手元に、2013年8月6日あたりだと思うが、産経新聞の「スポーツ茶論」というコラム記事の切り抜きがある。この日の担当は津田俊樹さんという方だ。編集委員の方だろうか?
コラムの見出しは「先見の明『サッカーは文化だ』」、筆者が取材等で接した多くの方の中で、三菱商事の社長、会長を歴任された諸橋晋六さんについて触れている。ちなみに諸橋さんという方は、その記事が掲載された少し前、90歳で逝去されたとのこと。
諸橋さんという方がサッカー界に果たした貢献は「日本サッカー殿堂」入りという形で評価されている。この方の業績については、ウィキペディアですぐ検索できるので、ここでは省きたいが「サッカーは文化なんだ。おまえ、わかるか」と喝破された話だけは取り上げたい。
津田さんも、2002年W杯招致に携わった関係者が諸橋さんの一家言について語る、として紹介している。諸橋さんは1970年代から、そう周囲に語っておられたという。諸橋さんは三菱商事ロンドン支店長当時、テレビ東京が始めた「三菱ダイヤモンドサッカー」の試合映像を買い付けされたのだ。テレビ東京が始めたというより、諸橋さんが紹介したから始まったという感じらしい。
フットボールの母国イングランドの地で、諸橋さんは自らが学生時代熱中したサッカーが、実は、その国の歴史、伝統、民族性、つまり、その国の文化が反映されるものなのだと痛感したに違いない。それを「サッカーは文化なんだ。おまえ、わかるか」と説いておられたのだろう。
諸橋さんは、そのことに気付いたことで、日本でもワールドカップを開こうという思いに至り、その後の招致活動でも大きな貢献を果たしたとのことだ。
津田さんは、それを「先見の明」と評している。
私たちは、諸橋さんが説いて回り、その薫陶を受けた人たちが、さらに周囲の人たちに説いて回り、その輪が幾重にも広がった末に得た至言として知ることになったのだ。
先人の先見性と情熱、行動力は凄い。2015年のいま、私たちが日本代表の活躍に心躍らせているのは、スポーツとしての魅力もさることながら、日本人として生まれ、日本人として育った選手たちがピッチの中で体現している姿そのものに対してなのだ。
だからこそ、結果として勝ちたい、大会では優勝したいと願うのだ。
日本の選手たちのピッチ上のパフォーマンスについては、いろいろな部分について「日本人の特質」といった形容がなされている。
たとえば試合の進め方が組織的である、たとえばチーム全体として規律正しい、たとえばゴールに向かう姿勢にわがままさが足りない、たとえばゴールマウスが見えていてもなかなかシュートを打たない等々。
それらの功罪すべてひっくるめて日本代表であり、それを踏まえて勝って欲しい、優勝して欲しいと願う。
では、これから将来、勝てない日本、W杯に出られなくなった日本という現実がきた時も日本代表を愛し続けていけるだろうか?。私たち日本のサッカーがより成熟していくには、その時でも愛し応援し続けていく必要がある。
1月7日のこの欄で「リバプールの赤と青」というタイトルで、イギリス・リバプールにある2つのサッカークラブ、リバプールFCとエバートンについて書いた。
エバートンはリバプールに比べて成績がよくないが、エバートンを応援し続けているサポーターの数はリバフールFCのそれと遜色がない。勝ち負けだけが応援する基準ではない、では何がそうさせるのか、エバートンを応援し続けるもの、それはエバートンの持つ文化を応援しているからなのだ。
日本でも、クラブチームレベルでは少しづつ、そういうサポーターが増えているように思う。けれども、日本代表に対して日本全体が、苦難の時代を迎えても応援し続けるようになるには、もう少し時間が必要な気がする。だとすれば、日本代表には、あとどれだけの期間かわからないがW杯連続出場記録を続けてもらいたいと願うしかない。
その間、私たちは「サッカーは文化だ、勝ち負けでどうこうではない」と発信しつづけ、多くの人たちに共感を得ていかなければと思う。「サッカー日本代表は日本という国の歴史、伝統、民族性、つまり、その国の文化の上にある存在なのだ」ということを。
コラムの見出しは「先見の明『サッカーは文化だ』」、筆者が取材等で接した多くの方の中で、三菱商事の社長、会長を歴任された諸橋晋六さんについて触れている。ちなみに諸橋さんという方は、その記事が掲載された少し前、90歳で逝去されたとのこと。
諸橋さんという方がサッカー界に果たした貢献は「日本サッカー殿堂」入りという形で評価されている。この方の業績については、ウィキペディアですぐ検索できるので、ここでは省きたいが「サッカーは文化なんだ。おまえ、わかるか」と喝破された話だけは取り上げたい。
津田さんも、2002年W杯招致に携わった関係者が諸橋さんの一家言について語る、として紹介している。諸橋さんは1970年代から、そう周囲に語っておられたという。諸橋さんは三菱商事ロンドン支店長当時、テレビ東京が始めた「三菱ダイヤモンドサッカー」の試合映像を買い付けされたのだ。テレビ東京が始めたというより、諸橋さんが紹介したから始まったという感じらしい。
フットボールの母国イングランドの地で、諸橋さんは自らが学生時代熱中したサッカーが、実は、その国の歴史、伝統、民族性、つまり、その国の文化が反映されるものなのだと痛感したに違いない。それを「サッカーは文化なんだ。おまえ、わかるか」と説いておられたのだろう。
諸橋さんは、そのことに気付いたことで、日本でもワールドカップを開こうという思いに至り、その後の招致活動でも大きな貢献を果たしたとのことだ。
津田さんは、それを「先見の明」と評している。
私たちは、諸橋さんが説いて回り、その薫陶を受けた人たちが、さらに周囲の人たちに説いて回り、その輪が幾重にも広がった末に得た至言として知ることになったのだ。
先人の先見性と情熱、行動力は凄い。2015年のいま、私たちが日本代表の活躍に心躍らせているのは、スポーツとしての魅力もさることながら、日本人として生まれ、日本人として育った選手たちがピッチの中で体現している姿そのものに対してなのだ。
だからこそ、結果として勝ちたい、大会では優勝したいと願うのだ。
日本の選手たちのピッチ上のパフォーマンスについては、いろいろな部分について「日本人の特質」といった形容がなされている。
たとえば試合の進め方が組織的である、たとえばチーム全体として規律正しい、たとえばゴールに向かう姿勢にわがままさが足りない、たとえばゴールマウスが見えていてもなかなかシュートを打たない等々。
それらの功罪すべてひっくるめて日本代表であり、それを踏まえて勝って欲しい、優勝して欲しいと願う。
では、これから将来、勝てない日本、W杯に出られなくなった日本という現実がきた時も日本代表を愛し続けていけるだろうか?。私たち日本のサッカーがより成熟していくには、その時でも愛し応援し続けていく必要がある。
1月7日のこの欄で「リバプールの赤と青」というタイトルで、イギリス・リバプールにある2つのサッカークラブ、リバプールFCとエバートンについて書いた。
エバートンはリバプールに比べて成績がよくないが、エバートンを応援し続けているサポーターの数はリバフールFCのそれと遜色がない。勝ち負けだけが応援する基準ではない、では何がそうさせるのか、エバートンを応援し続けるもの、それはエバートンの持つ文化を応援しているからなのだ。
日本でも、クラブチームレベルでは少しづつ、そういうサポーターが増えているように思う。けれども、日本代表に対して日本全体が、苦難の時代を迎えても応援し続けるようになるには、もう少し時間が必要な気がする。だとすれば、日本代表には、あとどれだけの期間かわからないがW杯連続出場記録を続けてもらいたいと願うしかない。
その間、私たちは「サッカーは文化だ、勝ち負けでどうこうではない」と発信しつづけ、多くの人たちに共感を得ていかなければと思う。「サッカー日本代表は日本という国の歴史、伝統、民族性、つまり、その国の文化の上にある存在なのだ」ということを。