太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

化石社説

2020-07-04 08:31:25 | 仕事に関すること

経産大臣が非効率な石炭火力を休廃止する方針を出した。脱炭素に向かう国際的な流れに沿うものだ。何度となくCOPの会議で温暖化対策に消極的な日本に対しNGOからは不名誉な「化石賞」なるものを頂戴してきた。対象となるのは非効率型の石炭火力で114基で2018年度実績では石炭火力発電量の約55%を賄っている(石炭火力全体では発電量の32%を占めている)。それを補うためにも再エネの主力電源化を目指して行くとある。そのため再エネ電力を送電網に優先的に流すルールの整備も行うとのこと。      記憶が正しければ日本の再エネの系統連系については「優先接続」が保証されている。しかしこの「優先」が眉唾である。送電線をバスに喩えて見よう。バスに乗りたい(並列とよばれる電気が送電線に送れる状態)と思って再エネと石炭火力が乗車口で競っていたら再エネが先ですよと言われる。ただしバスが満員で乗れませんよと断られる時もある。まだ座席は空いているではないかと文句を言うと、「いつ乗るか分からない原発さんの予約席です。」と言い反される。諦めて次のバスを待つ。幸い乗れたとしても今度は「混み合ってきたから重要?な客が乗れなくなるので少し降りて下さい!」と叱られる。この時比較的優先的に降ろされるのが素行が悪いという烙印を押された再エネが降ろされる。日本の「優先」は乗る場合だけの一方通行であり、ヨーロッパの場合は優先的に乗り続ける(メリットオーダー)両方向の優先である。                           原発推進派の大手新聞マスコミはこの機を逃がさない。社説の結びで「・・・太陽光や風力などの再エネの主力電源化を急ぐという。だが時間帯や天候で出力が大きく変動し、不安定だ。・・・・温暖化防止と安定供給を両立して行くには原発の活用が欠かせない。CO2を排出せず、出力が安定している。・・・・石炭火力の削減を決断した以上、政府が責任を持って原発の再稼働を後押しする必要がある。」もう化石社説と言わざるを得ない。転んでもただでは起きないとはこのことだろう。安定供給といっても定期点検で必ず100万KW程度が休止(解列)する。出力は安定であっても負荷に合わせて出力を変動させる必要があるが原発にはできない。その意味では不器用な電源である。                          どの電源にも長所短所があってその為にベストミックスという言葉がある。出力調整可能なガス火力と変動型再エネが一体となって運用されれば天候云々は言えなくなる。かと言ってベストミックスという全体最適を言っても個別事業者は何をすれば良いか分からない。パートナーに頼る時期はあっても最終的には部分最適を目指さなければならない。昔ブログに書いたが変動型再エネは蓄電(あるいは築エネ)設備を持つ。都心は郊外に建築する高層の蓄電ビルだ。利用率の悪い有休設備になるという話もあるだろう。系統連系が始まる前の太陽電池は独立システムという蓄電池を並列接続し浮動充電を行っていた。発電(日照)不足の時は蓄電池と太陽電池の両方から給電し、夜間は蓄電池の放電に頼る。蓄電池は休む暇もない働きである。有識者で無いから無責任な発言もできる。脱石炭により専門家会議も召集されるようだ。今のエネルギー基本計画策定に携わった先生が過去と全く意見が異なったとしても変心歓迎である。事務局の書いたシナリオ通りの発言しかしな大学教授より相当マシである。



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