが、それでもファイザー社製のこのワクチンによる重篤な副反応は、一般のインフルエンザワクチン程度のようである。また接種後の非感染率は95パーセント程度と極めて高く、言われるように国民の7割の接種が終われば、継続的な流行はほぼ終息するに違いない。

ただ問題はその7割の接種がいつ終わるかだ。その目途が立たずにオリンピックが開催できるのか――これも疑問だ。


一足先に緊急事態宣言を解除した大阪の感染が止まらない。昨日で東京の感染者数を上回る日数が5日目を迎えた。

東京も直近の7日に比べると増えてはいるが、それでも10パーセント台だ。しかし大坂は2倍をはるかに超えている。明らかに解除後の人の動きが活発化したことによる感染拡大だろう。

明日5日からまた宣言が出される。「まん延防止等重点措置」という名称で、大阪府全体ではなく大阪市区だけにターゲットを絞っての対策だそうだ。5月5日までのまるまる一か月だから、ゴールデンウイークは厳しい自粛期間の内になる。

大阪でウイルスが封じ込められて感染者数を減らし始めたら、今度は東京圏が大幅に増えていくに違いない。3月22日からの緊急事態宣言解除による感染拡大は待ったなしだろう。