このところ、本を読むのに気になる人が多くて、
田辺聖子さんはじっくり付き合う人として別格で、
最近急に浮上してきたのがこの二人なのです。
庄野潤三さんと開高健さん!
開高さんは先日、NHKの週刊ブックレビューで没20年の特集をしていて、
たちまちのめり込んでしまった。
で、手に取ったのが『人とこの世界 』( 河出書房新社)でした。
著者の開高健さんは言うところの「文章による肖像画集と呼ぶべき性質のもの。」
武田泰淳氏、金子光晴氏、深沢七郎氏、井伏鱒二氏、田村隆一氏…などなど、まだ若かりし頃の開高さんが、大物の、その懐の大きさに飛び込むようにして、インタビューに挑んだ一冊、です。
私としては、やはり井伏鱒二さんのところが一番気になる。
「中央線沿線ならどこにでもありそうな、昭和初期に建てた古さをあちらこちらに見せている、庭に木のある家である。木がおびただしいので家がすっかりかくれて見える。朽ちたような感じの門柱に一枚の名刺が張りつけてある。門標はない。名刺はよれよれになって反ったままになっていて、マジックか何かで、めんどうくさそうに”井伏”と書いたきりである。」
冒頭の文章で、私も井伏家に同行した気分になった。うなるほど、いい。
そして、井伏さんと言えば、『飾りらしい飾りの何もない、簡素そのものの仕事部屋らしき部屋に、和服を着て掘りゴタツに入っている。「オーバーを着たまままで」』でいるのだ。
ありのままが書いてある。そのなんとユーモラスなこと。
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