太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

太陽電池盗難の歴史

2016-02-28 23:36:21 | 仕事に関すること

今時日本でやる?とも思うし、銅の国際相場が急騰しているとも聞きかないのに報道によるとメガソーラーのケーブル盗難が結構起こっているらしい。立地場所が人里離れていること、夜間は発電していないので高圧、高電流の危険も無いため盗みやすいのかも知れないがケーブルを切ったり、重いものを運ぶ手間を考えれば割の良い盗みとも思えない。昼間の発電している時は安全も兼ねて遠隔監視をしている所が多いが夜間はそれほど注意が払われていないのかも知れない。最近では工期のかかるメガソーラーでは工事期間中に資機材の盗難を防ぐための防犯カメラのシステム(商品化されている)を設置しているところもあるのだが。

太陽電池の盗難事件は意外と古い。30年くらい前、今ほど太陽電池が世に知られていないとき、南アフリカの警察関係の設備(赤色灯や無線機あるいは僻地ポリボックスの証明などの電源用)に太陽電池を相当出荷したが、パネルが盗まれ、ブラックマーケットで売られる事態が相次いだ。勿論盗人は太陽電池のことを良く知ってのことである。多分日本だったら、これ何?と思われた時代である。現地からはパネルのラミネート(ガラスの内側の透明樹脂の中)に警察の物であるというラベルを挟んでくれないかという提案があった。マーケットで直ぐに分かるようにとのことである。工程を変えることはコストアップになり、特定の客先向けは在庫管理も難しく、挟みこむラベルが剥離とかしないかとか色々問題があり実現しなかったが。

20年くらい前に、パキスタンに設置した当時としては大型のシステムが設置後10年経過したのでフォローアップに行った。2か所の村落電化の内一つはケーブルが殆ど切られて無くなっていた。不思議なのは何に使うのか端子BOXのプラスチックの蓋が無くなっていたりした。パネルは石か何かでガラスが割られているものもああったが外して盗んだ跡は無い。多分自分達で(価値が)分かる物だけを盗んだのであろう(念のためもう一方の村は監視員が常駐しており、10年経っても見事にシステムを使いこなしていた)。

同じ頃だろうか日本ではデリニエーター(バリアフラッシャーとも言い道路沿いに設置され自発光でピカピカ光るやつ)が盗まれる事件が相次ぎ保険会社が根を上げたことがある。山間部の曲がりくねった道沿いとかへの設置が多く、車で通りかかって興味本位で盗んだのであろう。

報道ではフェンスの網を切りとか手口を書いてあったが、実は太陽電池がフェンスを守っていた時期もあった。やはり30年くらい前だったが、ある計測器メーカーに5Wとかの小さなパネルを沢山出荷した。パネルだけの注文で何に使われるのか全く分からなかったが、聞く所では原子力発電所のフェンスにパネルと小さな蓄電池を組み合わせて赤外線センサーによる防犯(侵入)システムの電源としているとのこと。赤外線のために電源線を引っ張る必要もないし、侵入者も切断箇所が分からないとのこと。これは同時期高圧鉄塔の周りのセンサー電源としても使われた。基本は蓄電池を併用した独立型システムだが防犯にも大いに役だった時代がある。

流石に日本ではパネルをブラックマーケットに流すことはできないが、マンホールの蓋やハウスのイチゴ、納屋の米俵まで盗まれることを思うと安心もしていられない。効果の程は分からないが、我が家でもガレージから愛車が盗まれたのを機に人センサーのついた照明器を設置した。こちらは乾電池で結構長持ちするのだが、メガソーラーを売りながら欲どおしいとは思うが小型のパネルとセットになった防犯センサーも一緒に買って貰えたらメーカーも嬉しい。実は製品の性質上、あまり言えないが実に多くの小型パネルが身近に設置されている。残念なことは殆どが海外パネルだと思う(日本は大型パネルの量産に特化)。

ひとつだけ注意。私の居たところでは敷地周囲にやはり赤外線を張り巡らせ電源にパネルを使っていたが(30年も作動していた)時々大型の鳥(カラスだろう)が赤外線を横切り(遮断)その都度セコムが飛んでくるという始末であった。用心に越したことはないが、メガソーラーでは無駄足にならないように防犯システムを組まないとシステムコストに警備代が入ってしまう。



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