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使い捨て時代

2014-04-17 15:25:16 | 日記

使い捨て時代

   友人から生け花展示会の案内状作成を依頼された、写真を100枚ばかり撮り、依頼者の気に入った写真を、葉

の裏面に印刷して、表面3分の1に日時 会場場所等の案内を印刷しようとしたところ、突如印刷機が故障、案内

発送に時間的余裕はなく、新しい印刷機を買ってきた、価額は10,800円、案内状送付に間に合うように、依頼

に渡し責任は果たした。
 

  壊れた印刷機を修理すべきか廃棄すべきか迷った、新規購入も壊れた印刷機もどちらもキャノン製、キャノンへ

電話した、保証期間が過ぎたものは修理代定額9,000円、やまと急便が受け取りに来て修理後配達付きで、修理

代金11,630円、新規購入品より高くなる、廃棄するかどうか迷ったが、新規に購入した印刷機にはない機能を

持っている、スペアが有れば亦何かあった時に有効かと修理を依頼した。

 

 修理するより新規に買った方が安い、それなら使い捨ての方が出費は少ない、増して価額が安く機能が進歩して

いれば使い捨てにした方が利口だし、懐にも優しい。

 
 戦前から戦後の国内は疲弊して物資不足は深刻だった、長年使い慣れた家財 家具 鍋釜に至る迄痛んだ所は

修理して使ったものである、50年も前に死語になった「鋳掛屋」と言う商売が有った、今50歳以下の人はこんな言

葉は知らないだろう、アルミ アルマイト 琺瑯等の鍋類 鉄鍋 羽釜等長年使いこむと穴が開く、穴が小さい時は脱

脂綿の先を細くして穴に通し火に掛け湯沸かしから煮物 ご飯も焚いた、脱脂綿など、火に掛けたら燃えてしまうだ

ろうと思うが、脱脂綿に水が沁み込んで燃えずに煮物が出来る、経験があると思うが旅館へ泊まると、紙を鍋にし

た鍋料理が出る事が有る、あれと同じ原理で、水分が適当に紙に沁み込み燃えないのと同じである。
 

  穴が小さい内はそんな事をして使っているが穴が大きくなると脱脂綿では用を足さなくなる、そこで「鋳掛屋」の

出番となる、小さい内ははんだで穴を埋めるが、大きくなると痛んだ所を大きく取り除き、同じ材料で穴埋めをするこ

れで亦数年は使える事になり、昔の人は物を修理し大切に使った。
 
  鋳掛屋は一月に一度くらい、その地区を回って来たと記憶する、呼び声は「イカケヤーア イカケ」だったと思う

地区を一通り声を掛けた後、軒下或いは路地の狭い空き地に店開きをする、三々五々修理の鍋釜を持って、人が

集まってくる、一日そこで商売をする訳でなく、振れ回った地区の人が一段落すると別な地区に移動す、そんな鋳

掛屋も50年以上前に姿を消した。
 

  戦後復興が始まり、物資が出回り始めると「3種の神器」と言われる、洗濯機 冷蔵庫 テレビ等電気製品が普及

したが高価な貴重品の為、おいそれと買い換える訳には行かず、故障すると電機屋を呼んで修理して使ったもので

ある、だが家電メーカーが研究を重ね、より使い易く より便利に より省エネに、良い製品が量産と他社と競争で、

より安く買えるようになり、高い修理代を払うより、買い換えた方が安上がりとなり、ここから使い捨て時代が始まっ

た。
 
  スーパーの食品棚には溢れんばかりに食品が並び、期限切れの食品は大量に廃棄処分される、衣料品は大手

販売店がこれでもかと商品を並べている、「飽食暖衣 禽獣に等し」と昔の諺に有る、世界には食料も 衣料品も 薬

品も学校教材まで侭ならぬ国もある、贅沢と感じてはいるが、こうしないと日本経済が廻って行かないのか、嘆かわ

しい時代である。