「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

当ブログの「カタールW杯日本代表に対する思いについての総括」

2022年12月17日 18時03分43秒 | サッカー日本代表
2022年カタールW杯も、いよいよ三決戦と決勝を残すだけとなりました。決勝のフランスvsアルゼンチン戦は、今大会でもっとも華のあるカードと言えます。

メッシが悲願の優勝を果たせるか、現在、最高レベルにあるフランスが連覇を果たすか、結果は神のみぞ知る、あまり物議を醸すような場面のない、すっきりした試合になって欲しいと願うばかりです。

そんな中、我らが森保ジャパンは戦いを終え、さまざまなメディア出演などを通じて、今大会を振り返り次にどうつなげるかを語っています。

当ブログは、大会前、グループリーグの対戦相手である、ドイツ、スペインとの戦いで、勝てないまでも十分守り切る力があり、それほど悲観したものではありません、というスタンスでした。

このうち、各ポジションの構成については、当方の見立てが少し違っていた部分があり、何人かの選手には「申し訳ありませんでした」と申しあげなければなりません。

まずGK、当ブログはシュミット・ダニエル選手がいいのではと感じていて「権田選手なのか、シュミット・ダニエル選手なのかわかりませんが」とボカしていました。けれども森保監督のチョイスはこれまでの序列どおり権田修一選手でした。

その権田選手、ドイツ戦、スペイン戦のマンオブザマッチに選出されたのですから脱帽です。川口能活選手や川島永嗣選手のように闘志が前面に出るタイプではありませんが、その分、冷静沈着、たとえミスしても引きずらないメンタル、見事でした。

次にDF陣、まず私の知識不足はキャプテン・吉田麻也選手の高さでした。冨安選手や板倉選手に比べて高さがないと思い込んでいたところに当方の基本的な誤りがありました。

十分に高さのあるキャプテン・吉田麻也選手の経験、リーダーシップ、身体能力は守りの要として欠かせない存在でした。大会前、当ブログは「冨安選手、板倉選手のどちらかがケガで間に合わなければ、吉田麻也選手で行くしかない」というスタンスでしたが誤りでした。

今大会、逆に吉田選手を要として板倉選手、冨安選手そして谷口彰悟選手が、入れ替わり組み合わさって構成した最終ラインは、これまでのどの大会よりも安定感のある布陣で、惚れ惚れするぐらいの仕事をしてくれました。

日本代表のDF陣もここまで来たか、という感慨にも似たものを感じました。

そしてMF陣、特筆すべきは遠藤航選手と守田英正選手が組むボランチです。この二人がいてこそ日本の守りが支えられたと言えます。

このどちらかが出られない場面では鎌田大地選手が入っていました。鎌田選手がこのポジションも十分こなせることをあまり知らなかった当ブログは「大丈夫なのかしら」と見ていましたが海外クラブの評価は上がったようです。

今大会、鎌田選手はトップ下のポジションでスタメンでしたから多くのファンが得点に絡む活躍を期待したでしょうし、その点では本人も不本意だったかも知れません。
ただ当ブログは、鎌田選手の4年後、今大会のグリーズマン選手のような、攻守にわたる、まさに司令塔として試合を支配できる選手への成長を期待したいと思います。

最後は前線の選手について、当ブログは以前の書き込みで「森保監督が記者団の質問に答えて『FW陣にはW杯経験者が一人もいないが、彼らが、このW杯で何かをやってのけたいという野心を持っており、それに期待したい』と述べました。

まさに、そのとおりだと思います。当ブログでは以前から、守備陣がベストコンディションで臨めば、持ちこたえる可能性はあるので、あとは前線の誰かが、あっと驚くようなことをしてくれることを期待するしかありませんと、考えています。」と書きました。

その「前線の誰かが、あっと驚くようなこと」を堂安選手が、そして浅野拓磨選手、三笘薫選手、田中碧選手、前田大然選手がやってのけたということになります。森保監督は「経験のある選手ではなく経験はないけれど野心に満ちている選手」を選択しましたが、見事に、それに応えてくれたと思います。

「あっと驚くようなこと」をやってのけた要因は、野心を持った選手をチョイスしただけではありません。その選手たちの沸々たるエネルギーがMAXになったところでピッチに解き放つ、絶妙のタイミングでカードを切ったという点でも見事だったと思います。

すなわち監督の「ここだ」というタイミングと選手たちの「いまこそ」というタイミングが見事にシンクロしたことによって生み出された結果でもあります。

このシンクロ感がなければ、実は「笛吹けど踊らず」状態になり、結果は付いてこないのです。多くの監督がうまくいかないのが、このシンクロ感を見極めるという点です。

森保監督の場合、1度だけ、そのシンクロ感がずれてしまった場面がありました。ベスト8を賭けて戦ったクロアチア戦、同点にされた時が選手と監督の思いがシンクロするタイミングだったと思います。

あそこで監督は9分ほど時間を空けました。それによって投入される筈の選手もピッチにいる選手も「さて、どうなるのだろう」と真空状態になってしまいましたが、同点にされてすぐ間髪を入れず投入していれば全員が「よし、また取りに行くぞ、取るぞ」という気持ちの切り替えができたのではないでしょうか。

あの9分間が、監督と選手の思いがシンクロせずに、選手たちのエネルギーをMAXに仕切れなかった唯一の采配の迷いだったように思います。

若い選手たちの野心に期待して、それを結果に結びつけるためには、監督の用兵を通じて選手のエネルギーをMAXに引き出す監督と選手の思いのシンクロ感が欠かせないと痛感させられました。森保監督はドイツ、スペインを撃破する采配を通じて、それを見事に成し遂げ、全世界から高い評価を受けました。

よく、交代選手が結果を出し「監督の采配ズバリ」と称賛を浴びますが、それは交代時期が、まさに選手のエネルギーをMAXに引き出すタイミングとシンクロしたからにほかなりません。

名将と言われる監督たちは、それを、どの場面でも冷静に的確に間違いなく決断して、結果を残してきた人たちです。森保監督も、その資質と可能性をもった楽しみな監督です。

日本代表監督が、野心に満ちた若い選手に期待する考え方は、小野伸二選手や本田圭佑選手を抜擢した岡田武史監督の時から引き継がれているスタンスですが、今後の代表監督も継承して欲しいと思います。

前線の選手でもう一人コメントしておきたい選手に伊東純也選手がいます。今大会、守りでの奮闘が目立った分、点に絡む場面を作れなかったことについて、鎌田選手同様、不本意だったことと思います。

当ブログは、縦へのスピードもさることながら、強引にカットインしてベナルティエリアに持ち込む数が少なかったように感じていて、なぜなんだろうと思いました。やはり守りを意識するあまり自重ぎみにプレーしていたのかなと思いながら。

同じことは久保建英選手にも感じました。守りへの貢献を意識しすぎてはいなかっただろうかと。

さぁ、そして、今後のことですが、クロアチア戦のあとの最後の夕食の場で、選手たちから出された声が「ドイツ、スペインに勝ったものの、それは守り勝ったというだけのことで、将来につながる勝ち方ではないと思う。やはり日本として攻めて勝ち切るパターンを構築しないと、次には進めないと思う」というものでした。

そして多くのサッカー評論家たちも同様の意見を述べています。しからば、それを求めていった場合の落とし穴について、過去の大会を知るベテラン選手たちが、その食事の場で正鵠を射た話を出したそうです。

すなわち「2010年南ア大会も守りを固めてグループリーグを突破したものの、攻めのパターンを持たなかったためにベスト16どまりになった。そこで攻めを重視する戦いに軸足をおいた結果、2014年ブラジル大会は1勝もできなかった」と。

そういった話し合いの帰結として、やはり、しっかりした守りの基盤を持った上で攻めの形をどう作るかというふうに次の4年を使おう、ということになったそうです。

選手たちは、しっかりと次にやるべきことを整理して前を向ける状況になったと言えます。
そうなった時、当ブログが心配するのは、やはり監督を誰に託すべきかという明確な道筋が見えないことです。

しっかりした守りの基盤を持った上で攻めの形を作れる監督さんとは誰なのか、森保さんなのか、他の日本人、あるいは外国人監督なのか、収れんしないまま誰かに決まる感じがして怖さを感じています。

森保監督の今大会における采配を通じて明確になったことは、全員が守りにハードワークをすることが必須であり、攻めの形という点については、フレッシュな状態の両サイドからの崩しに頼るという戦術です。

例えば日本人で最高のプレースキッカーをチョイスして、デザインされたセットプレーを持つといった点が疎かになったことは否めません。
またポストプレーヤーを使わなかったことも戦術の幅を狭めたと思います。森保監督が続投した場合、それらを改善する戦術転換があるかどうか、です。

一方、他の監督になった場合、これまで積み上げてきたものが瓦解しないかどうかという懸念があります。なかなか難しい問題です。

最後の課題は、やはり個のレベルの部分でしょう。メッシやエムバペのようなスーパーな選手とは言わないまでも、前線から一列下がった位置で新境地を開いたグリーズマン選手のように、この4年の間に「大化け」してくれる選手が2人か3人は欲しいところです。鎌田大地選手が、その一人になって欲しいという点は、すでに書いたとおりです。

次回大会、日本が出場権を失うことは、まず考えられないアジア枠になりましたが、その分グループリーグ突破の難しさは増すと言われています。

歴史上初めて2大会連続でグループリーグを突破した日本代表には、国内から「グループリーグを突破して当たり前」という風潮が醸し出されることは間違いありません。

つまり「あとはどこまで勝ち上がれるのか」という風に要求基準が上がったとも言えます。そうは言っても、いざ大会前になれば「いかにしてグループリーグを突破するか」の議論に花が咲き、また1試合ごとに日本列島が一喜一憂するでしょう。

そうやって「日本におけるサッカー文化」が大会を重ねるごとに深く厚みを増していきます。今大会も、スペイン戦とベスト16クロアチア戦をフジテレビが放映したこともあり、フジテレビを中心に民放のW杯サッカー露出ぶりは、まさに4年ぶりの喧騒状態でした。

2002年日韓大会あたりから形作られたワイドショーやニュースショーでのW杯サッカーの番組パターンが4年に一度復活するという感じです。

一つだけ違うのが専門的な解説をしたりコメントするサッカー関係者が、大会を重ねるごとに多彩になってきて楽しい限りです。

また今大会はネット配信による試合が大幅に増え、本田圭佑氏(氏と付けるのにまだ慣れていませんが)がネット配信の解説で出番が多かったということで、その活躍ぶりがテレビで取り上げられたりSNSで話題になるなど、新たな時代に入ったことを実感させられました。

そんなことを思いつつ、当ブログとして「今大会の総括」としたいと思います。

さる12月6日の書き込みでも申し上げましたが、この年末をもって、試合や番組等映像の新規録画保存、スポーツ紙・サッカー雑誌等の収集保存は区切りにします。

したがって、旬のネタで当ブログに書き込みする場面は激減するかも知れません。やはり年々歳々、情報量が少ないまま書き込みをして、トンチンカンな中身にしてしまうリスクが高まっています。
本日のブログでも吉田麻也選手の高さを見誤っていましたし、前回の書き込みでもフランス代表選手の主力でケガのため出られない選手の情報を持たないまま、ということがありました。

やはり旬のネタに関する情報を十分持たないまま書き込むのは危険だと痛感しています。
これからの書き込みの中心は、現在進めている「サッカー文化フォーラム」のwebサイト「ようこそ、サッカーの世界へ」に盛り込むコンテンツのための基礎データのデジタル化そしてデータベース作り、さらにはテキスト作成の過程で感じたこと、再発見したことが中心になると思います。

一例をあげますと、今回、カタール・ドーハで行なわれた試合で、過去に味わった「ドーハの悲劇」を「ドーハの歓喜」に変えたわけですが「ドーハの悲劇」というフレーズが最初にメディアに現れたのを見つけました、というような具合です。

これは日をあらためて書き込みしたいと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする