致知7月号より 村上和先生夫、篠原伸禎先生対談より
”信念とか心、魂というのは人間にとって大切なものだと思うんです”
村上 役割を果たすということ、自分が全体に何かを与えていくくと、いう
傾向は、遺伝子の世界にも見られますね。
一般に遺伝子というのは自分の細胞を湯煎して生かすので、利己的だ
といわれていますが、各かくが利己的なだけでは全体が成り立ちませ
んから結局は自分も生きられない。利他的な全体を生かそうとする遺
伝子が入っていると僕は思うんです。
篠浦 日本人というのは母親のようなところがあります。子供の為だったら
なんでもやるみたいな利他の精神が日本人本質のだと僕は思いますね。
村上 自分だけの子供だけでなく、よその子供にも利他の心を発揮するのが
人間たる所以でしょうね。
篠浦 僕はいま、トヨタのことを本に書こうと思っているんですね。
トヨタが世界一になったのは、顧客中心を貫いたからだと思います。
僕の考える、脳の領域に、相手を主体にして調和を図ろうとする、右脳
二次元というのがあって、トヨタという会は社そこを働かせて相手中心
に徹して事業展開してきたわけです。極めて日本的な企業であって、そ
のことが世界一になった要因だと僕は思うんです。
村上 僕もトヨタと「笑うネズミ」を作る研究をやっていたんですけどね。そ
れをきっかけに豊田佐吉とう一人の人物からどうして世界的企業が生ま
まれたのかという興味を持って,豊田佐吉会館に行ってきたんですよ。
彼は自動織機を発明したんですけれども、そもそもの動機は、夜なべを
して機(はた)を織っているお母さんを何とか楽にしてあげたいという
親孝行の思いだったようなんです。
まさに篠浦先生のおっしゃるような日本的な心情というものが発明の原
動力になったわけですね。
篠浦 トヨタというといかにも合理的な印象がありますけど、本質はそういう
ところにあるんですね。
村上 非常に合理的ではありますけど、合理を超えた超合理なところもある。
その両方をもって極めて日本的だと感じますね。
篠浦 トヨタのような会社が世界一になったことは、我われ日本人にすごく勇気
を与えてくれますね。これから日本が進むべき道におおきなヒントを与え
てくれていると思います。