秋は突然やってきた。こんな所に咲くか彼岸花である。猛暑が続く中この到来を予測した天気予報はあっただろうか。よく当たる天気予報も見通せなかったように思う。医者の悲観的な診断のように当たらないことがラッキーということもあるから許してあげよう。
「コーデ」最近よく見かけるネット記事の見出し。知らない言葉に出会うと捨て置けない性分でネットで調べた。コーディネイト(coordinate)を短くした言葉である。主にファッションに用いられ服装やアクセサリーなどの素材や色のバランスを考え調和を取ることのようだ。若者言葉のようだが例はこんなもんだろうか。
今日は次男坊のバカ息子に手の込んだ弁当でも作ってSNSにアップするかと張り切る。レシピはネットにあるだろう。ウィンナーと卵焼き、唐揚げが入っていれば大喜びする息子だが偶にはいいか。それならちょっと買い物に行かないと。しかし普段着がない。若い頃は随分無理して高級な衣服ばかりを揃えたがスーパーに行くには無理があるけど仕方ない。これがネットニュースになると「久し振りにスーパーで見かけた○○さん。買い物に出掛けたようだが流石にコーデ(coordinate)は元芸能人、こんな所に咲くかでセンスの良さは変わらない。」となる。
続けてSNSにアップされた手作り弁当(反対語はコンビニ弁当?)「美味しそうプロ並みである。こんな弁当を作って貰える子供さんは幸せ」となる。それにしても輪を掛けてバカ息子の長男は今頃どうしているだろう。厳しい日本の競争社会で落ちこぼれるのはプライドが許さない。主人だって少しは名が売れているし。金だけで入れるアメリカの全寮制の学校に入れたがどうしているだろうか。世間ではアメリカ留学と言われ恰好はついているが卒業して日本に帰ったら「留学」の成果が問われる。親の名前はできるだけ伏せておくのが親孝行というものだ。その頃長男は昔の母親の弁当を思い出して、こんな旨いものがあるのかとファーストフード漬けだった。出来の悪い子供の将来まで纏めてコーディネート(ここでは物事を調整する意)しなければならない有名(芸能)人の方々、TVの華やかな世界から退いてからも大変である。コーデという言葉を見掛けたら裏には物凄く背伸びした努力が隠されていると思って間違いない。言葉の裏読みも愉快である。
「手造り」と言う言葉は機械で大量に作るほど売れないから手造り。三代注ぎ足し注ぎ足しで守る秘伝のタレは科学的には毎日成分が変わっている筈。100億個の乳酸菌は誰も確認していない。格安スマホだがカメラの画素数は1300万画素、数えてはいないが1個くらい潰れて12,999,999画素かも知れない。逃がしたクロダイは50㎝以上あったと言っても確認のしようがなく嘘とは言えない。言葉が持つイメージは大切である。インスタントラーメンで好きな「サッポロ一番」は「サッポロで一番」としたら何か問題があるだろうか。札幌だけでバカ売れ?
カーンさんは小さな靴屋を営んでいる。最近は客足も減り商売は厳しくなる一方。悪い事に右隣に「ヨーローッパ一の靴屋」の看板を掲げた店ができた。悪い事は続き今度は左隣に「世界一の靴屋」と看板を掲げた靴屋が出来た。カーンさんは思案の末「この村一の靴屋」と掲げた。これは普通の小咄です。フランス小咄の正解は「入口はココ!」です。言葉は遣いようだ。