「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

最近読んで感銘を受けたシメオネ監督本

2015年01月05日 19時24分02秒 | 世界のサッカー
ディエゴ・シメオネ監督本、この画像のとおり日本では「シメオネ超効果」というタイトルで出版された。

サッカー好きなら誰しも、あのリーガ・エスパニョーラのレアル、バルサ2強をさしおいて13-14シーズンのリーガを制し、欧州チャンピオンズリーグでも決勝まで勝ち上がったアトレチコ・マドリーの快挙はなぜ成しえたのか、少なからず関心があると思う。

したがって、そのチームの監督であるディエゴ・シメオネについて論じられる本が出るのは自然な流れだ。

私がディエゴ・シメオネの存在を知ったのは、アルゼンチン代表で1990年代はじめに、ほんの短かい期間だがマラドーナの跡をついで背番号10をつけて試合に出た頃からだ。その後背番号は8とか変わったが、セントラル・ミッドフィールドもしくはボランチあたりの、いわば汗かき屋的なイメージでみていた。

シメオネの悪名が世界に轟いたのは、1998年フランスW杯の決勝トーナメント1回戦イングランド戦、イングランドの若き貴公子デビット・ベッカムに対する挑発が報復攻撃を呼び、ベッカムを退場処分に追い込んだことだ。

この試合、イングランドがPK戦の末に敗退したこともあり、イギリスの主要日刊紙デイリー・ミラーが「10 heroic lions one stupid boy(10人のライオンと1人の愚かな若者)」という標語をつけて、ベッカムを戦犯扱いしたことから、ヒール役としてのシメオネも歴史に名をとどめている。

選手時代のシメオネは、お世辞にも甘いマスクとはいえない悪役然とした風貌だから、そのインパクトも大きかった。

私も彼のプレースタイルは、激しさでならすアルゼンチンサッカーを体現しているようなところがあると思ってみていたが、その人となりまでは正直良く知らなかった。

今回、この本を読んでみて、なんと指導者として資質の高い人だろうというのが一番の感想だ。
スペイン代表監督として2008年、44年ぶりのEURO優勝を果たしたルイス・アラゴネスが、この本の「巻頭の言葉」を飾っているが、彼がシメオネの人物像をシンプルに表現している。

いわく「私にとってシメオネのことを話すのは簡単だ。第一に、率直で精神も心も魂も誠実な人間であってくれたことに感謝したい。それらは私が人として最も価値をおいているものだ。(中略) 第二に、彼が選手として、今は監督として成し遂げたすべてのことをあらためて確認しておきたい。まだ若いのに偉大な監督の器であることを示している。結果を見れば明らかだし、特に彼の選手たちがどんなことを言っているかに耳を傾ければわかる。(以下略)」

具体的な内容ももっと書きたいが、むしろ本を実際に読んでみるのがいいと思う。
まだ44歳とのこと、これからビッグクラブでも指揮をとっていくだろうし、何よりアルゼンチン代表監督としての采配も見てみたい。

選手時代のイメージとの落差が大きいこともあって、自分自身がまるで変節したようにシメオネファンになった。