太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

複雑に考え過ぎる太陽電池

2020-06-20 07:54:48 | 仕事に関すること

業界団体から機関誌が贈られてきた。年刊誌だが内容には力が入っている。最新の1年間の業界動静、考え方が分るので大変参考になる。しかしちょっと気になるのは会員限定配布とは云え少し難解ではないかと思うことである。反面、リタイアして5年も経つとこちらが時代について行っていないのは当たり前で簡単に理解できるようでは世の中が進歩していないことになるとも思う。何時までもこちらが最先端であるわけが無いと分かってはいるが少々さみしい感じもする。

機関誌が配布されるのは会員企業宛で、かってはセル・モジュールメーカーが主体であったが今は販売・施工が圧倒的に多い。それでも多分業界のオピニオンリーダーは未だにセル/モジュールメーカーだろうが外資系のメーカーが圧倒的に多い。機関誌であるからにはアドボカシー(advocacy)「社会問題に対処するために政府や自治体及びそれに準ずる機関に影響をもたらし、公共政策の形成及び変容を促すことを目的とした活動」の意味合いも含むのだろうが外資系ということで多少の遠慮も含まれているのかおとなしい感じがする。

業界団体が太陽光発電の普及促進を目指すなら会員のマジョリティである販売・施工業者がもっと前面に出ても良いように思うが、サプライチェーンから言うとどうしても受け身になり主体になり難い。業界の主役が川下に移りつつあるが残念ながら我々が担うという役者はまだ現れていない。誰も役を引き受けないならメーカーが暫く頑張るしかない。業容は川下には何処までも延伸できるが川下から上流を目指す場合電力・エネルギーまでが限界でメーカーになる例は無い。

メーカーが主役足り得なくなったのは太陽光発電技術のコモディティ化にあるとよく言われる。最新の技術でペロブスカイト太陽電池が紹介されているが「太陽電池」の発電原理は「荷電子制御(電子をうまく外部回路に取り出す)」という単純なものであり新型でも同じである。この単純原理により誰でも手に入れられる技術がコモディティ化を促した。時代は完全に作り方から使い方に移っているが機関誌にも紹介されているように結構複雑である。迷った時は今一度「太陽電池で何ができるか、どのような生活ができるか」という単純な基本に立ち返ってみるのも手である。あの巨大な長期滞在型の国際宇宙ステーション(ISS)は264KWの太陽電池と蓄電池で電力供給の全てを賄っている。こういう場合はこういう生活様式を、こういう電力供給社会をという提案もあっても良いのではと思う。勿論平和で安定した社会の延長上に描けるに越したことはないが自然災害やコロナウィルスは、もしインフラを維持する人が居なかったらという場面を容易に想像させる。新しい社会に単純原理で立ち向かう知恵も要るのではないだろうか。



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