鳩ぽっぽダイアリー

鎌倉→北千住→千葉県在住。
いけばな(小原流:休止中、花朋の會:2018年4月~)。日々のできごとなど・・・

本『花僧』の感想

2009-02-13 22:53:55 | 今日のひとコマ
池坊専応の生涯を描いた歴史小説『花僧』。
(澤田ふじ子。中公文庫)

専応本人の日記があるわけではないようで、
情報源は高貴な身分の人の日記などの文献のようです。
幼少の頃や恋愛のエピソードは架空ですが、
楽しく読めました。
一番最後のとこは、電車の中で読んでいて
思わず目頭がツーンときてしまいました。

この本の良いところは、
登場人物それぞれがとても丁寧に書かれていること。
専応はもちろん、明蓮坊など味のある重要な人物が登場するのは
見所の1つ。
それと、歴史背景がよく反映されていて
当時の空気感が違和感なく真実味をもっていること。

惜しいのは、
花に関する専応の感覚や考えが書かれているものの、
テーマはあくまでも専応の波乱万丈な人生なので
それほど専門的には書かれていない点。
これは、いけばなをやっている自分の視点だけど。

花を立てること、生けることについて、
今いろんな写真や技法を見ることができますが、
当時の突き詰めた人の思想のようなものって
なかなか目にすることがないので
そういうのが現代語で詳しく書かれた本があれば
読みたいです。

本の中で専応は、
専ら人の為に花を立てました。
貴人の書院や広間、式典だけじゃなく、
京の貧しい町民のために竹を切って即席の花器を作って
自分が山で集めたり、町民から寄進された花を使って
気軽に生けています。
僧が立てた花は、苦しい人々や亡くなった人に仏の加護があるように
という祈りが込められていて、宗教的に人々を支えるパワーに
なっていました。
専応にとっても行うことが一番の修行。

花がただきれいなんではなく、何か不思議な力があるように
感じるのは、仏教徒でもない現代人の自分でもなんだけど、
それは生き生きした生命感があるからかも。
動物や赤ん坊を見たときのドキドキ感と似てるかな?

なんで、そういう生命感が失われないように
花を生けられたらいいです。


先日生けた菜の花が成長してます。
5センチは伸びたなぁ・・
木瓜は挿し木できるそうですので、
花が終わったら土に挿してみようと思います。

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1 コメント

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花僧 (nageire)
2009-02-14 21:25:27
自分も読みました。
本当に良い本ですよね。そして花を入れる
心が大切である事も・・・・・
花もそうですが、自然ってパワーの塊だと
つくづく思うのです。
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