140億年の孤独

日々感じたこと、考えたことを記録したものです。

脳研究の最前線(3)

2009-10-05 06:46:13 | 
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第5章 脳はどのように認知するか[田中啓治氏]より
私たちは日常生活の中でいろいろな感覚情報を絶えず受け続けているが、行動に影響を与える、
または記憶に蓄えられる情報はその中のごく一部である。
選択的注意という言葉は、受容される情報の一部が選ばれ、処理が促進され、行動や記憶など、
より深い処置に入っていく課程全体を表している。
視覚および認知が意識的になるのは目の前の状況に対して統一した理解を作り、
行動を一つにするためであるという考えがある。
行動における競合を避けるためには感覚入力の統一的見解が必要であり、
これこそが知覚における意識の機能上の起源であるという論理である。
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意識の起源については、養老孟司氏の「「私」というのは自己同一性であり
唯一無二の身体(個体)を制御している唯一無二の意識である「私」である」という考えと同じだと思う。
今のところそう考えるしかない。私たちは「意識が生じた場面」に遭遇したことがないのだ。
感覚入力と行動を持つロボットが発展していくと意識を持つようになるのだろうか。
ロボットが自分の目や手足を自分が制御していると思うようになるのだろうか。
興味深い。

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第6章 脳はどのように情報を伝えるのか[深井朋樹氏]より
脳が情報処理を行っているのは間違えないようのない事実です。
そのため、脳がどのように情報を表現しているかということは、脳機能を理解する上での
基本的な問題です。
ニューロンに電気的な刺激を連続して入力すると、
刺激の強さが一定の値(閾値)を超えることがあります。
このとき、活動電位と呼ばれる時間幅の非常に短いスパイク状の電位を発生します。
これらのスパイクがニューロンの回路による情報の表現や伝達において、
重要な役割をはたしているものと思われます。
ニューロンという素子の信号処理の性質と、神経回路による計算がうまくかみ合うことで、
脳という生物システムの素晴らしい情報処理能力が生まれるのです。
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ここではニューロンの同期発火などについて説明されているが
解剖学や電気生理的な研究方法だけでは、何千、何万もある皮質ニューロンの配線パターンを
明らかにすることは難しいということで「神経回路」については何も説明がない。
そして「仮説主導型の研究が求められています。」で終わっている。
脳が情報処理を行っているとは言っても私たちが知っているレベルの情報処理とは
ハードウェア的にもソフトウェア的にも全く異なるものなのだろう。
「仮説」と言ってもそう簡単に出てくるわけでもない。
結局は私たちの知っている情報処理のレベルを上げていくしかアプローチの方法がないのでは
ないかと思う。