11月には久し振りに関西に行く用事があり両親の墓参りに行って来ようと思っている。10年近く墓参りにも行っていない。姉妹は関西に住んでおりどちらも既に夫婦二人暮らしになっている。墓参りに誘おうと思ったがそれぞれ都合もあるだろうから邪魔はしたくないとう思いもあった。しかしやはり10年近く会っていないし、3人きょうだいも年が行って姉は既に後期高齢者だ。これから先顔を揃えるのも難しくなるかも知れないと思いまず姉に連絡する。昔から口達者できょうだいの中でもリーダー格だから無視はできない。電話をかけたら開口一番「私らは年に2回は必ず墓参りには行ってるよ、妹だってお墓に近いから草刈りとかしょっちゅう行ってるし。」とまず小言だ。「こっちだってお墓の永代使用料は毎年役所に納めているよ。」と意味のない反論をする。「そんなん長男やから当たり前やないの。あんたもあの墓に入るんやろ、私ら別の墓やで」と厳しい反撃を喰らう。「まあ妹のところには連絡しとくは」で終わった。
電話がかかって来て「午前中に墓参りをして昼は妹のところで食べよう、何か取ると言ってたで。それから夜は私の所に泊り、帰り京都に出るのは便利やろ。」ともう計画は出来上がっていた。この姉だけは小さい頃から口でも頭でも負けていた。妹は無口な方であまり多くは喋らない。それでも最後は大学の講師までしたのだから世間ではそれなりなのだろう。姉は若い頃一級建築士の資格を取り女性では珍しいと言われていた。それを仕事に生かすでもなく、年が行ってから「あんた男で得やなあ、主婦なんてつまらんで、別の生き方もあったかも知れん。」と愚痴っていた。こつこつ外で働き続けた妹へのやっかみがあったかも知れない。今は太極拳の先生をしている。この前半月板を損傷したとのこと。「若くもないしもう無理と違う」と言ったら「何言うてんの100まで生きるで」「旦那さんはどうしてるの。もうすぐ80やろ、認知症は?」「バリバリ冴えてるで、食事の後で妹の家からあんたらを家まで車に乗せると言ってるで」「大丈夫かいな、こっちが運転してもいいけど」「心配ない、運転もむちゃくちゃ上手い」何にしても皆元気そうで良かった。二日間くらいは楽しく過ごせるとは思うがもしこの姉が近所に住んでいたら煩くて結構しんどい生活になっていたと思う。姉妹の中の力関係は決して他人には見せられない。これでも部下の間では強面で通り世界を飛び回って仕事もやった、業界でもそれなりに知られていたと思う。しかし姉妹はそんな事など知らない。言ったところでせんないこと。相手の土俵で相撲をとるしかない。何はともあれ皆元気で過していることをまず喜ばなければ。何かあっても直ぐには駆けつけられないことを何時も気にしている。