「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

W杯出場権獲得、快勝の豪州戦の余韻に浸って

2017年09月02日 22時01分06秒 | サッカー選手応援
あの試合終了を告げるホイッスルから2日経ちました。
年寄りは、そのあとじっくり「祝い酒」というわけにはいかず、まず寝ることに集中しました。

そして翌日、まずテレビ番組です。試合を放送したテレビ朝日が一番賑々しく取り上げてくれるかと思いきや、朝8時の「羽鳥慎一モーニングショー」は、冒頭ちょこっと紹介したきり、いつまで待っても取り上げてくれず、途中であきらめてしまいました。

羽鳥さんは、もともとプロ野球の実況中継が希望でアナウンサーになった方だそうなので、徳光さん同様、ほとんどサッカーに関心を示さないのでしょうね。自局が豪州戦を放送したからと言っても、モーニングショーは羽鳥さんの意向で内容を決められるのでしょうから、ほとんど扱わないという奇妙なことになるんですね。

それでも同局午前10時25分からの「ワイド!スクランブル」が、冒頭から30分ほど特集してくれました。浅野琢磨選手、井手口陽介選手の活躍を中心に紹介したのと、系列の日刊スポーツ紙が、一面トップと終面を使ってくれた様子を紹介していました。

この番組、キャスターの大下容子さんは、以前、長らくサッカー番組を担当してくれたことがある方なので、ホントに嬉しそうに紹介してくれて、やっとハッピーになれました。

ちょうど1週間前の「ジョプチューン」で「野球とサッカー、国民的スポーツはどちらか」というテーマを取り上げてくれましたが、豪州戦の夜はサッカーが国民的関心事だったようです。

「ワイド!スクランブル」では、勝利のあとに渋谷・スクランブル交差点に繰り出す若い人たちを写していました。勝利のあとに繰り出す二大ポイントは「東の渋谷、西の道頓堀」で、道頓堀では今回も戎橋からダイブする人の様子を流していました。

翌朝のスポーツ紙、さきほど日刊スポーツが一面トップと終面を使ってくれたと書きましたが、主要スポーツ6紙(日刊スポーツ、スポーツニッポン、スポーツ報知、サンケイスポーツ、東京中日スポーツ、デイリースポーツ)が揃って、日本勝利を一面で報じてくれました。

それでも日刊スポーツを除けば、終面も使ってくれたのは他にありません。そもそもサッカーがスポーツ紙で一面を飾る日というのは、めっきり少なくなっています。

私がネットを通じて確認している日刊スポーツ、スポーツニッポン、スポーツ報知の3紙について言えば、最近では日本代表選手発表があった翌日に日刊スポーツだけ、そして豪州戦の前日に「柴崎司令塔?」というネタなどで3紙、当日に2紙、そして勝利した翌日全紙といった程度です。

「ジョプチューン」の「野球とサッカー、国民的スポーツはどちらか」議論の延長戦になりますが、ことスポーツ紙に関してはプロ野球がほぼ毎日のように一面を飾っているのに比べ、サッカーは、ほとんどなくなってしまったと言っていい状態です。

こうしてテレビ、スポーツ紙を確認したあとはネットのコラムなどを点検しました。

豪州戦のあと、ハリル監督の会見があったわけですが、監督は「実はプライベートなことで問題があって、とても難しい状態だった」と告白されました。そのことがなければ若手の大胆な起用に称賛の嵐となる会見だったことと思います。

ハリル監督は、記者団の質問を受けずに終わった会見が、フランスをはじめ世界中に配信された結果、いろいろ憶測を呼ぶことになりかねないと判断したようで、翌日1日に会見を開いたようです。そして続投を明言しました。

ネット記事やコラムを点検していましたら、いろいろわかってきました。

一つは豪州が「パスサッカー」にモデルチェンジをしているさなかで、そう簡単に放り込みサッカーをしないチームになっていることがわかりました。

私はそんなことを知りませんでしたから「豪州戦リアルタイム書き込み」の中で、「豪州はイメージが変わったなぁ、つないでくるネ。もしかしたら前半と後半で変えてくるかも。」と、日本を幻惑するための作戦かもと思いました。

しかし、日本代表チームはスカウティングの段階で「豪州は将来を見据えてパスサッカーに固執している。試合の中でもそのスタイルは崩さない」と見切って、バスサッカーの要となる中盤の二人からボールを奪う能力に長けた山口蛍選手と井手口陽介選手を配したといいます。

みごとな戦略です。

もう一つの論点は世代交代です。今回の試合ほど日本代表の世代交代を印象づけた試合はありません。本田圭佑選手も香川真司選手もピッチに立つことなくW杯出場を決めてしまったのですから。

私は、どんなに日本代表に貢献した選手でも、キャリアの上昇局面と下降局面が必ずあり、下降局面から再び上昇に転ずることは、よほどの選手でないと難しいと主張しています。一方、これまで代表に貢献する機会がなかった若手選手は、徐々にキャリアの上昇局面に入っていきます。中には一試合ごとに自信を増して加速度的に上昇していく選手もいます。

今回の井手口陽介選手などが典型的な例です。名伯楽の資質は、その才能をどうやって見極めて試合に使っていくかというところにあります。

フランスW杯アジア予選を前にした加茂周監督が、一番の若手選手だった中田英寿選手をキーマンに抜擢したり、南アW杯最終予選を前にした岡田武史監督が、本田圭佑選手をキーマンに抜擢した、その慧眼によってW杯連続出場が繋がれているといってもいいでしょう。

そして今回のハリル監督の井手口陽介選手の抜擢です。私は彼に「日本のシメオネ」になれる雰囲気を感じると書き込んできました。

彼についても少しづつわかってきました。ガンバ大阪の先輩・宇佐美貴史選手は彼を「怪物」と評したそうです。サッカー選手にしては小柄な彼が「怪物」と評される理由が、今回の豪州戦の並外れた働きで判明しました。

そして彼の語り口、聞かれても決して勢い込んで答えることはありません。むしろ、間をおいて淡々と答えます。これはメンタリティからきています。かつて中田英寿選手もそうでした。どんな場面でも気負わずに対処できるメンタリティです。

中田英寿選手と井手口陽介選手の受け答えで違うのは、中田選手が年長のインタビュアーを凌ぐような論理思考で受け答えするのに対して、井手口選手は、あまり細かいことには言及せずに、わからないことはわからないなりに受け答えするところです。

井手口陽介選手はJリーグ新人王、ルヴァン杯(旧ナビスコ杯)新人王も獲得している折り紙つきの逸材です。ポッと出の選手とはわけが違うのですが、最近の海外組礼賛傾向の中で、どうしてもJリーグ組が未知数扱いされています。というか自分自身もそういう眼で見ているかも知れません。これは反省点です。

「豪州戦リアルタイム書き込み」⑧の中では、「わぁ~~~~~。井手口だぁ~~~~。井手口が大ヒーローになったぁ~~~。もう、日本のシメオネなんかでなく「ニッポンの心臓・井手口」だぁ~~~」と絶叫しました。

こういう歴史的瞬間に立ち会えるのは「サッカーを愛する者」にとって、ホントに至福の喜びです。1-0の重苦しい空気が支配していた試合を、勝利を確信できる試合にしてくれた重みたるや・・・。

ネットでは井手口陽介で検索すると、さっそく「井手口選手と中田英寿選手似てる」という項目がヒットします。私にしてみれば「似て非なる」といった感じなのですが。

こんな風にして「快勝の豪州戦の余韻に浸った」時間が過ぎました。すでに、どの選手たちも「これからまた新たなスタート」と気を引き締めているようです。

私は、そうした日本サッカーの行く末を、引き続き見せていただける「幸せ」に感謝するばかりです。

また共に新たな歴史に出会い、感動して、語り合いましょう。
では、また。

【9月3日加筆  次回書き込み欄を使ってスポーツ紙の紙面を載せておきます】

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