株価だけがV字回復している。いまやこれをアベノミクスの果実と言う人は居ないだろうが株価が上がること自体は保有株式の評価益が生まれるので悪い事ではない。一方実体経済との乖離に釈然としないのは持たざる者の僻みか。もし景気回復を期待しての買いなら景気回復は簡単である。大盤振る舞いの赤字国債を発行すれば良い事になる。どう考えても長期的には景気は悪化する。カンフル剤が効いている間は良いがコロナによるダメージはこれから顕在化するだろう。素人は99%ポジティブな予測をする証券アナリストのいう事を真に受けてはならない。
国会ではコロナ対策で議論がなされているが中でも持続化給付金の委託を巡る透明性が問われている。マスコミの伝え方はある社団法人をトンネル会社として事業の大半を担う再委託先大手企業電通が中抜き(キックバックか)をしているかのようである。しかし事はそう単純でもなければとんでもない悪事が行われているとは思えない。似たような補助金事業を業界団体で受託した経験からすると補助金事業の委託で大儲けできるとは思えない。元を糺せば補助金という税金を扱う訳だからちょっとしたミス(1円の無駄)も許されない。住宅用の補助金事業であったが何百億円という金が動き、通常の事業規模が1億円くらいの団体には不相応の事業であったこと。もしミスが起これば団体の存亡に関わる。しかし太陽光発電に関しては最も経験があったことから公募には応じて入札には参加してくれとの天の声があった。もし公募に応じる団体がなければ補助金執行ができないので補助制度自体が無くなるという危惧もあった。事業計画書を作成し応札したら落札してしまった。計画書の段階から団体への利益は計上できず全ての経費はエビデンスが必要で唯一一般管理費だけがエビデンス不要だったがこれとて利益ではない。唯一得られる果実は国の補助金の執行団体になったことによる信用と箔が付く、補助金制度自体は太陽光発電の普及に資するということだった。
勿論事業に関わる会計は特別会計として別通帳で扱い、事業が適正に行われたかどうか事後厳しい会計検査も行われた。団体は補助金の振り込みも審査も行っていたので事業年度によっては何百億円も振り込まれ通帳に記載された。勿論年度終わりあるいは途中で補助金が使い果たされ通帳は基本残高ゼロになる。一度記載されて通帳を見てみたいと言ったが拒否された。今回再委託先の電通が補助金の振り込み団体になると何兆円もの金が振り込まれ貸借対照表上困ると言った理由はなんとなく分る。事業規模(数兆円)と実際に動く金(事務処理費)は違う。このところ労働問題で物議を醸している電通で肩を持つ気はないがスピン・コントロールのようなマスコミの伝え方には問題がある。蛇足だが国は事業を直接行うことはできない。予算措置をしても自らは執行団体になれない(一部はあるかも)。当然委託先が必要となるが、急な予算措置や年度末に残った予算は何とか消化しなければならず、無理してでも受託してくれるしかも一流企業は必要だ。思い出すのはM菱総研、短期間にそれなりの調査報告を出してくれるので重宝された。大胆予想だが、トンネルに幽霊が出るようなことにはならないだろう。もしそうだとすると余りに単純過ぎる。