マドレーヌの日々

今日も一日にっこりね。

読んでみてね!「それからはスープのことばかり考えて暮した」

2013年12月03日 | TRCブックポータル & honto

 

 2006年12月6日、オンライン書店「honto」に書評投稿していました。

冬に読むのには、ほんと最高の一冊。もう、好きで好きで、たまらない一冊、です。

当時の全文そのままをご紹介、しますね。

 

 

「それからはスープのことばかり考えて暮した」(吉田篤弘著)

料理家の高山なおみさんがとても良い本ですよと紹介されていたのを見て、
無性に読みたくなりました。
なにしろタイトルにもスープと書いてある。
きっと美味しい美味しい本なんだろうな〜って。
吉田篤弘さんの本を読むのは初めてでした。
のっけから美味しそうなサンドイッチ屋さんが登場します。
読みながら、私は別の頭でここのサンドイッチ屋さんは名前をしっかり覚えていなくては。
いつかチャンスがあったら食べたいから〜とメモまでする気でした。
なぜだか疑うことなくエッセイだと思って読んでいたのです。
しかし、途中でこれはエッセイじゃないよな小説だよなと
別の頭が言い出して、
確かにそうだよ、小説だよと読みながら思ったのでした。
そのサンドイッチ屋さんの名前は「トワロ」。
テイクアウト用の茶色の袋には数字の「3」。
主人公のオーリィ君は仕事を探している最中の青年です。
オーリィ君は大里君なわけで、オーリィー君と呼び出したのは
大里君のアパートの大家さん。
この大家さんが、その名も大屋さんで、
こんな楽しいが、随所にちらばっています。
サンドイッチ屋の「トワロ」の名づけ理由も読んでいて
「へへ〜っ、おもしろいの」なんて独り言が出たぐらい。
オーリィ君はこのサンドイッチ屋さんのサンドイッチにほれ込み、
そこのご主人やその息子さんとも
次第に濃い付き合いとなっていきます。
もちろん気になるスープの話は途中から出てきます。
オーリィ君が足繁く通う映画館での小さな出来事や
そこでいつも出会う気になる人のことも、
すべてが愛おしい感じです。
とにかくこの小説に関しては
なんと言うか、
もう好きとしか言えない世界です。
こんなふうに読んでいてしみじみ幸せになれる本に出合うと、
おおげさではなくて、
生きていて良かったなぁとまで思います。
そろそろ今年の読んだ本マイベスト5を決める時期なのですが、
今はこの本しか思い浮かばないくらい、
惚れ込んでます。
「本当に何もない家でしょう?
わたしはね、食べることと、お昼寝と、本を読むことだけ。
その他には何もいらないの」
心に残ったセリフの1つ。いいなぁ、こんな暮らし。

 

私は当時、「暮らしの手帖社」刊のを読みましたが、今は文庫本でも出ているようですね。

コメント (4)
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