「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

日本代表戦の余韻、最後の楽しみはNumber誌

2017年09月09日 18時36分16秒 | サッカー選手応援
豪州戦、サウジ戦と続いた日本代表2連戦、テレビ、ネット、スポーツ紙と余韻を楽しみ、そろそろ終息かなというところにNumber誌臨時増刊号が出ました。

「ハリルホジッチと27人の男たち」表紙の印字は小さかったのですが、27人全員を取り上げた記事、そして巻頭を「ヴァイッド・ハリルホジッチの勝利」という二宮寿朗氏のレポートが飾っています。


before 日本代表2連戦 after

ハリル監督は、アギーレ前監督の辞任を受けて、いわばピンチヒッター的に登板して、ロシアW杯出場権獲得という難しいミッションを成功させました。

Number誌の特集記事を読みながら、私自身は、この1年間、ハリル監督について、どう見てきたのか振り返ることにしました。

まず昨年10月8日の書き込み、3日前にイラク戦を辛くも勝った日本代表、次のアウェー・豪州戦を前にこう指摘していました。再録が少し長くなりますが、ご容赦ください。

「ハリルホジッチ監督の命運という点では、オーストラリア戦での引き分けが最低条件でしょう。負けたら終わりにしましょう。但し、私は、引き分けても本田選手をスタメンで使ったら監督更迭、スタメンで使わずに引き分けたら続投でもいいと思います。

とにかく世代交代の意図を明確にしてもらわないと、もたないということです。(中略)さて、11日のオーストラリア戦、私は監督更迭に向かう公算が大きいと見ています。ハリルホジッチ監督は、アギーレ監督の後を引き継いで、時間のない中最終予選を迎えているという気の毒な面があります。ある意味、運が悪いとも言えます。

日本代表が一時の勢いを失って、後に続く選手の底上げがない中、中東をはじめ他の国が力をつけてきており、それこそ成長曲線では日本が下降局面、中東諸国が上昇局面、すでに幾つかの国は、日本の力を上回るところまで成長している感じがします。

そういう中で、したたかにW杯出場権をつかむには、各選手の伸び具合や国際試合への向き不向きを的確に見極め、その選手たちをどう配置してチームとしての力を高めるか、まさに監督の腕の見せ所にほかなりません。

その意味で、ハリルホジッチ監督に、そこまで求めるのは酷なのかも知れません。

かつてのボラ・ミルティノビッチ監督、そしてフース・ヒディング監督といった人たちは、そこで確実な仕事をした人たちです。

日本にもたった一人ですが、そういう監督がいます。岡田武史監督その人です。私は、またぞろ岡田さんに頭を下げて、ご登板願わなければならないと思っています。

「また岡チャンかよ、困った時の岡チャン頼み、日本にはそれしかないのかよ」と、国内はもとより海外メディアからも、こっぴどく叩かれそうです。

(中略)日本協会は、打診をしているのでしょうか? 打診どころか三顧の礼をもって口説き落とさなければならないところまで来ていると思います。ハリルホジッチ監督が次のオーストラリア戦で世代交代をキチンとした上で引き分け以上の結果を残さなければ、更迭しかないのですから。

私は、そういう思いで11日を迎えようと思います。」

以上が昨年10月8日の書き込みです。
アウェーの豪州戦を前に、もうハリル監督ではダメだという気持ちになっています。しかし、豪州に引き分けたものの、世代交代の声は無視されました。

メディアでは監督交代論が高まり、次のサウジ戦の結果次第では明らかに交代が現実のものになろうかという時、直前のテストマッチ・オマーン戦でハリル監督は手を打ってきました。その時のことを11月13日にこう書き込んでいます。

「ハリル監督がやっと世代交代に動きましたけど、本物かどうか・・・。」
本文をまた再録します。少し長くなりますが、お付き合いください。

「一昨日、11月11日、オマーンとのテストマッチ、ハリル監督がやっと世代交代に動いたかと思われる布陣で臨みました。

最前線に大迫勇也選手、サイドに齊藤学選手、トップ下には清武弘嗣選手、ボランチに山口蛍選手、両サイドバックに酒井宏樹選手、酒井高徳選手、センターバックに丸山祐市選手、実に7人もの南ア組でない選手を並べました。

これに本田圭佑選手のかわり原口元気選手を入れれば、世代交代完了です。ボランチの長谷部誠選手とセンターバックの吉田麻也選手は外さなくてもいい選手でしょう。

これでサウジアラビア戦に臨めば、勝っても負けてもハリル監督続投で構いません。明確な世代交代の意思を見せての結果であれば、次につながります。

サウジ戦に負けると、自動出場権獲得の2位以内がかなり厳しくなります。でも私は、この布陣で臨めば負けないと思っています。悪くても引き分け、勝てる確率はかなり高いと思っています。」

このように、ハリル監督が私の言うことさえ聞いてくれたら、サウジ戦はかなり勝てる確率が高いと言っています。これは、私の揺るぎない「選手のキャリアピーク交差論」からきています。

この日の書き込みは、かなり過激な言葉で締めくくっています。

「サウジ戦、もしハリル監督が、南ア・ブラジル4人組(本田、長友、岡崎、香川)の一人でもスタメンに使ったら、即退陣です。使わなかったら負けても続投でいいです。私は負けないと確信しているからです。」

そしてサウジ戦、長友選手だけは使いましたが他の3人はスタメンから外れ、結果2-1の勝利。

当日、リアルタイム書き込みで「ハリル監督、よくぞ決断しました、世代交代」を①から⑤まで綴りました。試合終了後の「⑤21;28現在」では、こう総括しています。

「試合が終わりました。1点は返されたものの第一関門突破です。NHK-BSの放送陣は「2点差で勝てれば・・」としきりに話していますが、点差とか内容とか今日は問題ではなく、勝利することが最優先。

これで私が一昨日「勝てる確率はかなり高いと思っています」と繰り返したことが確かめられました。

キャリアのピークに近づきつつある選手たちで構成すれば、日本代表はまだまだ大丈夫なんです。これでハリル監督は、今後使っていくべき選手たちが明確になったことと思います。

それにしてもハリル監督はよく決断しましたよね。正直、私はここまでのことができる監督とは思っていませんでした。

オマーン戦の前までは「どうせ経験を買うとかなんとか言って世代交代には踏み切れないのだろう」と思っていましたし、だから監督交代、後任を誰にするというような話ばかりしたわけです。」

このように、当時、私自身もヒステリックなまでに「世代交代、さもなくば監督交代」を叫び続けましたが、チームの内側を十分につかめないままに論じていた面を、今年1月2日の「ハリル監督年頭インタビュー」で反省しました。その部分を再録します。

「思い起こせば3ケ月前の10月、私の書き込みは「ハリル監督の後任監督」の話題でした。第3戦のイラク戦、後半アディショナルタイム、山口蛍選手の劇的ゴールで辛くも命脈を保った日本代表を、これからも託したいという気持にはなれませんでした。

このイラク戦で、選手たちが自信を取り戻しつつつあり、監督もチームの一体感に少しづつ手ごたえを感じ始めた時期にあたります。

チームの内側の変化をなかなか読み取れない外野席とのギャップが漂っていた1ケ月といえるでしょう。監督更迭問題で世間が騒々しくなる時というのは、多くの場合、チーム内部の状況変化が外側から見てわからない時です。

チームに生じていた問題が処理されたり課題が解決されたのに、外側からはそれがわからないで騒いでしまう。メディアを通じてしか情報を持たない私たちまでが、それに踊らされて的外れな論陣を張ってしまうのです。

気をつけなければいけないことですが、監督更迭問題といった話になると、一億総ヒステリー気味に感情的になってしまいます。

ですから、こういった番組で実情を知って、キチンと私自身の言動も軌道修正していく必要があります。あらためて、その思いを強くした次第です。」

年を越してからのハリル監督は、実績やネームバリューを一切考慮せず「コンディションのよい選手を使う」という点で一貫していました。

3月のアウェー・UAE戦での今野泰幸選手の起用、ホーム・タイ戦での長友選手の中盤での起用など、徐々にハリル監督らしい変幻自在の戦術も奏功しました。

そして極めつけが、今回の豪州戦での浅野、井手口のスタメン起用です。3月以降、ハリル監督は本来の戦略家らしい姿を取り戻したと思います。

かつてアルジェリア代表を率い、ブラジルW杯アフリカ予選を勝ち抜き、本大会で決勝トーナメントに導いた手腕が本物であることを、今年3月以降はいかんなく発揮してくれました。それもこれも、昨年11月のサウジ戦、その前のテストマッチ・オマーン戦が分水嶺になったことがよくわかります。

私自身は、ハリル監督が世代交代を断行してくれたこと、それがロシアW杯出場権獲得のカギになったと確信しています。と同時に、今はハリル監督が本大会でも期待の持てる監督だと感じています。

本大会で、日本代表がどこまでやれるかは、新しい選手たちが、もっと何人も突き上げて選手層が厚くなることに尽きると思います。

例えば前線から、大迫勇也、久保裕也、浅野琢磨、乾貴士、宇佐美貴史、武藤嘉紀、杉本健勇らが、どの選手を使ったらいいか迷うようなパフォーマンスが欲しいですし、二列目もそうですよね、原口元気、香川真司、清武弘嗣、柴崎岳、小林祐希らの選手。

要するにメンバーはいるわけですが、いまの段階では使える選手とベンチの選手がはっきりしています。誰が出てもおかしくないところまでいく必要があるということです。

中盤の底からDF陣はメンバーそのものが足りない感じです。出場停止やケガで中核選手が離脱すると、途端に大きな戦力ダウンです。この部分は急速な成長が期待薄のところです。かつて長友選手が短期間に世界レベルまで駆け上がったり、今回、井手口陽介選手が一気にレギュラーレベルまで成長したようなサプライズがあと二人ぐらい欲しいところです。

日本代表の余韻は、本大会のメンバー想定にまで発展しました。しばらく各選手たちは所属チームでアピールを続ける日々が続きます。

そして季節が秋深まるにつれ、各国リーグ戦あるいはUEFAチャンピオンズリーグなど、毎年の愉しみがやってきます。

そんなことを考えながら日本代表2連戦、ロシアW杯出場権獲得の余韻から覚めたいと思います。
では、また。





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