中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第884話 先入観を持たずに正しく評価する

2020年02月12日 | 仕事

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「出来が今一つの部下の悪いところはいろいろ目に入るけれど、良いところはねぇ。見つけようと思わないとなかなか見つからないんだよね」

これは弊社が管理職研修を担当させていただいた際に、受講者からよく聞く言葉です。

日々、部下の育成に取り組んでいる管理職にとっては、世話なしに順調に成長する部下がいる一方で、思うように育たない部下がいるのも現実であり、悩みの種なのです。

そうすると、冒頭の言葉のように成長が一進一退の部下に対してはマイナス点ばかりが目についてしまう一方、よほど意識していないと良い点が見つからないという気持ちになってしまうというのも頷けるところではあります。

さて、今年も春闘が始まりました。今回の春闘では、トヨタ自動車が個人の評価に基づく賃上げを要求したり、三菱UFJ銀行も評価に応じた配分など新たな賃上げの方法を提案したりという報道がありました。

これまでの一律の賃上げ要求を止める背景には、若手人材の確保が困難な中で企業が人材確保のために年功序列賃金を見直し、その分を若手に配分をするという考えなどがあるようです。

確かに採用に関しては売り手市場になって久しいですので、人材獲得の一手として賃金制度を見直ことが有効なことは確かです。

しかし、一方で個人の評価に基づくのであれば、上司が部下を公平に評価出来ることが前提になります。

冒頭の管理職のように、部下の悪いところばかりが目についてしまったり、反対に良いところばかりを注視したりするのでは正しい評価をすることは出来ません。その結果、マイナスの評価をされた人はやる気を失ってしまうことになります。

昨日、訃報がもたらされた元プロ野球監督の野村克也氏は監督としての手腕とともに、数々の名言を発したことでも有名です。その中でも私自身が特に印象的なのは、「固定観念は悪、先入観は罪」という言葉です。野村氏はこの言葉を「固定観念と先入観は百害あって一利なし」との意味で使われていたそうです。

野村氏は若手選手の育成だけでなく、「野村再生工場」と言われるように他球団で戦力外となった選手を復活させたことでも知られています。そうしたベテランに対しても他者の評価やそれまでの実績による先入観や固定観念を持つことなく接し、自分の目で現状をしっかりと判断し、良いところを最大限活かすべく指導していたのではないでしょうか。

ぜひ経営者や管理職の皆さんには、社員や部下を評価する際には固定観念や先入観を持って行うのではなく、仕事ぶりをしっかり観察しきちんと話を聴いたうえで、正しい評価をしていただきたいと思います。

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